プロジェクトの概要|振り返りノート
1. プロジェクトとは
プロジェクトとは、次のように定義されます。
独自の目標を設定し、期限までに達成させる一連の活動
プロジェクトを判断するうえで、特に重要なのは次の2点です。
- 独自の目標がある
- 達成期限が決められている
また、プロジェクトには開始と終了があり、永続的に続く活動ではありません。
プロジェクトの特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 独自性 | 新しい要素を含む目標がある |
| 期限 | 開始日と終了日が決まっている |
| 一時性 | 目標達成後に活動が終了する |
| 目標達成志向 | 設定した目標の達成を重視する |
| 未来志向 | 現在の状態を変え、未来に新しい成果を生み出す |
| 不確実性 | 将来の活動であるため、想定外の問題が発生する |
プロジェクトの判定方法
独自の目標があるか
├─ ない → 定常業務の可能性が高い
└─ ある
↓
期限が設定されているか
├─ ない → 定常業務の可能性が高い
└─ ある → プロジェクト
プロジェクトの例
- 創業30周年記念パーティーを企画・実行する
- 業務プロセスを6か月以内に10%効率化する
- 新しい営業チームを編成し、半年間で100件受注する
- 新しいシステムを期限までに導入する
- 新店舗を開店する
2. プロジェクトと定常業務の違い
企業の業務活動は、大きく次の2つに分類されます。
- プロジェクト
- 定常業務(継続業務・ルーティンワーク)
比較表
| 比較項目 | プロジェクト | 定常業務 |
|---|---|---|
| 活動の性質 | 一度きり | 繰り返し |
| 特徴 | 新規性・独自性 | 継続性・反復性 |
| 期限 | 開始と終了がある | 原則として継続する |
| 志向 | 目標達成志向 | 安定運営志向 |
| 視座 | 未来視座 | 現在視座 |
| 目的 | 新しい価値や変化を生み出す | 現在の価値や状態を維持する |
| 管理方法 | プロジェクトマネジメント | 定常業務マネジメント |
定常業務の例
- 毎日、業務日誌を記入する
- 日々の資料を所定のフォルダへ保存する
- 毎月の給与計算を行う
- 導入済みシステムを運用する
- 店舗で日常的な営業を行う
覚え方
プロジェクトは、新しい段へ上る活動
定常業務は、上った段を維持する活動
3. 企業活動におけるプロジェクトの位置づけ
企業が定常業務だけを続けている場合、現在の状態を維持することはできますが、大きな発展は起こりにくくなります。
企業はプロジェクトによって新しい成果を生み出し、その成果を定常業務へ組み込むことで発展します。
現在の定常業務
↓
新しい目標を設定する
↓
プロジェクトを実施する
↓
目標を達成する
↓
成果を新しい定常業務として定着させる
↓
さらに新しい目標を設定する
↓
次のプロジェクトを実施する
この流れを繰り返すことで、企業は将来像やビジョンへ近づきます。
4. プロジェクトでトラブルが発生する理由
プロジェクトの目標や成果物は未来に設定されます。
未来の状況を完全に予測することはできないため、プロジェクトには不確実性があります。
代表的なトラブル
- 目標を明確に設定できない
- 計画どおりに進まない
- 想定外の問題が発生する
- スケジュールが遅延する
- 予算が超過する
- 人員や資源が不足する
- 一部のメンバーに負担が集中する
- メンバー間で意見が対立する
- 計画外の作業を追加で要求される
- 途中で要求や条件が変更される
これらの問題に対応しながら目標達成を目指すために、プロジェクトマネジメントが必要です。
5. プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントとは、次のように定義されます。
目標を期限までに達成するために、設定基準から外れないよう、活動全体を管理・統制すること
設定基準の例
- プロジェクトの目標
- 成果物
- 作業範囲
- スケジュール
- 予算
- 品質
- 担当者
- 必要な資源
- リスクへの対応方法
基本的な流れ
目標を設定する
↓
計画を作成する
↓
活動を実行する
↓
進捗や状況を確認する
↓
計画との差異や問題を発見する
↓
対応・修正する
↓
目標達成を目指す
プロジェクトマネジメントは、計画を作るだけではありません。
実行中の進捗を確認し、問題や計画との差異があれば対応・修正することまで含まれます。
6. プロジェクトマネジャーとは
プロジェクトマネジャーとは、次の役割を担う人です。
目標を期限までに達成するために、設定基準から外れないよう、知識と技術を駆使し、活動全体を管理・統制する役割と責任を担う者
主な役割
- プロジェクトの目標を明確にする
- 計画を作成する
- メンバーへ役割や作業を割り当てる
- 進捗を管理する
