はじめに
Claude Codeで複雑なタスクを進めていると、こんな経験はないでしょうか。
- 途中でコンテキストが圧迫され、最初の目標を見失う
- 同じエラーを何度も繰り返す
-
/clearした後に「何をやっていたか」を思い出せない
Planning with Filesは、これらの問題を解決するSkillです。Metaが約20億ドル($2 billion)で買収したManus AIのコンテキストエンジニアリング手法を取り入れ、ファイルシステムを「永続メモリ」として活用します。
ベンチマークでは96.7%のパス率(30アサーション中29通過)を達成し、ブラインドA/Bテストでも3戦3勝という結果が出ています。
Planning with Filesとは
AIエージェントのコンテキストウィンドウを「RAM」、ファイルシステムを「ディスク」に見立て、重要な情報をファイルに永続化するSkillです。
3ファイルパターン
すべての複雑なタスクに対して、3つのMarkdownファイルを作成します。
| ファイル | 役割 |
|---|---|
task_plan.md |
フェーズ管理とチェックボックスによる進捗追跡 |
findings.md |
調査結果や発見事項の蓄積 |
progress.md |
セッションログとテスト結果の記録 |
Manus AIの原則
| 原則 | 実装方法 |
|---|---|
| ファイルシステムをメモリとして使う | コンテキストではなくファイルに保存 |
| 注意の操作 | フック経由で判断前にプランを再読込 |
| エラーの永続化 | 失敗をプランファイルに記録 |
| ゴール追跡 | チェックボックスで進捗を可視化 |
| 完了検証 | Stopフックで全フェーズを確認 |
対応プラットフォーム
16以上のIDEやエージェントプラットフォームに対応しています。
フック付き(ライフサイクル自動化)
| IDE | 統合方式 |
|---|---|
| Claude Code | Plugin + SKILL.md + Hooks |
| Cursor | Skills + hooks.json |
| GitHub Copilot | Hooks |
| Gemini CLI | Skills + Hooks |
| Kiro | Steering Files |
| Codex | Skills + Hooks |
| Mastra Code | Skills + Hooks |
Agent Skills対応
| IDE | Skillディスカバリパス |
|---|---|
| Continue | .continue/skills/ |
| OpenClaw | .openclaw/skills/ |
| Antigravity | .agent/skills/ |
| Pi Agent | .pi/skills/ |
インストール
npx による簡単インストール(推奨)
1コマンドでインストールできます。
npx skills add OthmanAdi/planning-with-files --skill planning-with-files -g
中国語版もあります。
npx skills add OthmanAdi/planning-with-files --skill planning-with-files-zh -g
Claude Code Plugin としてインストール
Claude Code固有の機能(/planコマンドの自動補完など)を使う場合は、Plugin形式でインストールします。
/plugin marketplace add OthmanAdi/planning-with-files
/plugin install planning-with-files@planning-with-files
ローカルSkillとして使う場合
Pluginインストール後、Skillをローカルにコピーするとプレフィックスなしで呼び出せます。
# macOS / Linux
cp -r ~/.claude/plugins/cache/planning-with-files/planning-with-files/*/skills/planning-with-files ~/.claude/skills/
# Windows (PowerShell)
Copy-Item -Recurse -Path "$env:USERPROFILE\.claude\plugins\cache\planning-with-files\planning-with-files\*\skills\planning-with-files" -Destination "$env:USERPROFILE\.claude\skills\"
使い方
コマンド一覧
| 入力(オートコンプリート) | 実コマンド | 説明 |
|---|---|---|
/plan |
/planning-with-files:plan |
計画セッションを開始(v2.11.0以降) |
/plan:status |
/planning-with-files:status |
計画の進捗を一覧表示(v2.15.0以降) |
/planning |
/planning-with-files:start |
計画セッションを開始(従来コマンド) |
