さきに、市販ToFカメラについて調査中(2023年版)の記事を書いた。
それに関連して、重箱の隅のようなことを別途記載する。
ToF(Time of Flight)カメラで、容易に深度(depth)が測定できるようになってきているから、買ってきて接続すれば十分だろうと思う方も多いかもしれない。
しかし、そう簡単ではないことを記す。
940nm のToFカメラは、太陽直射光の下でも使える。
- 940nm を採用しているToFカメラも増えているので、それを用いれば屋外でも使える。
- 940nmを使うと、大気中の水蒸気の吸収によって、太陽光中の940nmの光が抑制されている。そのため照射した940nmの近赤外光の戻り値が埋もれにくい。
遠方での距離の算出が苦手
- 遠方からの戻り光が減衰しすぎると距離が算出できない。
- 中には30m先でもdepthが求まるToFカメラもあるので検索してみてほしい。(ただし高価)
黒くて光を吸収・散乱する対象物が苦手
- 顔が計測できていても、頭部の髪の毛が欠損値になることがある。
- 黒のズボンも、ズボンの染料の種類・布地の種類によっては、欠損値になってしまう。
ToFの近距離側の算出距離の限界がある。
- 30 cmという近距離を必要とする使い方の場合には、各社の中でそれをサポートするToFカメラを探してほしい。
- この距離は、ToFのイメージセンサだけでは決まらない。
- その製品ごとに違ってくる。
- ステレオ計測の場合でも近距離側の限界があるので、別にToFに限ったことではない。
近赤外光を透過するガラスが苦手
- ガラスへの距離を算出できない。
- ガラスの先の対象物への距離を算出してしまう。
鏡も苦手
- 鏡に写っている対象物への距離を算出してしまう。
黒光りするものも苦手
- 通常の物体の場合と違った奥行き画像になってしまうことがある。
反射率の低い黒い物体は、奥行きの計算にも影響することがある。
ToF特集【第8話】ToFカメラでこんな被写体、撮影してみました。
の記事を読んでみてください。
3Dカメラ比較例
3Dカメラ 8種類を 様々な環境で比較しました 【その① 屋外編】
3Dカメラ 8種類を 様々な環境で比較しました 【その② 屋内編】
ユーザーの取るべき手段
- 欠損値が生じたり、期待しない値になるような状況が、ユースケースでどう影響が出るのかを考慮すること。
- 超音波センサなど他のセンサの併用についても考慮すること。
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追記: 座標系の対応付け
RGBカメラとDepthカメラで、微妙に座標系が違っている場合には、以下の記事にあるようにDepth画像でRegstrartion(画素の対応付け)を行うとよい。
qiita ROSのカメラ画像処理に関するメモ