はじめに
Windowsパソコンを買うと最初から入っているセキュリティソフト「Windows Defender」。
最近は性能がとても良くなっており、「わざわざ有料のウイルス対策ソフトを買わなくても、Defenderだけで十分」という声をよく聞くようになりました。
確かに、個人のプライベート用PCであれば、その認識でも問題ないケースが多いです。しかし、会社のパソコンや、顧客データを扱うお仕事用のパソコンでも「Windows Defenderだけで十分」と言えるでしょうか?
結論から言うと、お仕事で使う環境においては「不十分」です。
この記事では、なぜ標準のWindows Defenderだけでは安心できないのか、IT初心者の方にもわかりやすく解説します。
そもそも「セキュリティ」の2つの役割
Windows Defenderがなぜ不十分なのかを知るために、まずはセキュリティ対策の「2つの役割」を知っておく必要があります。建物の防犯に例えてみましょう。
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入口の警備員(EPP)
- 建物の入り口で「怪しい人がいないか」をチェックし、中に入れないようにする役割です。
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建物内の監視カメラとパトロール(EDR)
- 万が一、変装した泥棒が建物の中に入ってしまった後、「中で悪さをしていないか」を監視し、捕まえる役割です。
標準のWindows Defenderは、このうち**「1. 入口の警備員(EPP)」としては非常に優秀**です。これまでに知られているウイルスの特徴をリスト化しており、入口でしっかりブロックしてくれます。
しかし、現代のサイバー攻撃は「入口で防ぐ」だけでは守りきれないほど巧妙になっています。
Windows Defenderだけでは不十分な3つの理由
1. 侵入された後の「監視カメラ(EDR)」機能がない
これが一番大きな理由です。
現代のセキュリティ対策では、「どれだけ入口の警備を厳しくしても、泥棒はいつか必ず侵入してくる」と考えるのが常識(ゼロトラスト)になっています。
標準のWindows Defenderは入口のブロックには強いですが、万が一すり抜けられてしまった場合、パソコンの中でウイルスが何をしているかを追跡・隔離する機能(=EDR)がありません。
つまり、一度侵入されてしまうと、やりたい放題にされてしまう危険があります。
2. 「透明人間」のような新しいウイルスが増えている
最近のウイルスは、入口の警備員(Windows Defender)を騙すのがとても上手です。
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姿を持たないウイルス(ファイルレス攻撃):
普通のファイル(.exeなど)の形をしていれば警備員も気づけますが、最近はパソコンのメモリ上だけで動く「姿を持たないウイルス」が増えています。 -
未知のウイルス(ゼロデイ攻撃):
警備員は「指名手配犯のリスト(シグネチャ)」を見て怪しい人を判断しますが、毎日作られる「まだリストに載っていない新しいウイルス」は素通りさせてしまうことがあります。
3. 会社全体に「サイレンを鳴らす」機能がない
これは会社などのチームで使う場合に致命的です。
もし、社員の誰かのパソコンがウイルスに感染した場合、会社の管理者は「誰のパソコンが、いつ感染して、他の人のパソコンにうつっていないか」をすぐに確認しなければなりません。
標準のWindows Defenderは、警告が「そのパソコンの画面」にしか出ません。管理者のパソコンにアラートを飛ばしたり、会社全体の被害状況を一覧でチェックしたりする機能がないため、「誰かがウイルスに感染したこと」自体に気づけないという恐ろしい事態が起こります。
では、どうすればいいのか?
「じゃあWindows Defenderをオフにして、別のソフトを入れなきゃいけないの?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
入口の警備(EPP)として優秀なDefenderはそのまま活かしつつ、足りない「監視カメラ(EDR)」の機能を追加するのが、現代の正しいセキュリティ対策です。
具体的な対策としては、以下のようになります。
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上位版(法人向け)のDefenderを導入する
- Microsoftが法人向けに提供している「Microsoft Defender for Endpoint」などの有料プランを契約すると、強力な監視カメラ(EDR)機能と、管理者向けの通知機能が追加されます。
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別のEDR製品を組み合わせて使う
- CrowdStrikeやSentinelOneなど、侵入された後の動きをAIで検知する専門のセキュリティソフト(EDR)を導入し、標準Defenderの弱点を補います。
まとめ
「Windows Defender」は無料で高性能な素晴らしい機能ですが、それはあくまで「入口の鍵・警備員」としての話です。
「パソコンにもともと入っているから大丈夫」と油断せず、大事なデータを扱うパソコンには「万が一侵入された後にどうするか(EDR)」という視点を持って、セキュリティ対策を見直してみてください。