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Claude Code・Copilot・Codex・Gemini・Cursorが同じスキルを読める時代──Agent Skills標準の実装を徹底比較

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Last updated at Posted at 2026-02-19

2025年12月、Anthropicが「Agent Skills」というオープン標準を公開しました。SKILL.mdというMarkdownファイルにエージェントへの指示を書けば、対応するどのツールでもそのスキルが動く、という仕組みです。

注目すべきは、その採用速度です。公開からわずか2か月で、Claude Code、GitHub Copilot、OpenAI Codex CLI、Google Gemini CLI、Cursorという主要5ツールがすべて対応を表明しました。さらにagentskills.ioの採用ツール一覧を見ると、Roo Code、Amp、TRAE、Mistral Vibe、Databricksなど、27を超えるツール・プラットフォームがロゴを並べています。

この記事では、Agent Skillsとは何か、なぜこれだけ急速に広まったのかを整理した上で、主要5ツールの実装の違いを詳しく比較します。

Agent Skillsとは何か

Agent Skillsは、AIコーディングエージェントに手続き的な知識を渡すためのフォーマットです。

公式サイト(agentskills.io)の定義を引用します。

Agent Skills are folders of instructions, scripts, and resources that agents can discover and use to do things more accurately and efficiently.

(Agent Skillsは、エージェントが発見して利用できる指示・スクリプト・リソースのフォルダです)

これまでも、各ツールには「カスタム命令」のような機能がありました。Claude CodeのCLAUDE.md、CursorのRules、CopilotのGitHub Copilot Instructions──いずれもエージェントにコンテキストを与える手段です。

Agent Skillsがこれらと異なるのは、以下の3点です。

1. タスク単位で分離できる。 1つのスキルが1つのフォルダに対応し、コードレビュー、デプロイ、テスト生成といったタスクごとに独立して管理できます。CLAUDE.mdやRulesのように1つのファイルにすべてを詰め込む必要がありません。

2. 必要なときだけロードされる。 後述するProgressive Disclosureの仕組みにより、スキルの全文は必要になるまでコンテキストに読み込まれません。これにより、数十のスキルを登録してもコンテキストウィンドウを圧迫しません。

3. ツール間でポータブルである。 SKILL.mdのフォーマットが標準化されているため、Claude Codeで作ったスキルをCopilotやCursorでもそのまま使えます。

SKILL.mdの構造

Agent Skillsの中核は SKILL.md ファイルです。YAMLフロントマターとMarkdown本文で構成されます。

---
name: code-review
description: レビュー観点に沿ってコードレビューを行う。PRレビューやコード品質チェックの際に使用する。
---

## レビュー手順

1. 変更されたファイルの差分を確認する
2. セキュリティ上の問題がないか確認する
3. テストが十分に書かれているか確認する
4. パフォーマンスへの影響を評価する

フロントマターの仕様は以下の通りです。

フィールド 必須 説明
name Yes スキル名。小文字・数字・ハイフンのみ。最大64文字。親ディレクトリ名と一致させる
description Yes スキルの説明。何をするか、いつ使うかを書く。最大1024文字
license No ライセンス名またはライセンスファイルへの参照
compatibility No 動作環境の要件(対象ツール、必要なパッケージなど)
metadata No 任意のキーバリュー(author、versionなど)
allowed-tools No スキル実行時に許可するツールのリスト(実験的)

ディレクトリ構造は以下のようになります。

code-review/
├── SKILL.md          # メインの指示(必須)
├── references/       # 詳細なリファレンス(オプション)
│   └── REFERENCE.md
├── scripts/          # 実行可能なスクリプト(オプション)
│   └── check.sh
└── assets/           # テンプレートやデータ(オプション)
    └── template.md

Progressive Disclosure──段階的な読み込み

Agent Skillsの設計上の特徴がProgressive Disclosure(段階的開示) です。仕様書では以下の3段階が定義されています。

段階 ロードされる内容 トークン目安 タイミング
Level 1 namedescription のみ ~100トークン エージェント起動時
Level 2 SKILL.md の全文 5,000トークン以下推奨 スキルが関連すると判断されたとき
Level 3 scripts/references/assets/ 内のファイル 必要に応じて Level 2の内容から参照されたとき