基本的なワークフロー
- タスクを伝えると、AIが
task_plan.md、findings.md、progress.mdを作成します - 各フェーズをチェックボックスで管理し、進捗を可視化します
- ツール使用前にフックがプランを自動で再読込し、目標のブレを防ぎます
- 調査結果は
findings.mdに蓄積され、コンテキストの肥大化を防ぎます - エラーは自動で記録され、同じ失敗を繰り返しません
- 完了時にStopフックが全フェーズの達成を確認します
セッション回復機能
コンテキストが一杯になって/clearした場合でも、前回のセッションを自動回復します。
仕組みは以下の通りです。
-
~/.claude/projects/内の前回セッションデータを検出 - プランニングファイルの最終更新時刻を確認
- その後の会話(失われた可能性のあるコンテキスト)を抽出
- キャッチアップレポートを表示
autoCompactを無効にすると、クリア前のコンテキストを最大限活用できます。
{ "autoCompact": false }
4つの基本ルール
Planning with Filesは以下の4つのルールに基づいて動作します。
-
プランを先に作る —
task_plan.mdなしにタスクを開始しません - 2アクションルール — 2回の操作(ファイル閲覧やブラウザ操作)ごとにfindingsを保存します
- すべてのエラーを記録する — エラーログが同じ失敗の繰り返しを防ぎます
- 失敗を繰り返さない — 試行を追跡し、アプローチを変えます
実際のユースケース
ケース1:Webアプリケーションの構築
認証機能付きのWebアプリを構築する際に使用しました。/planでセッションを開始すると、以下のようなtask_plan.mdが生成されます。
# Task Plan: 認証付きWebアプリ構築
## Phase 1: プロジェクトセットアップ
- [x] Next.jsプロジェクト作成
- [x] 必要なパッケージインストール
## Phase 2: 認証実装
- [x] NextAuth.js設定
- [ ] ログインページ作成
- [ ] ユーザー登録フロー
## Phase 3: テスト
- [ ] E2Eテスト作成
- [ ] デプロイ確認
途中でコンテキストがいっぱいになり/clearしても、セッション回復機能によって「Phase 2のログインページ作成まで完了」という状態が復元されます。
ケース2:リサーチタスク
技術選定のための調査タスクでは、findings.mdが活躍します。複数のライブラリを比較調査する際、各ライブラリの特徴やベンチマーク結果がfindings.mdに蓄積されていきます。コンテキストウィンドウを圧迫せずに、大量の調査結果を保持できます。
ケース3:バグ修正
複雑なバグの調査・修正では、progress.mdがデバッグログとして機能します。試した修正方法とその結果が記録されるため、「さっき試したアプローチ」を再度試すような無駄がなくなります。
使うべきとき・使わないとき
| 使うべきケース | 使わないケース |
|---|---|
| マルチステップタスク(3ステップ以上) | シンプルな質問への回答 |
| リサーチ・調査タスク | 単一ファイルの編集 |
| アプリケーションの構築 | 簡単な検索・ルックアップ |
| 多くのツール呼び出しを伴うタスク |
ベンチマーク結果
Anthropicのskill-creatorフレームワークを用いた、作者による公開評価結果です。主に3ファイル運用への準拠度を測定しており、トークン消費量や実行時間とはトレードオフがある点に留意してください。
| 指標 | Skill有効 | Skill無効 |
|---|---|---|
| パス率(30アサーション) | 96.7%(29/30) | 6.7%(2/30) |
| 3ファイルパターン準拠 | 5/5 | 0/5 |
| ブラインドA/B勝利 | 3/3(100%) | 0/3 |
| 平均評価スコア | 10.0/10 | 6.8/10 |
コミュニティフォーク
Planning with Filesをベースにしたプロジェクトがコミュニティから生まれています。
| プロジェクト | 特徴 |
|---|---|
| devis | インタビューファーストのワークフロー |
| multi-manus-planning | マルチプロジェクト対応 |
| plan-cascade | マルチレベルタスクオーケストレーション |
まとめ
Planning with Filesは、AIエージェントの「忘れっぽさ」を根本から解決するSkillです。
-
npx skills add OthmanAdi/planning-with-files --skill planning-with-files -gの1コマンドで導入できます - 3ファイルパターンで計画・調査結果・進捗を永続化します
- フックによるライフサイクル自動化でゴールのブレを防ぎます
- セッション回復機能により
/clear後も前回セッションの差分をキャッチアップできます - ベンチマークで96.7%のパス率を達成しています
複雑なタスクに取り組む際の「コンテキストが足りない」「何をやっていたか忘れた」という問題から解放されます。