どうものらぬこです。
今回は、技術書典7の振り返り記事を書きたいと思います。
先日の技術書典7で、同人イベントで初めてサークル主としてイベントに参加しました。
ちなみに、同人イベントのサークル参加は、10年以上前、当時の知人とコミケに同人ゲームサークルとして出展したことがあるくらい。
その時の僕のポジションは一応プログラマという扱いでしたが、アリスソフトという美少女ゲームメーカーのSystem3.5というゲームエンジンのスクリプトを書いてただけなので、それっぽいことは特に何も、という記憶です。
なぜ参加しようと思った?
- 自分の名前が刻まれた本を出したかった
- 今年初めにリリースした個人開発サービス「ソロ旅ねっと」のまとめ本を書いてみたかった
- ソロ旅ねっとについては、一人旅が捗るWebサービスを思いついたので、開発から公開まで全部一人でやってみた話という記事を書いてます
- 本を出すのがどれくらい大変で、どれくらいの見返り(収益)が出るのか知りたかった
- 申込期間当時、仕事がそこそこ暇(マーケティングとか事業戦略的なところで膠着してたので)だったから、とにかく何か作りたかった
- その後、9月末リリースというプロジェクトが舞い込んできて若干やべぇと思うも、幸か不幸か8月下旬頃に天上人の事情?でリリース当面先送りの判断となり、僕的には一安心する。
主な理由はこれくらい。
テーマ決め
ソロ旅ねっとの話を書く、といっても、ちょろっと作った個人サービスの開発事例書いてもあまり需要はないと思ったので、「個人開発をやってみたい人向けに、アイデアを出すところから、公開までちゃんと頑張るための方法論みたいな話を、ソロ旅ねっと開発の事例を交えて語ってみる」というテーマで書くことにした。
当日までの沿革
- 2019/06/10:サークル参加申し込み
- 締め切りは6月30日
- 2019/06/16:初めてのサークル参加meetup という説明会に参加
- 2019/06/20:どんなテーマを中心に書くかをなんとなく考え始める
- マークダウンで数十行程度の箇条書きメモが出来上がるが当落発表頃まではあまり進まず
- 2019/07/11:当落発表→当選→即日サークル参加費用入金
- 2019/07/xx:1万円引きのキャンペーンやってたxbox one X を購入。Forza Horizon 4 たのちい
- 2019/07/xx:それでも並行して頑張って執筆。
- しかし、書いては消しの繰り返し。ちょっと焦ってくる。
- 2019/08/10:少しだけ形になってくる。
- このころから土日祝日はコワーキングスペースに籠りだす。
- 締め切り近づくとゲームしたくなったり部屋の片づけしたくなる不治の病に侵されているため
- 2019/08/26:一般ユーザ向けサイト公開&配置確定
- サークルカットはこのタイミングで準備
- この時初めてツイッターで参加告知
- 全サークルの配置と説明文(のちにサークルカット画像も追加)が一覧で見られるエクセルシートの作り方をQiitaで公開。
- それなりには流行るかと思ったけど、そうでもなく。
- 2019/08/24:初稿完成
- 印刷してセルフ査読→ひどい文章だ
- pdf化→印刷→査読→修正→pdf化・・・のサイクルを繰り返す
- プリンター持っていないので印刷は1枚10円
- 2019/09/01:書きたいことは書いた。一旦完成、最終チェック
- そういえば、表紙のこと何も考えてない!
- 2019/09/06-2019/09/08:Microsoft Publisher というDTPアプリでとりあえず表紙作成
- PSDが作れないので結局Clip Studioを購入
- 昔は数万円したのに、今は5000円で買えることにちょっと感激する。
- 2019/09/09:千葉県が台風に凸られてピンチ。僕も千葉人。ただし僕は事前に有給申請していたので堂々と会社を休む
- コワーキングスペースで最後の調整をして、入稿のためそのまま日光企画へ
- 100部製本で無事入稿完了
- 2019/09/10: 割と本気で販促を始める。
- 技術書典公式サイトの情報更新(主にサークルカット画像の見栄えをよくする)
- ツイッターでの告知(フォロワー数200前後なので拡散はたいしてされていないと思う)
- 2019/09/12:ダウンロード版カード発注。ちょっと強気の350枚。
- 名刺などのカードの入稿は .ai が基本みたい。さすがにAdobeCCとか契約したくないのでPSD入稿できるところを探してそこに依頼
- 2019/09/21まで:当日必要になるであろう物を買いそろえつつ、印刷失敗してないかなー、準備で忘れていることないかなー、大丈夫かなー、などと若干心配な日々を過ごす
当日までにいろいろ懸念していたことと結果
当日一緒にサークル参加してくれる人が見つかるか
- ツイッターでサークルのお手伝いしてくれる方を募ってみる。条件は顔見知りで今でも交流のある人。
- 友達少ないし3連休の中日だし、声かけてくれる人いるかちょっと不安になる。