この仕組みのおかげで、エージェントは起動時にスキル名と概要だけを把握し、ユーザーの質問内容にマッチしたスキルだけを全文ロードします。50個のスキルを登録しても、実際にコンテキストを消費するのは発動した数個だけです。

主要5ツールの実装比較

ここからが本題です。同じAgent Skills標準に対応していても、各ツールの実装にはかなりの個性があります。

Claude Code(Anthropic)

Agent Skillsの発祥元であり、最も機能が充実しています。

項目 内容
種別 CLI(ターミナルエージェント)
成熟度 GA
プロジェクトスキル .claude/skills/
個人スキル ~/.claude/skills/

検出方式: Progressive Disclosureに忠実な実装です。起動時に全スキルのnamedescriptionをシステムプロンプトに読み込み、ユーザーの入力内容にマッチしたスキルだけをフルロードします。

呼び出し方法: 3つの手段があります。

  1. 自動検出 ── ユーザーの入力内容からClaude Codeが判断して自動発動
  2. スラッシュコマンド ── /skill-name で明示的に呼び出し
  3. サブエージェント実行 ── context: fork を指定すると、メイン会話とは独立したサブエージェントで実行

独自機能: Claude Codeならではの拡張がいくつかあります。

context: forkによるサブエージェント実行は、スキルの内容をサブエージェントのプロンプトとして渡し、メインの会話コンテキストとは隔離された環境で実行する機能です。agent: Exploreのようにエージェントの種類を指定でき、リサーチやコード探索を本筋の会話に影響を与えずに行えます。

disable-model-invocation: trueを指定すると、そのスキルはユーザーが明示的に/skill-nameで呼び出したときだけ発動し、Claude Codeが自動的に発動させることはなくなります。デプロイやコミットなど、副作用のあるスキルに適しています。

逆にuser-invocable: falseを指定すると、スラッシュコマンドには表示されなくなり、Claude Codeだけが自動発動できるバックグラウンド知識として機能します。

スキル本文に「ultrathink」という単語を含めると、拡張思考(Extended Thinking)モードが有効になります。複雑な推論を要するスキルで活用できます。

動的コンテキスト注入(!`command`構文)により、スキル実行前にシェルコマンドを実行し、その結果をプロンプトに埋め込むこともできます。

---
name: pr-summary
description: PRの変更内容を要約する
context: fork
agent: Explore
---

## PRコンテキスト
- PR差分: !`gh pr diff`
- 変更ファイル: !`gh pr diff --name-only`

上記の情報をもとにPRを要約してください。

GitHub Copilot(GitHub / Microsoft)

IDE統合・CLI・クラウドエージェントの3面で展開しており、Agent Skillsへの対応も複数のインターフェースにまたがります。

項目 内容
種別 IDE拡張(VS Code)+ CLI + Coding Agent
成熟度 GA
プロジェクトスキル .github/skills/.claude/skills/.agents/skills/ も対応)
個人スキル ~/.copilot/skills/~/.claude/skills/~/.agents/skills/ も対応)

検出方式: Claude Codeと同様のProgressive Disclosure。フロントマターのnamedescriptionをまず読み、マッチ時にSKILL.mdの全文をロードします。

呼び出し方法: VS Code 1.109以降では/skill-nameのスラッシュコマンドに対応。CLIでは/skills listでインストール済みスキルの一覧を確認できます。

独自機能: 特筆すべきは後方互換の広さです。Copilotは.github/skills/に加えて.claude/skills/.agents/skills/の3つのディレクトリを標準で走査します。つまり、Claude Code用に作ったスキルもCodex用に作ったスキルも、ディレクトリを移動することなくCopilotで動作します。

chat.agentSkillsLocations設定で追加の検索パスを指定することもでき、柔軟性の高い実装です。

VS Codeでの設定はchat.useAgentSkillsで有効化し、Chat: Configure Skillsコマンドでスキルの管理画面を開けます。


OpenAI Codex CLI(OpenAI)

