2026年7月16日、LiON「学校へ行こう!DX」の第2回として、さいたまIT・WEB専門学校でキャリアをテーマにした授業を実施しました。
今回の中心は、仕事の正解や成功例を一方的に伝えることではありません。「これまでのしくじり」「今の自分」「こうなりたい自分」の間にある差を、自分の言葉で捉え直すこと。そして、その言葉を5年後の仮プランと、次に取れる行動へつなげることです。
LiON「学校へ行こう!DX」とは
「学校へ行こう!DX」は、LiONで活動する実務家が学校教育に関わり、学校での学びと仕事の現場を接続する教育連携プロジェクトです。
実務家が知識を持ち込んで話すだけでは、学びは学生本人のものになりません。今回の授業では、学生が自分の経験を振り返り、現在地と将来を結び直すための問いとワークを、学校の先生方と連携しながら組み立てました。
第2回で目指したこと
学校では、資格、プログラミング、コミュニケーション、キャリアなど、多くのことを学びます。一方で、それらが「なぜ自分に必要なのか」まで結びつかないと、学習は目の前の課題を終わらせる作業になりがちです。
そこで今回は、将来の職業を一つに決めるのではなく、次の問いを順番に考える構成にしました。
- 今、自分はどのような状態にいるか
- 本当は、どのような状態になりたいか
- 現状と理想の間に、どのような差があるか
- その差を縮めるために、次に何をするか
- 一人で難しいとき、誰に何を相談するか
5年後のキャリアは、今の時点で確定させる必要はありません。まず仮に置いてみることで、今日の学びや明日の行動とのつながりを見つけやすくなります。
「しくじり」を、自分の言葉で振り返る
最初のワークでは、成功体験ではなく「しくじり」や挫折を出発点にしました。
理想の将来像をいきなり書こうとすると、手が止まることがあります。一方、うまくいかなかった経験には、困ったこと、足りなかったこと、本当はどうしたかったのかといった具体的な材料が残っています。
ワークでは、過去の経験を思い出して終わるのではなく、次の順序で整理しました。
- しくじりや挫折を思い出す
- そのときの現状を書く
- 本当はどうなりたかったかを書く
- 現状と理想のギャップを言葉にする
失敗を反省材料として閉じるのではなく、次に必要な学びや相談へ変換するための材料として扱うことが狙いです。
いわゆるGAP分析ですね。AsIs-ToBeから考える練習です。
5年後を「仮」で書いてみる
続くワークでは、先ほど整理したギャップを引き継ぎ、5年後の仮プランを考えました。
ここで重要なのは、正確な未来予測を求めないことです。将来像は、経験や出会いによって変わります。それでも一度言葉にすると、「今の学びを何につなげたいのか」「次に試すことは何か」を考える足場になります。
また、自分の中だけで完結させず、他者の考えや応援の言葉を受け取れる構成を組み込みました。自分では思いつかなかった選択肢や、すでに持っている強みに気づくきっかけをつくるためです。
対面とブラウザを組み合わせる
授業は対面で行い、ワークへの記入にはブラウザを使いました。
対面には、表情、迷い、手の止まり方など、言葉になる前の反応を受け取れる利点があります。ブラウザには、発言を急がず自分のペースで考えられることと、考えた内容を記録として残せる利点があります。
今回は、この二つを組み合わせました。教室の反応を受け取りながら説明や問いの比重を調整し、学生には自分の言葉を画面上へ残してもらう進め方です。
デジタル化そのものを目的にするのではなく、対面でしか得られない情報と、デジタルだから残せる情報を役割分担させました。
学校と実務家が同じ場をつくる意味
今回の授業は、外部の実務家が一方的に経験談を話す講演ではありませんでした。学校の先生方と授業の狙いを共有し、問い、個人ワーク、他者との共有、振り返りまでを一つの流れとして設計しました。
実務家が教育現場へ持ち込めるのは、最新技術や仕事の成功談だけではありません。学校で学んでいることが、現場ではどのような判断や行動につながるのか。その接続の仕方を、具体的な問いとして渡すことにも価値があります。
同時に、実務家側も、学生がどこで迷い、どの言葉なら自分の経験と結びつけられるのかを学べます。学校と実務家の連携は、一方向の知識提供ではなく、双方が授業をつくる活動だと考えています。
実施したことと、起きた変化を分けて考える
今回確認できているのは、学生へ共通の問いを提示し、しくじりから現状・理想・ギャップを整理し、5年後の仮プランへつなげるワークを実施したことです。
一方で、この授業によってどのような行動の変化が起きたかは、実施した事実だけでは判断できません。振り返りやアンケート、学校側の所感を確認したうえで、授業設計のどこが機能し、どこを改善すべきかを検証します。
活動報告と効果検証を分けることも、教育連携を継続的に改善するために必要な姿勢です。
次の授業へ
今回の第2回登壇では、「しくじり」「現在地」「理想」「ギャップ」「5年後」「次の一歩」を、一続きのワークとして扱いました。
学校と実務の間に必要なのは、仕事の話を聞く機会だけではありません。学生が自分の経験と学びを結び、自分の言葉で次の行動を考えられる場だと考えています。
現場で熱心にご指導されている先生方の助けになれば、という考えもありますが、何より学生の方が普段学びにくいことを学ぶ機会になることが本プロジェクトの狙いでもありますので、エンジニア職への関心と理解を高めていただいて学習のモチベーションとしていただければと考えています。