- 課題やリスクを管理する
- 関係者と調整する
- 計画との差異へ対応する
- 必要な変更を管理する
- プロジェクトを完了させる
重要なポイント
プロジェクトマネジャーは、割り当てられた作業だけを行う人ではありません。
プロジェクト全体を管理・統制し、プロジェクトの完了に責任を負います。
7. プロジェクトを取り巻く主要な関係者
全体構造
プロジェクト運営委員会・役員会
↓
プロジェクトスポンサー
↓
プロジェクトマネジャー
↓
プロジェクトマネジメントチーム
↓
プロジェクトチーム
PMOは、個々のプロジェクトやプロジェクトマネジメントを組織横断的に支援します。
8. プロジェクト運営委員会・役員会
プロジェクト運営委員会や役員会は、組織内のプロジェクト全体に対する管理・統制を行います。
主な役割
- 組織全体のプロジェクトガバナンス
- プロジェクトへの資源提供
- プロジェクトの継続・中止の判断
- 経営レベルでの指導
- 組織方針との整合性確認
覚える言葉
ガバナンス・継続・中止・経営判断
9. プロジェクトスポンサー
プロジェクトスポンサーは、プロジェクトを経営・組織レベルで支援する関係者です。
主な役割
- プロジェクトを承認する
- 人員や予算などの資源を提供する
- プロジェクトマネジャーを任命する
- PMの権限を超える問題を解決する
- 重大な対立を解決する
- 経営的な意思決定を行う
覚える言葉
承認・資源提供・PM任命・経営判断
10. プロジェクトマネジメントチーム
プロジェクトマネジメントチームは、プロジェクトマネジャーのマネジメント活動を支援します。
主な役割
- 計画作成の支援
- 進捗管理
- 課題管理
- リスク管理
- 会議運営
- 管理資料の作成
- 関係者との調整
規模が大きいプロジェクトや、複雑で高度なプロジェクトで編成されることがあります。
覚える言葉
プロジェクトマネジャーのマネジメントを支援する
11. プロジェクトチーム
プロジェクトチームは、プロジェクトの具体的な活動やタスクを遂行します。
主な役割
- 割り当てられた作業を実施する
- 成果物を作成する
- 作業の進捗を報告する
- 問題やリスクを共有する
- 担当タスクに責任を持つ
覚える言葉
活動・タスクを遂行する
12. PMOとは
PMOは、Project Management Officeの略です。
組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を、横断的に行う部門または仕組み
主な役割
- プロジェクト管理方法の標準化
- 管理手順やルールの整備
- テンプレートの提供
- PMやメンバーへの教育訓練
- 計画作成の支援
- 進捗の監視・コントロール支援
- プロジェクトガバナンスの支援
PMとPMOの違い
| 比較項目 | PM | PMO |
|---|---|---|
| 対象 | 特定のプロジェクト | 組織内の複数プロジェクト |
| 役割 | プロジェクト全体を管理する | プロジェクトマネジメントを横断支援する |
| 責任 | プロジェクト完了に責任を負う | 標準化・教育・監視などを支援する |
覚える言葉
組織横断的な支援・標準化・教育・監視
13. 関係者の役割比較
| 関係者・組織 | 主な役割 |
|---|---|
| プロジェクト運営委員会・役員会 | 組織全体のガバナンス、継続・中止の判断 |
| プロジェクトスポンサー | 承認、資源提供、PM任命、経営判断 |
| プロジェクトマネジャー | 活動全体の管理・統制、完了責任 |
| プロジェクトマネジメントチーム | PMのマネジメントを支援 |
| プロジェクトチーム | 具体的な活動・タスクを遂行 |
| PMO | 個々のプロジェクトを組織横断的に支援 |
14. 混同しやすいポイント
プロジェクトマネジメントチームとプロジェクトチーム
| プロジェクトマネジメントチーム | プロジェクトチーム |
|---|---|
| PMを支援する | 実際の作業を行う |
| 管理や監視を支援する | 成果物を作成する |
| マネジメント側 | 実行側 |
プロジェクトマネジャーとスポンサー
| プロジェクトマネジャー | プロジェクトスポンサー |
|---|---|
| 日常的にプロジェクトを管理する | 経営・組織レベルで支援する |
| 進捗・課題・リスクを管理する | 資源を提供する |
| プロジェクト完了に責任を負う | PMを任命する |
| 権限外の問題を上申する | PMの権限を超える問題を解決する |
PMOとプロジェクトマネジメントチーム
| PMO | プロジェクトマネジメントチーム |
|---|---|
| 複数のプロジェクトを横断支援する | 特定プロジェクトのPMを支援する |
| 組織的な仕組み・部門 | プロジェクト内のチーム |
| 標準化・教育・監視を支援 | 計画・進捗・課題管理を支援 |