Rust製のCLIエージェント。Agent Skills標準に準拠しつつ、独自のメタデータ拡張を持っています。

項目 内容
種別 CLI(Rust製ターミナルエージェント)
成熟度 GA
プロジェクトスキル .agents/skills/(cwdからリポジトリルートまで再帰探索)
個人スキル $HOME/.agents/skills/
システムスキル /etc/codex/skills/

検出方式: Progressive Disclosureに準拠。namedescriptionでまず判断し、使用時にSKILL.mdの全文をロードします。特徴的なのは、カレントディレクトリからリポジトリルートまでのすべての.agents/skills/を再帰的に走査する点です。モノレポ構成で、パッケージごとに異なるスキルを持たせるような使い方に対応しています。

呼び出し方法: 3つの手段があります。

  1. 自動検出 ── 入力内容から自動的に発動
  2. /skills コマンド ── インストール済みスキルの一覧を表示
  3. $skill-name でメンション ── チャット内でスキル名を $ 付きで言及して明示的に呼び出し

独自機能: スキルのインストールCLIが組み込まれています。$skill-installerコマンドでスキルを検索・インストールでき、対話的に導入できます。

設定ファイル ~/.codex/config.toml でスキルの有効・無効を切り替えることも可能です。

[[skills.config]]
path = "/path/to/skill/SKILL.md"
enabled = false

また、agents/openai.yamlという独自のメタデータファイルを追加でき、UIでの表示方法や呼び出しポリシーを細かく制御できます。allow_implicit_invocation: falseを設定すると、$skill-nameによる明示的な呼び出しのみに制限されます。


Google Gemini CLI(Google DeepMind)

Node.js製のOSSターミナルエージェント。無料枠と1Mトークンのコンテキストウィンドウが特徴です。

項目 内容
種別 CLI(Node.js製、OSS)
成熟度 Preview
プロジェクトスキル .gemini/skills/
個人スキル ~/.gemini/skills/

検出方式: 自然言語マッチと明示的な指定の両方に対応。ユーザーの入力からスキルを自動的に発動させることも、スキル名を直接指定して呼び出すこともできます。

呼び出し方法: 自然言語による自動発動が基本。npx skills addコマンドでスキルをインストールできます。

独自機能: Gemini CLIの強みはそのインフラです。無料枠(60リクエスト/分、1,000リクエスト/日)、1Mトークンのコンテキストウィンドウ、Google Search groundingの内蔵、MCPサーバー対応など、スキル以外の基盤機能が充実しています。

ただし、Agent Skills対応は現時点でPreview段階です。v0.23.0(2026年1月7日)で実験的サポートが追加され、/settingsから有効化する必要があります。仕様の細部(ディレクトリ構造の詳細やフロントマターの拡張フィールドなど)はまだ固まりきっておらず、今後変更される可能性があります。


Cursor(Anysphere)

VS Code forkのIDEエージェント。Remote Skillsによるリモートインポートが特徴です。

項目 内容
種別 IDE(VS Code fork)
成熟度 GA(v0.35以降)
プロジェクトスキル .cursor/skills/.claude/skills/.codex/skills/ も対応)
個人スキル ~/.cursor/skills/~/.claude/skills/~/.codex/skills/ も対応)

検出方式: Dynamic Context Discovery。スキルのdescriptionがユーザーの入力にマッチした場合にのみ、スキルをコンテキストにロードします。Progressive Disclosureと同じ考え方です。

呼び出し方法: Agent(Cmd+I)で通常通りタスクを記述するだけで、関連するスキルが自動的に発動します。/を入力してスキル名を検索し、手動で呼び出すことも可能です。

独自機能: Remote Skillsが特徴的です。Settings → Rules → Add Rule → Remote Rule (GitHub) から、GitHubリポジトリのURLを指定するだけでスキルをインポートできます。ローカルにクローンする手間がなく、リモートリポジトリの更新も自動的に反映されます。

CopilotとCursorはどちらも.claude/skills/を読む後方互換を持っているため、Claude Code向けに書かれたスキルが多くのツールでそのまま動作する状況が生まれています。

