今回の記事では、主要な画像生成AIの中から、公式にAPIが提供されているものを厳選して10種類まとめてみました。
各AI APIの「できること」と「できないこと」をまとめ、それぞれの強みやユースケースを解説します。
1. DALL-E 3 API
OpenAIが開発した高性能な画像生成AIです。ChatGPT Plusに統合されていることでも知られています。
強み・ユースケース
- 自然言語の理解力: 他のAIと比較して、プロンプトの意図や文脈を正確に理解し、複雑な指示にも対応できます。
- 高品質な画像生成: 細部の描写や質感に優れており、プロンプトに忠実な画像を生成します。
- 画像編集機能: 画像の一部を編集したり、既存の画像を模倣した新しい画像を生成したりする機能も備えています。
できること
- テキストからの高品質な画像生成
- 既存画像の編集・加工
- 複雑なプロンプトの正確な解釈
- API経由での安全な利用(入力内容がモデルの学習に使われない)
できないこと
- カスタマイズ性の低さ: Stable Diffusionのように、特定のモデルを追加したり、LoRAやControlNetといった拡張機能で画風を細かく調整することはできません。
- 写実的な表現の限界: リアルな写真のような画像生成では、AI特有の「AIっぽさ」が残る場合が多いです。
- 著作権侵害対策の制限: 存命アーティストのスタイルでの画像生成リクエストは拒否されるように設計されています。
公式サイト : https://openai.com/ja-JP/index/dall-e-3/
2. Stable Diffusion API (DreamStudio)
オープンソースで提供されている画像生成AIです。APIはStability AIの「DreamStudio」や様々なサードパーティサービスから利用できます。
強み・ユースケース
- 高いカスタマイズ性: 豊富なモデルや拡張機能(LoRA、ControlNetなど)を使用することで、画風や構図を細かく調整できます。
- 多機能性: テキストからの生成だけでなく、Inpainting(部分修正)やOutpainting(画像拡張)など、多様な編集機能も利用できます。
- ビジネスでの活用: 著作権フリーのモデルや、商用利用が許可されたモデルを利用することで、安心してビジネスに組み込めます。
できること
- テキストからの画像生成
- 画像のInpainting(部分修正)
- 画像のOutpainting(画像拡張)
- 豊富なモデルや拡張機能による精密なコントロール
- 基本的に商用利用可能
できないこと
- あいまいなプロンプトでの生成: 高品質な画像を生成するためには、複雑なプロンプトや技術的な知識が求められる場合があります。
- 同じ画像の再現性の低さ: 同じプロンプトを入力しても、常に同じ画像が生成されるわけではありません。
- ライセンスの確認: 使用するモデルによっては、商用利用が認められていないケースがあるため、ライセンスの確認が必須です。
公式サイト : https://stablediffusionapi.com/
3. Adobe Firefly API
Adobeが開発する画像生成AIで、著作権に配慮した学習データが特徴です。Adobe Creative Cloud製品との連携を強みとしています。
強み・ユースケース
- 著作権の安全性: Adobe Stockの画像や著作権が切れたコンテンツを学習データとしており、商用利用における著作権リスクが低いとされています。
- Adobe製品との連携: PhotoshopやIllustratorなどの既存のAdobe製品に統合され、シームレスなワークフローを実現します。
- 多様な生成機能: 画像生成だけでなく、テキストエフェクトやベクター画像の生成など、幅広い機能を提供します。
できること
- 著作権リスクの低い画像生成
- 「生成塗りつぶし」などの高度な編集機能
- Adobe Creative Cloud製品との連携
- テキストからの動画生成(ベータ版)や効果音生成(ベータ版)など
できないこと
- 無料利用の制限: 無料で利用できる回数に制限があり、本格的な利用には有料プランが必要です。
- クリエイティブな自由度の限界: 著作権に配慮した設計のため、特定のアーティストのスタイルを意図的に模倣するような生成はできません。
公式サイト : https://developer.adobe.com/firefly-services/docs/firefly-api/
4. Google Imagen API
Googleが開発した高精度な画像生成AIです。Google CloudのGenerative AI on Vertex AIサービスとして提供されています。
強み・ユースケース
- 高い品質と精度: プロンプトに忠実な、高品質な画像を生成します。
- Google Cloudとの統合: Google Cloudのインフラ上で動作するため、セキュリティやスケーラビリティに優れています。
- 多言語対応: プロンプトの自動翻訳機能を備えており、多言語での利用が可能です。
できること
- テキストからの高品質な画像生成
- 画像のアップスケール
- 多言語プロンプトの自動翻訳
- Google Cloudの堅牢なインフラ上での利用
できないこと
- 編集機能の非対応: Inpainting(特定部分の修正)やOutpainting(画像拡張)といった編集機能は提供されていません。
- 著名人の生成禁止: 著作権やプライバシー保護の観点から、著名人の画像生成は許可されていません。
公式サイト : https://ai.google.dev/gemini-api/docs/imagen?hl=ja
5. Leonardo AI API
ゲームアセットやアートワーク制作に特化した画像生成AIです。
強み・ユースケース
- ゲームアセット制作: ゲームのキャラクター、アイテム、背景などのアセット制作に特化したモデルや機能が充実しています。
- コミュニティ機能: ユーザーが生成した画像を共有したり、他のユーザーのプロンプトを参考にしたりするコミュニティが活発です。