- 高校時代からの友人が名乗りを上げてくれた。超感謝。
会社の人にばれるかばれないか
別に気づかれても特に問題はなし(多分)。
ただ、誰かに気づかれたとき、その人がどういう反応をするのかは見てみたかったのでとりあえず会社には完全に内緒。
毎回参加しているエンジニア職の人が偶然通りかかったときに気づいたご様子。
普段、驚くという表情は見せない人なのだけど、かなり驚いている感じの表情を見せてくれた。ちょっと面白かったのでとりあえずよしとする。
苦労したところ
執筆中
執筆は RE:Viewの派生版、RE:View Starter というツールを使ったけど、いくつかはまりどころがあった。
- Re:VIEW Starter 使用中、画像埋め込みするとPDF生成でエラーとなる現象が出る。
- RE:View のソースファイル、.re の改行コードが \r\n になっていると画像埋め込みの部分でエラーになる。原因に気づくまで1時間ほどかかる。
-
====[/comment]
の記述が効かない。原因は最後まで分からなかった。
入稿時
全ページに振られた連番のノンブルがない、と指摘を受けるも修正方法がわからず。
そもそも、ノンブルという言葉がわからない。
僕の本の場合、目次ぺーじにはギリシャ数字で番号が振られており、本文にはローマ数字で別途ページ番号が振られていたのだが、全ページに1から連番のページ番号を打ってほしいとのこと。
ページの隅の見えない場所に、1から連番でページを入れる隠しノンブルみたいなやり方もあると教えていただいたのだけど、その場ではちんぷんかんぷん。
とりあえずその場でぐぐったところ PDF Operation というサイトを発見し、その場で隠しノンブルを付与&再入稿。今度はOKを頂く。
ただ、隠しノンブルの付け方はわからないままなので、サイトがなくなってしまうと今後困った事態になる。自分で付けられるようにならねばと決意。
デザイン
表紙のデザイン、サークルカットのデザイン、販促用のポスターなどのデザインも苦労したところ。
最終的な出来栄えの良し悪しは置いておいて、この手のデザインを考えるのは割と好きなほうではあるので、外注するという発想は全くなく、当初から全部自分でやるつもりだった(ただし、表紙のことは割と最後まで忘れていた)。
デザイン作成で利用した主なソフトは以下の3つ。
- Microsoft Publisher
- Microsoft PowerPoint
- paint.NET
イラストは描けないので、文字のレイアウトとスマホに入っていた過去に撮った写真、MicrosoftPublisher/Powerpointに備わっている基本図形、イラストやの素材のみで頑張りました。
表紙(上)は開催日10日前くらいの入稿、一方でサークルカット画像(下)はかなりぎりぎりまでいじっていたこともあり、テキスト部分についてはサークルカット画像のほうがよくできているかな、と個人的には思ってる。
かかった費用
1000円の本を100冊売れば、10万円を手に入れることができるが、かかった費用を差し引いた利益は当然これより少ない。
サークル参加して、それなりの本を出すと一体いくらかかるのか。
僕の場合、かかった金額は下記のとおり。
- 技術書典サークル参加費 7000円
- 書籍印刷費 35000円
- ダウンロードカード印刷費 4800円
- ポスター(A2) 1300円
- あの布(サークルスペースの机に敷く布) 3000円
- ポスタースタンド 3000円
- 当日用小物類(見本誌ブックスタンド、セロテープ、マジックなど) 1600円
- 試し刷り等の費用 1000円(概算)
- コワーキングスペース利用料(概算) 15000円
- サークルお手伝いいただいた友人との打ち上げ費 9500円
合計で80000円ほどです。
その他、入稿祝いとして食べたステーキ店の代金3500円などなど含めると、100000円は行ってないとは思うんだけど・・・ な金額になってくるかもしれない。
次回も参加する場合、あの布、ポスタースタンド、当日用小物類(の一部)は購入の必要がなく、締め切り前に発病する不治の病が奇跡的に完治すれば、コワーキングスペース利用料も節約できるかもしれない。
また、今回はオフセット印刷で出したのだけど、オンデマンドにすれば印刷費用も3割引きくらいになると思う。
次回以降は、大体同数刷るとして、出展コストは50000円程度で押さえたい所。
収益
収益、つまりは労働に対する報酬としてはどうなのか、というお話もついでにしてしまおう。
金になりそうなのか、そんなことはなさそうなのか、も、モチベーションとしては大事、超重要。
上の項で書いた通り、物理的にかかった費用と比較すればギリギリ黒字。
余った紙の本10冊程度と、電子版をboothで販売しているため、最終的な収益はもう少し上がるかもしれない。
ただ、今回は人件費はゼロ円と見積もっているので、これでは東京オリンピックボランティアのことをやりがい搾取とか揶揄できなくなってしまう。
次回は経費を抑えて収益化もちゃんと考える。
