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Raspberry Pi 4 Model B で USB ブート(1)

Last updated at Posted at 2020-09-22

Raspberry Pi 4 には microSD カードスロットが用意されており、ここに Linux をインストールした microSD カードを挿して運用するのがオフィシャルな使い方と思われる。
microSD は安い、消費電力が低いなどの利点はあるものの、

  • 遅い(数十MB/sec)
    • SSD が 数百〜数千MB/sec オーダー、HDD でも 200MB/sec 以上なので桁違いに遅い
  • 書き込み回数制限がきつめ
    • TCL なら 1,000回

といった欠点もあり、サーバーとして使うには不満を感じることは否定できない。

しかししばらく前からRaspberry Pi 4 Model B向けにベータ版として USB マスストレージからブートできる EEPROMが公開されており、最後にリリースされたものが最近正式版に格上げされた。
これを利用し USB 接続の SSD や HDD で運用することができればこの不安を解消できる。
作業的な意味でも心理的な意味でもハードルが下がったので、実際にやってみることにした。

用意するもの

  • Raspberry Pi 4 Model B
  • microSD(2GB以上)
    • EEPROM を更新するための Raspberry Pi OS の必要容量が 2GB
    • USB マスストレージからブートできる EEPROM が工場出荷時にインストールされるようになったら必須でなくなるかもしれない
  • USB 接続のストレージ
    • 今回は以下のものを使用したが、Linux で認識できるものなら多分なんでも
      • SATA-USB 変換器 KURO-DACHI/CLONE/U3
      • SATA HDD
  • PC
    • microSD に EEPROM を更新するための Raspberry Pi OS をインストールするのに必要
    • USB マスストレージのパーティションを作成・編集するのにも使う
  • Raspberry Pi 操作用のディスプレイ、キーボード
    • EEPROM 更新の際、コマンドを入力するのに使う(Raspberry Pi OS に SSH サーバーを立てられるなどの場合はなくてもいいかも)。ディスプレイ接続は Micro HDMI。

EEPROM の更新

EEPROM の更新は Raspberry Pi OS から行う。

https://www.raspberrypi.org/downloads/raspberry-pi-os/ からイメージをダウンロードする。多分どれでも問題ないが、EEPROM の更新しかしないので、もっとも容量の少ない Raspberry Pi OS (32-bit) Lite がおすすめ(EEPROM のリカバリーイメージを使えばもっと簡単に更新が行えそうだが、現在のところ未確認。)。
イメージがダウンロードできたら Raspberry Pi Imager(以下 rpi-imager。公式ダウンロードページからダウンロードできる)で microSD にインストールし、これで Raspberry Pi を起動する。

USB マスストレージブートに対応した EEPROM は、正式リリース前は GitHub のページからベータ版をダウンロードする必要があったようだが、現在ではパッケージマネージャー apt でアップデートを行えば自動的に更新される。
手順は以下のとおり。

$ sudo apt update
# rpi-eeprom パッケージに EEPROM が含まれているので、ここで更新される
$ sudo apt full-upgrade
$ sudo reboot

# 再起動後に EEPROM が 2020-09-03 に更新されたことを確認する
$ vcgencmd bootloader_version
Sep  3 2020 13:11:43
version c305ZZ1a6d7e532693cc7ff57fddfc8649def167 (release)
timestamp 1599135103

起動デバイス設定の変更

2020-09-03 の EEPROM からは起動デバイスとして USB マスストレージが最優先になるようだが、それ以前のものではデフォルトが microSD になっているので、この設定の確認と変更を行う。

$ sudo raspi-config

3 Boot OptionsB4 Boot Order から B1 USB Boot を選択し、設定を保存。

USB マスストレージへの Linux のインストール

Raspberry Pi OS (64bit) と Ubuntu 20.04.1 LTS (64bit) での動作を確認した。それぞれで手順が少し異なるので、個別に記載する。

Raspberry Pi OS のインストール

rpi-imager を使う場合

PC に USB マスストレージを接続し、rpi-imager で Raspberry Pi OS をインストールする。
メニューからは 32bit 版しか選択できないので、以下の場所からあらかじめ 64bit 版のイメージをダウンロードしておきこれを使用する。

インストールが終わったら Raspberry Pi 4 に USB マスストレージを接続すれば起動できる。

rpi-imager を使わない場合

前述のイメージは単なるストレージのダンプなので、rpi-imager を使わず dd コマンドなどで代替可能。
但しコマンドの入力ミスがあると PC のデーターを消去してしまう恐れがあるため、各コマンドの実行内容を理解している人限定。

# /dev/sdb の部分は適宜変更
$ unzip -p 2020-08-20-raspios-buster-arm64.zip | sudo dd of=/dev/sdb bs=128M
0+57209 レコード入力
0+57209 レコード出力
3779067904 bytes (3.8 GB, 3.5 GiB) copied, 35.0279 s, 108 MB/s

ブートローダーの設定と fstab を書き換える。

# 各パーティションの PARTUUID を確認
$ blkid /dev/sdb*
/dev/sdb1: LABEL_FATBOOT="boot" LABEL="boot" UUID="54E3-79CE" TYPE="vfat" PARTUUID="ad09722e-01"
/dev/sdb2: LABEL="rootfs" UUID="c6dd3b94-a789-4d57-9080-1472f721804b" TYPE="ext4" PARTUUID="ad09722e-02"

$ mkdir boot root
$ sudo mount /dev/sdb1 boot
$ sudo mount /dev/sdb2 root

# root=PARTUUID= の値を rootfs の PARTUUID にする
$ cat boot/cmdline.txt
console=serial0,115200 console=tty1 root=PARTUUID=ad09722e-02 rootfstype=ext4 elevator=deadline fsck.repair=yes rootwait quiet init=/usr/lib/raspi-config/init_resize.sh splash plymouth.ignore-serial-consoles

# PARTUUID= の値を boot, rootfs の PARTUUID にする
$ cat root/etc/fstab
proc            /proc           proc    defaults          0       0
PARTUUID=ad09722e-01  /boot           vfat    defaults          0       2
PARTUUID=ad09722e-02  /               ext4    defaults,noatime  0       1

# 作業が終わったら後片付け
$ sudo umount boot root
$ rmdir boot root

パーティションの拡張

rpi-imager を使うかどうかにかかわらず、インストール直後のパーティションは以下の通り。

$ sudo gdisk -l /dev/sdb
:
Number  Start (sector)    End (sector)  Size       Code  Name
   1            8192          532479   256.0 MiB   0700  Microsoft basic data
   2          532480         7380991   3.3 GiB     8300  Linux filesystem

root の使用率は 88% という窮屈な状態なので、parted コマンドなどでパーティションを拡張する。

Ubuntu 20.04.1 LTS のインストール

rpi-imager でイメージを作成するのは Raspberry Pi OS と同様。
イメージの場所は以下。

rpi-imager を使わない方法も、パーティションを変更する必要があるのも Raspberry Pi OS のインストール時と同様。

追加で、以下の情報を参考にカーネル周りを調整する。

$ mkdir boot
$ zcat boot/vmlinuz | sudo dd of=boot/vmlinux

$ cat boot/config.txt
 :
[pi4]
max_framebuffers=2
dtoverlay=vc4-fkms-v3d
boot_delay
kernel=vmlinux
initramfs initrd.img followkernel
 :

$ sudo umount boot
$ rmdir boot

これで起動は可能になる。
ただし boot/vmlinux 更新の際には vmlinuz も追随させる必要があるので、前述のフォーラムにあるように auto_decompress_kernel のようなスクリプトを登録しておくといいと思われる。


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