15. プロジェクトマネジメントの知識体系
プロジェクトマネジメントには、不確実性の高いプロジェクトを管理・統制するための、さまざまな知識と技術があります。
プロジェクトマネジメントの知識体系は、プロジェクトを成功させるための工具箱である
工具箱の例え
| 工具箱 | プロジェクトマネジメント |
|---|---|
| 工具箱全体 | プロジェクトマネジメントの知識体系 |
| 個々の工具 | 各種の管理手法や文書 |
| 工具を選ぶ | 状況に合った手法を選ぶ |
| 工具を使う | 知識や技術を実務で活用する |
すべての知識や技術を毎回使うわけではありません。
プロジェクトの規模や状況に応じて、必要な手法を選択します。
16. 未来を可視化する
プロジェクトマネジメントで特に重要なのは、未来の目標や計画を可視化することです。
可視化する対象
- 目標
- 成果物
- 要求
- 作業範囲
- スケジュール
- 担当者
- 費用
- リスク
- 課題
未来の活動を文書や表として可視化することで、関係者が同じ認識を持ちやすくなります。
17. 本講座で学ぶフェーズ
目標設定
↓
計画
↓
実行・修正
↓
終結
目標設定フェーズ
- プロジェクトビジョン
- プロジェクト憲章
プロジェクトの目的や目指す将来像、基本事項を明確にします。
計画フェーズ
- 要求管理表
- スコープ記述書
- WBS
- ガントチャート
- RACIチャート
- コスト管理表
- リスク管理表
何を、誰が、いつまでに、いくらで実施するのかを可視化します。
実行・修正フェーズ
- キックオフミーティング
- チームビルディング
- 進捗管理
- 課題管理
- 目標・計画の変更会議
- プロジェクト終結報告書
- プロジェクト終結ミーティング
- プロジェクトチームの解散
計画に基づいて活動し、問題や差異があれば必要な修正を行います。
18. プロジェクトマネジメントは業種を問わない
プロジェクトマネジメントは、ITや建設だけで使用するものではありません。
活用例
- ITシステムの導入
- 新商品の開発
- 工場設備の導入
- 生産工程の改善
- 新店舗の開業
- イベントの開催
- 営業チームの新設
- 社内制度の導入
- 組織再編
- 医療サービスの改善
独自の目標と期限を持つ活動であれば、業種や案件を問わず活用できます。
19. 学習と実践
プロジェクトマネジメントは、知識を覚えるだけでは十分ではありません。
基礎知識と技術を学ぶ
↓
実務で活用する
↓
新しい課題や問題を経験する
↓
より高度な知識や技術を学ぶ
↓
再び実務で活用する
基礎を学び、実践し、経験をもとにさらに学ぶことが重要です。
20. クイズの重要ポイント
プロジェクト
独自の目標を設定し、期限までに達成させる一連の活動
企業活動の分類
プロジェクトと定常業務
プロジェクトの志向
目標達成志向
定常業務の志向
安定運営志向
プロジェクトマネジメント
目標を期限までに達成するために、設定基準から外れないよう、活動全体を管理・統制すること
プロジェクトマネジャー
知識と技術を駆使し、活動全体を管理・統制する役割と責任を担う者
PMO
個々のプロジェクトマネジメントを組織横断的に支援する部門または仕組み
プロジェクトスポンサー
プロジェクトを承認し、資源を提供し、PMの権限を超える問題を解決する
プロジェクトマネジメントチーム
プロジェクトマネジャーのマネジメントを支援する
プロジェクト運営委員会・役員会
組織内のすべてのプロジェクトの管理・統制、ガバナンスを担う
pro-jectの意味
プロジェクトは未来に働きかける活動
21. 試験直前の暗記用
プロジェクト
=独自の目標+期限
プロジェクト
=目標達成志向
定常業務
=安定運営志向
プロジェクトマネジメント
=活動全体の管理・統制
プロジェクトマネジャー
=知識と技術を使い、完了に責任を負う
スポンサー
=承認・資源提供・PM任命・経営判断
プロジェクトマネジメントチーム
=PMを支援
プロジェクトチーム
=活動・タスクを遂行
運営委員会・役員会
=組織全体のガバナンス
PMO
=組織横断的な支援
プロジェクト
=未来に働きかける活動
22. 第一章の全体像
未来の独自の目標を設定する
↓
期限を決める
↓
目標や計画を可視化する
↓
プロジェクトマネジャーが活動全体を管理・統制する
↓
プロジェクトチームが活動・タスクを遂行する
↓
進捗・課題・リスクを確認する
↓
必要に応じて計画を修正する
↓
スポンサーやPMOなどの支援を受ける
↓
目標を達成する
↓
プロジェクトを終結する
↓
成果を定常業務へ定着させる
↓
組織が発展する
一文まとめ
プロジェクトとは、未来に新しい価値を生み出すため、独自の目標を設定し、関係者と協力しながら期限までに達成を目指す一時的な活動であり、その活動全体を計画・管理・修正・統制することがプロジェクトマネジメントである。