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東芝の画像認識チップ Visconti のその後

Last updated at Posted at 2019-05-07

先に東芝の画像認識チップ Visconti はどうなるという記事を書いた。その後のVisicontiのチップの記事を見つけたので、その記事への紹介とを書く。

東芝の車載用画像認識プロセッサーの次期製品「Visconti 5」、高速・低消費電力を実現した技術


上記記事中の構成図

DNN搭載Visconti 5を19年9月からサンプル出荷へ

Visconti5の主な仕様
上記 記事から引用

Toshiba 画像認識プロセッサ Visconti™

この記事を執筆時点では、このページにVisconti5 の情報が書かれていない。

Toshiba ニュースリリース車載向け画像認識AIプロセッサ「Visconti™5」のDNNハードウェアIPを開発

  • Affine変換などのアクセラレータを持つことは従来と同じ。
  • CoHOG特徴量を使った歩行者検出のための枠組みは残っている(ただ積極的に前面にだすことはしていないようだ)。
  • 「DNN(Deep Neural Network)」アクセラレータが入っている。

深層学習のアクセラレータは、各社とも力を入れている分野である。
車載分野に特化した時に、十分に使い勝手のよいチップとなるのかどうか、
詳しい技術情報を知りたいところである。

  • DNNの入力画像サイスがいくらなのか?
  • DNN での処理のスループットとレイテンシはいくらなのか?
  • DNNで識別できるオブジェクトの数はいくらなのか?
  • サンプルリファレンスとして提供されるはずの一般物体認識の学習済みデータはどんなのが用意されるのか?

より詳細な情報が早く明らかになることを期待したい。

追記:

本当に売りたいのであれば、次のサポートを考えてほしい。

  • OpenCV のサポート
  • TensorFlow のサポート
  • OpenVinoのサポート
  • ONNX のサポート
  • Visual SLAM

後発なのだから先行しているチップよりもユーザーがうれしい内容を入れてほしい。
他のチップよりも2,3割計算時間が速いなどというレベルで合ったら、
開発環境の充実している環境の方を選ぶだろう。

なぜなら、選ばれたチップは改良が進み、2,3割の計算時間の差はすぐに解消してしまうという状況になるからだ。

健闘を期待する。


以下の情報によれば、2019年9月からサンプル出荷
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/product/automotive/image-recognition/roadmap.html


追記(2019.9.29 時点)

Visconti 5 のサンプル出荷の状況についてのwebページにたどり着けていない。

強豪がどれだけ、自前のチップを売るのに努力をしているのかを考えよう。

競合メーカーがしていること:
- 無料のセミナーやハンズオンセミナーを開催している。
- そのチップで目的の機能を利用するためのライブラリ、サンプル実装をgithub上で公開している
- web上でフォーラムを開催しており、質問を投稿できるようにしていると同時に、その質問への回答を行なっている。

そのような努力をVisconti5については見つけられていない。

英語のページについても同様だ。
https://toshiba.semicon-storage.com/us/product/automotive/image-recognition/tmpv7608.html
では
NewProduct でたどり着ける情報が
Visconti4 のものなのだ。

Web ページの更新などは、製品自体の開発のコストに比べればタダみたいな金額だ。
にもかかわらず、その費用をケチって、製品を売ることを考えていないのは、信じられない。

まるで、「情報を出し惜しみすることが、営業担当者の価値を高めるのだ。営業担当者に連絡をくれた業者だけを優遇し、
それ以外の業者は相手にする必要がないのだ。
必要な実装の情報をwebで提供すると、営業がやるべき仕事がなくなってしまう]
と思っていのかのように見えてしまうのだ。
ある技術が、技術的な優位性を保ち続けられる期間は、機械学習の分野では短くなっています。

こうしている間にも陳腐化が進んでいくのです。


以下は記事の引用です。

「東芝とルネサスの半導体はそっくり」

「システムLSIでもっとも重要なものは人とソフトウエアである。例えばIntelがAIのソフトウエア会社や画像処理プロセッサのMobileyeを買ったりしているのはソフトウエアが重要だからだ。ところが日本の大手半導体メーカーはシステムLSIを推進していながら、ソフトや優秀な人(talented people)にではなく、微細化が必要な量産工場に投資してきた。メモリのような大量生産品は設備投資が重要であるが、システムLSIは少量多品種の製品であるため、優秀な人やソフトウエアが重要な要素となる。 」

画像認識プロセッサー「Visconti™4」を搭載したトヨタ自動車株式会社製の車両が 2018年度JNCAP予防安全性能評価で大賞を獲得

2019年01月13日
東芝VISCONTI5とそれに関わるモルフォの事実

画像認識プロセッサー Visconti™ ロードマップ/システム構成図


東芝の画像認識プロセッサー「Visconti™4」が中国APG社のADASソリューションに採用

東芝 一部半導体事業から撤退 770人対象に希望退職など募集へ
プレスリリース http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20200929_1.pdf


もっとできたはずのこと

  • Viscontiの新製品のプレスリリースした直後の展示会に、その新製品のチップをチップだけの展示であっても展示すべきだった。
  • 東芝のViscontiのページに新製品のチップの情報をきちんと提供すること。
  • そのような分野での手抜きが、そのチップを使うことへの不安を拡大させてしまった。
  • ただでさえ東芝グループは、国相手の大型ソフトウェア開発で開発に失敗していることがよく知られている。
  • ここに示したことは、チップの開発コストからみれば微々たる金額のはずだ。にもかかわらず、対策を講じられない組織の弱さがでてきてしまったのだろう。
  • ぜひ、この出来事から教訓を見つけて学び取ってほしい。
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