横断比較

5ツールの実装を一覧表で比較します。

ディレクトリとインターフェース

比較項目 Claude Code GitHub Copilot Codex CLI Gemini CLI Cursor
プロジェクトDir .claude/skills/ .github/skills/ .agents/skills/ .gemini/skills/ .cursor/skills/
個人Dir ~/.claude/skills/ ~/.copilot/skills/ ~/.agents/skills/ ~/.gemini/skills/ ~/.cursor/skills/
スラッシュコマンド /skill-name /skill-name(v1.109+) $skill-name / で検索
自動検出 あり あり あり あり あり

インストールと互換性

比較項目 Claude Code GitHub Copilot Codex CLI Gemini CLI Cursor
インストール方法 手動配置 手動 / Remote Rules $skill-installer npx skills add 手動 / Remote Skills
他ツールのDirを読む .claude/ .agents/ .claude/ .codex/
サブエージェント実行 context: fork
成熟度 GA GA GA Preview GA

注目すべき差異

互換性の非対称性。 CopilotとCursorは.claude/skills/を読みますが、Claude Codeは.github/skills/.cursor/skills/を読みません。つまり、.claude/skills/に置いたスキルが最も多くのツールで動作する「最大公約数」のディレクトリになっています。

呼び出し記法のバラツキ。 スラッシュコマンドは/skill-nameが多数派ですが、Codexは$skill-nameというドル記号の記法を使います。Gemini CLIにはスラッシュコマンドに相当する機能がまだありません。

サブエージェント実行はClaude Code固有。 context: forkによるサブエージェント実行は現時点でClaude Codeだけの機能です。スキルをメインの会話とは隔離された環境で実行でき、リサーチやバッチ処理に適しています。

スキルインストーラの思想の違い。 Codex CLIはCLI内蔵の$skill-installerで対話的にインストールする方式、Gemini CLIはnpx skills addでnpmパッケージのように導入する方式、Cursorは設定画面からGitHub URLを指定するGUI方式と、それぞれアプローチが異なります。

スキルのポータビリティ──書いたスキルはどこまで使い回せるか

Agent Skillsの最大の価値は「一度書けばどこでも使える」ことですが、実際にはいくつかの注意点があります。

基本形は完全に互換。 namedescription、Markdown本文だけで構成されたシンプルなスキルは、5ツールすべてで動作します。コーディング規約やレビューガイドラインのような「知識を与えるだけのスキル」は、そのまま使い回せます。

独自フロントマターは無視される。 Claude Codeのcontext: forkやCodexのagents/openai.yamlは、そのツール固有の拡張です。他のツールはこれらのフィールドを認識しませんが、エラーにはならず単に無視されます。

allowed-toolsはツール依存。 ツール名の体系がツールごとに異なるため、allowed-toolsで指定したツール名が他ツールで通用するとは限りません。

実用的な指針: 最大限のポータビリティを確保するなら、標準仕様のフィールド(namedescriptionlicensecompatibilitymetadata)だけを使い、.claude/skills/に配置するのが最も多くのツールで動作する構成です。

まとめ

Agent Skillsは、2025年12月にAnthropicが公開してから急速に広まり、主要なコーディングエージェントの事実上の共通フォーマットになりつつあります。

各ツールの特徴を整理すると以下のようになります。

  • Claude Code ── 発祥元であり、context: forkによるサブエージェント実行や動的コンテキスト注入など、最も機能が豊富
  • GitHub Copilot ── .claude/skills/.agents/skills/の両方を読む後方互換の広さが強み。IDE・CLI・クラウドの3面展開
  • OpenAI Codex CLI ── $skill-installerによる対話的インストールと、config.tomlでのきめ細かな制御が特徴
  • Google Gemini CLI ── Preview段階だが、無料枠と1Mトークンコンテキストの基盤が魅力。今後の進化に期待
  • Cursor ── Remote SkillsによるGitHub URLからの直接インポートが便利。.claude/skills/互換でポータビリティも高い

「スキルを.claude/skills/に置いておけば、Claude CodeでもCopilotでもCursorでもそのまま動く」──この状況は、スキルを書く側にとって参入障壁を大きく下げています。ツール選択に関係なく、チームのナレッジをスキルとして蓄積していく価値がより明確になったと言えます。

参考リンク

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