※2026年8月末時点での情報となります
2026年度末から本格的な運用がスタートする「SCS評価制度(サプライチェーン・サイバーセキュリティ評価制度)」。大企業からの要請で、取引継続の条件として「★3(三つ星)」の取得を急遽求められ、頭を抱えている情シス担当者も多いのではないでしょうか。
★3の取得基準に目を通すと、「ネットワーク境界の防御」「マルウェアの通信遮断」「アクセスログの保存」など、多岐にわたる要件が並んでいます。これをPCごとのソフトウェア制御や個別の設定で乗り切ろうとすると、運用負荷が跳ね上がり、審査時のエビデンス(証拠)提出でほぼ確実につまずきます。
本記事では、限られたリソースと予算の中で、SCS評価制度の審査準備を圧倒的にラクにする「ネットワーク境界防護(UTM)」の活用メリットについて解説します。
なぜ「アンチウイルスソフト」だけでは★3審査を通過できないのか
多くの企業が陥りがちな罠が、「全PCにウイルス対策ソフトを入れているから大丈夫」という思い込みです。SCS評価制度の★3基準では、単なるエンドポイント(PC)の保護だけでなく、以下の要素が厳しく問われます。
- エージェントレス機器の保護:ソフトをインストールできない社内のファイルサーバー(NAS)、ネットワークプリンター、監視カメラなどはどう守るのか?
- 出口対策(C&Cサーバー通信の遮断):万が一PCが感染した際、外部のハッカーへの情報漏えい通信を水際で止められるか?
- 客観的なエビデンス(記録)の提示:不正アクセスを防いだ記録や、誰がどこにアクセスしたかのログを数ヶ月分保存し、審査員に提示できるか?
PCごとの対策だけでは、ネットワーク全体の死角をカバーしきれず、審査で「証拠不十分」とみなされるリスクが高まります。
審査をハックする最適解としての「UTM」
IT専任者がいない、あるいは少数精鋭で回している組織にとって、SCSの細かな要件を一つずつ個別システムで満たしていくのは現実的ではありません。そこで、最も費用対効果が高く、審査対応の手間を省けるのが「UTM(統合脅威管理)」の導入です。
UTMをオフィスのネットワークの出入り口に設置するだけで、SCS評価制度で求められる複数の要件を一気にクリア(または劇的に簡略化)することができます。
1. 審査で最も厄介な「エビデンス提出」が即座に終わる
SCS審査において担当者を最も苦しめるのがログの収集とレポート作成です。UTMを導入していれば、ネットワーク全体の通信ログ、ブロックした不正アクセスの履歴、月次のセキュリティレポートなどが自動で生成・保存されます。「対策が機能している証拠を見せてください」という審査員に対し、UTMの管理画面やレポートを提出するだけで要件を満たすことができます。
2. 「ネットワーク境界防護」の要件を一台で網羅できる
★3で求められる「外部からの不正アクセス防御(ファイアウォール/IPS)」「危険なWebサイトへのアクセス制限(Webフィルタリング)」「マルウェア通信の検知・遮断」といった要件。これらを個別に構築すると莫大なコストと時間がかかりますが、UTMであればこれらの機能がオールインワンで備わっているため、導入したその日から要件の大部分にチェックを入れることが可能になります。
3. IoT機器やNASも「傘」に入れて丸ごと保護できる
UTMは個別のPCではなく、ネットワーク全体を傘のように覆って保護します。そのため、セキュリティソフトを入れられないNASや複合機、古いOSのまま稼働している業務端末なども、外部の脅威や踏み台攻撃から自動的に守ることができます。これにより、「社内ネットワーク上の全デバイスを保護している」という強力な審査アピール材料になります。
制度開始に間に合わせるためのロードマップ
SCS評価制度の★3取得には、単にシステムを導入するだけでなく、「一定期間(半年〜1年)の運用実績とログの蓄積」が求められます。つまり、取引先から「来月までに取得して」と言われてから動いたのでは間に合いません。
まずは自社のネットワーク環境を可視化し、境界防護とログ取得の仕組みがすっぽり抜けている場合は、UTMの導入を最優先で検討してみてください。「個別のセキュリティ対策に奔走する時間」をUTMにお金で解決してもらい、情シス本来の業務や、従業員へのセキュリティ教育といった「人にしかできない対策」にリソースを集中させることが、SCS評価制度をスムーズに乗り切る最大のカギとなります。