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任せるのが成功なのに、なぜ寂しい? EMの心理を解剖する

Last updated at Posted at 2025-12-15

この記事はHubble Advent Calendar 2025の16日目の記事です。

はじめに

こんにちは。HubbleでAssistant Backend EMをしている野畑と申します。
今回は、2025年4月に初めてマネジメントの役割を担い、いきなり4チームを任されるという激動の日々の中で感じた、業務を委任することの切なさについて綴りました。
EMとしては苦しい思いも数えきれないほどありましたし、まだまだ自分にできることが足りていないと感じる場面も多くあります。
けれど、その話は、また別の機会にお伝えすることにしましょう。

合わせて、Hubbleの組織化が急速に進んだ経緯については、以下をご参照ください。

委任できるようになった瞬間の寂しさと、その乗り越え方

エンジニアリングマネージャーとして働いていると、
「あれ、もう自分が細かく見なくてもチームが回っている…?」
という瞬間が訪れます。
これはチームが成長した証であり、本来は良い状態のはずです。
しかしその一方で、 「自分の役割が薄れてしまったのでは…?」 という寂しさや不安が静かに生まれることがあります。
この記事では、アシスタントEMとして経験した 委任成功後の“静かな寂しさ” について、その原因と乗り越え方を実務目線でまとめます。

1. なぜ寂しさが生まれるのか

● 成果が“自分”から“チーム”へ移るから

プレイヤー時代は成果=自分のアウトプットでした。
EMになると成果=チームのアウトプットになります。
成功したのに達成感が弱く感じるのは、この構造変化が理由です。

● 承認ループが変わるから

技術的成果で称賛される機会が減り、 意思決定や調整といった“見えづらい仕事”が中心になります。
他者からのフィードバックが薄くなり、存在感が曖昧になります。

● 介入量が減ることで“不要感”を錯覚するから

介入しない=任せられている状態であるはずなのに、 心理的には「自分の出番が減った」と感じやすくなります。

2. 放置したときのアンチパターン

不要な口出しが増える
『自分がやったほうが早い』と巻き取りが増え、判断を取り戻そうとする行動がチームの自律性を阻害し、自分の価値を証明しようとする動きにつながってしまう
どれも悪気なくやってしまうもので、長期的にはチームの成長を鈍らせます。

3. 私が行った乗り越え方

● 自分の貢献指標をアップデートした

個人プレイヤー:自分のコード・自分の判断
EM:チームがスムーズに判断できる状態を整える
つまり、
“自分がいなくても動く仕組み”を作れた時点で成功
指標を更新すると、寂しさが“成功のサイン”に変わりました。

● チームの動きに自分の影響を見える化した

  • 判断テンプレが機能している
  • 会議の進め方が改善されている
  • 連携のぎこちなさが減っている

直接の成果でなくとも、そこに至る“土台づくり”はEMの仕事です。
EMの成果は裏側に現れるため、それを見つける視点が大切でした。

● 空いた余白を次の価値づくりへ回した

委任が成功すると、時間に余白ができます。
その余白で以下に投資しました。

  • 組織的な技術負債の解消計画
  • チーム間のプロセス連携改善
  • 採用基準・評価フローの整備

委任は次のレイヤーへ進むための準備期間だったと気づきます。

● 感情そのものを否定しなかった

「寂しい」と思うのは自然なことです。
チームを育てる過程で生まれる健全な感情でした。
否定しないことで、前に進みやすくなりました。

4. チームごとに異なる委任の形

とはいえ、「委任」と一言で言っても、その形はチームごとにまったく異なります。

私は現在、4つのチームを担当しています。
それぞれ背景も成熟度も異なり、担っている領域もバラバラです。

  • Core
  • AI
  • DevEx
  • SRE

さらに、PdM がいるチームといないチームでも、EM の役割は大きく変わります。
PdM が強くリードする場面もあれば、要件の抽象度が高く、EM 側で意思決定や優先順位付けを支える必要がある場面もあります。

そのため「どこまで委任できるのか」「どの粒度で自走を促せるのか」は、
チームごとにまったく違うアプローチが必要になります。

しかし、それでも共通していることが一つあります。

“チームが前に進むための余白をつくるのが EM の仕事である” という点です。

委任とは、ただ仕事を手放すのではなく、
チームが迷わず動けるように“進むための地面”を整える行為なのだと、
複数チームを見ている中で強く実感するようになりました。

5. おわりに

委任が機能し始めると、自分の存在感が薄れたように感じる瞬間があります。
しかしそれは、 “チームが自走し始めた”という成功の証でもあります。
寂しさはただの副作用。
その先には、より大きな視点で価値を生み出す仕事が広がっています。
もし同じ感情に触れたなら、それはマネジャーとして次のフェーズに入った合図かもしれません。

P.S.
今回はだいぶ綺麗めに綴りましたが、実際には泥水を啜る思いで走ってきました。
マネジャーになってまだ9ヶ月ですが、まるで3~4年分の月日を過ごしたかのように感じています。個人的な思いとしては、最近各チームの荒波も落ち着いてきたので、本来私が力を入れたかったピープル面に、これから全力で取り組んでいきたいと思っています。

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明日は Front Engineer をされている @kareem さんが担当となります!

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