その他感じたこと
事前告知
僕はSNSでの影響力がほぼゼロ(ツイッターのフォロワー200前半、フェースブックはとりあえずアカウントがあるだけ)なため、開催前の告知は公式サイトとツイッターのハッシュタグ付きツイート頼り。
公式サイト内の出展サークル一覧ページに表示される情報は、全サークルのサークルカットと配置のみのため、如何にわかりやすくてキャッチーなサークルカットを作るかがとても重要。
サークルカットは、「技術季報への掲載用途」と、「公式サイトのサークル一覧画面の表示用途」の2つの用途で使われる。
技術季報への掲載用途
技術季報という、カタログ兼報告&分析本にサークルカットを載せるのであれば、7月末日までに準備が必要。
ただ、7月末日時点では何を書くかはっきり決まっていないこと、この本が出るのは技術書典当日であること、「これを購入した参加者の割合×その場でカタログをめくって立ち寄るサークルを決める人の割合」はひいき目に考えてもさほど多くはないと考え、季報への掲載は見送り。
現状、サークルカットとしてデザインしたものが書籍として残るということ以外、正直メリットが感じられない。
公式サイトのサークル一覧画面の表示用途
技術書典公式サイトのサークル一覧のページにはサークルカット画像のみが掲載されている。
今回、参加サークル数が650もあることを考えると、一般参加者がすべてのサークルをチェックするのはかなり難しい。
となると、サークルチェック時、サークルカット画像を見てどんな本かわからない&どんな分野について書かれたものなのかわからない、の時点でスルーされてしまう可能性が高い。
つまり、たとえそのサークルが自分の興味のあるジャンルの本を出していたとしても、サークルカットからその内容が推察できなければサークルチェックではスルーされてしまうことになる。
さらに、公式サイトのサークルカット画像は結構高めの縮小率で縮小表示されているため、細かい文字は読まれない可能性も高い。
したがって、サークルカットは、「見やすい文字で」「本の内容がイメージできて」「良い感じに目立たせる」という、僕含めて、デザイン専門外の人にとっては結構ハードルが高いテクニックが要求されていたような気がする。
ちなみに、サークルカットは何度か手直しをした。
直した結果、良くなったのか悪くなったのか、サークルカット内のテキストは本の内容を表せているか、という判断はどうしても主観的になってしまう。
ただ、目につくかどうかの検証はやった。
やり方は、以下の通り。
まず、自分のサークルカットのイメージとサークルの配置場所をいったん忘れる。
そのあと、技術書典公式のサークル一覧を上から順にぼーっと眺め、自分のサークルカットがぱっと見つかればおk。見つからなければ改善余地ありという判断。
ただ、これも数回やっていると、自分のサークル周辺の画像を覚えてしまうので、検証手段としてはやはり微妙になってしまう。
全サークルカット画像をシャッフル表示するだけの何かとか、超局所的に需要あるかな。
↑次回があれば、自分用には作ろうか
被チェック数
コミケで言うサークルチェックに相当するものが、公式サイトの機能として提供されている。
これを使うと、当日回りたいサークルを所謂「いいね」とか「お気に入り」の要領でメモっておくことができる。
サークル主は、自分のサークルがチェックされている数がリアルタイムで確認可能。
サークルチェックは直前にやる方が半数以上のようで、僕のサークルも、開催日2日前の朝次点での被チェック数と当日終了後の被チェック数を比較すると、倍以上の開きがある。
被チェック数は頒布数の目安にもなる、という触れ込みなのですが、入稿締め切りも考えると、これを基に何部刷るかを決めるのは困難。
ただ、被チェック数が少しづつ増えていくのは作る側としては非常にうれしい。
被チェック数については、ツイッターのハッシュタグ「#被チェック数」で検索すると、いくつかのサークルさんが定期的につぶやいておりました。
また、その情報をかき集めてグラフ化してくれている方などもいらっしゃいました。
公式サイトで使われているAPI利用して被チェック数を定期的に取得&蓄積するスクリプトくらいならあまり手間をかけずに書けそう。
curlでリクエスト投げてレスポンスjson はjqで簡易パースすれば多分シェルスクリプトでも書けるはず。
↑ 次回があれば書いてみるかも
総括
出展するのは楽しい。
一度出展したらまた次も、という方が多いのも分かった気がする。
ただ個人的には、本書いているよりも、表紙やポスターなどのデザイン考えたりイベント前の準備しているときのほうが楽しかった。
ちなみに、今回出した本は、boothで紙の本+電子書籍/電子書籍単体 どちらも1000円で販売しています。
ただ、現在紙の本は倉庫搬入待ち状態のため、販売開始までに少し時間が掛かってしまうかもしれません。
ショップページ : https://noranuk0.booth.pm/
ご興味ありましたらご覧になってください。
というわけで、今回の記事は以上となります。
お読みいただきありがとうございました。