- 多彩なモデル: アニメ、ファンタジー、リアルなど、様々なモデルを選択して生成できます。
できること
- ゲームアセットやアートワークの生成
- 多彩なモデルの選択
- 無料プランでの商用利用(一部制限あり)
できないこと
- 人物の正確な生成: 自分のイメージと完全に一致する人物画像を生成するには、試行錯誤が必要です。
- 無料プランの制限: 無料プランでは高度な機能の利用回数や、生成した画像の公開範囲に制限があります。
公式サイト : https://leonardo.ai/api/
6. Playground AI API
Playground AIは、ユーザーフレンドリーなインターフェースと、複数のAIモデルを統合していることが特徴です。
強み・ユースケース
- 使いやすさ: 直感的なUIで、初心者でも簡単に画像生成ができます。
- 多様なモデル: Stable DiffusionやDALL-Eなど、複数のモデルを切り替えて利用できます。
- 画像編集機能: プロンプトによる画像生成だけでなく、既存画像の編集機能も備えています。
できること
- テキストからの画像生成
- 画像の編集・加工
- 複数のAIモデルの利用
できないこと
- 無料利用の制限: 無料で生成できる画像の枚数に制限があります。
- 日本語対応の精度: 日本語でのプロンプト入力は可能ですが、精度は英語に劣ります。
公式サイト : https://playground.com/
7. DreamStudio API
Stable Diffusionを開発するStability AIが提供する公式のサービスです。Stable Diffusionの最新モデルや機能をいち早く利用できます。
強み・ユースケース
- 最新モデルへのアクセス: Stable Diffusionの最新バージョンや限定的なモデルをいち早く試すことができます。
- 信頼性: 開発元が提供するサービスであるため、安定性や信頼性が高いです。
できること
- Stable Diffusionの最新モデルによる画像生成
- 画像のアップスケール、部分修正など
できないこと
- 独自の機能: Stable Diffusionのコア機能に特化しており、Playground AIのような複数のAIモデルの切り替えや、高度な編集ツールは提供されていません。
公式サイト : https://dreamstudio.stability.ai/
8. Lexica API
Lexicaは、膨大な数のAI生成画像を検索できるサービスとしてスタートし、独自の画像生成モデルも提供しています。
強み・ユースケース
- プロンプト検索: 他のユーザーが生成した画像を参考に、プロンプトのヒントを得ることができます。
- 高品質な画像: 学習データに高品質な画像を使用しており、独自のモデルで美しい画像を生成します。
できること
- テキストからの画像生成
- 画像の編集・加工(色調調整、フィルターなど)
- プロンプトの検索と発見
できないこと
- 機能の特化性: 検索と画像生成に特化しており、DALL-EやStable Diffusionのような複雑な編集機能は限定的です。
公式サイト : https://lexica.art/
9. RunwayML API
RunwayMLは、AI動画生成で知られるプラットフォームですが、画像生成・編集のAPIも提供しています。
強み・ユースケース
- マルチモーダルな機能: 画像生成だけでなく、静止画から動画を生成するGen-1や、テキストから動画を生成するGen-2といったユニークな機能もAPI経由で利用できます。
- クリエイティブな表現: 独特の芸術的なスタイルで、単なる画像生成にとどまらないクリエイティブな表現が可能です。
- 動画コンテンツ制作: 動画制作のワークフローにAI機能を組み込みたい場合に非常に有用です。
できること
- テキストからの画像生成
- 画像の一部を編集・修正するInpainting
- 静止画から動画を生成
- テキストから動画を生成
できないこと
- 費用対効果: 他の静止画生成APIと比較して、特に動画生成機能はコストが高くなる傾向があります。
- 機能の専門性: 動画生成に強みがあるため、静止画生成に特化した機能の充実度では劣る場合があります。
- モデルのカスタマイズ性: Stable Diffusionのように、多様なカスタムモデルを自由に選択する機能はありません。
公式サイト : https://docs.dev.runwayml.com/
10. Hugging Face Hub API
Hugging Faceは、オープンソースのAIモデルを共有・利用するためのプラットフォームです。APIを利用することで、膨大な数の画像生成モデルにアクセスできます。
強み・ユースケース
- 圧倒的なモデル数: Stable Diffusionの様々な派生モデルや、独自のモデルなど、膨大な数のオープンソースモデルにアクセスできます。
- 最新技術の利用: 最新のAIモデルや、研究段階の技術もいち早く試すことができます。
- 低コストでの利用: 無料利用枠があり、小規模なプロジェクトであればコストを抑えられます。
できること
- テキストからの画像生成(Text-to-Image)
- 画像からの画像生成(Image-to-Image)
- Inpainting、ControlNetなどの高度な機能の利用
- 多様なモデルとパラメーターを組み合わせての生成
できないこと
- 専門知識が必要: 高品質な画像を生成するためには、モデル選定やプロンプトエンジニアリングに関する専門知識が求められます。
- 商用利用のライセンス確認: モデルごとにライセンスが異なるため、商用利用の可否を個別に確認する必要があります。
- 安定性: 多くのモデルがコミュニティベースで開発されているため、サービスの安定性やサポート体制は他の商用APIに劣る場合があります。
- UI/UXの限界: 開発者向けのツールであり、直感的なUIでの操作は得意ではありません。
公式サイト : https://huggingface.co/docs/huggingface_hub/v0.5.1/package_reference/hf_api