TL;DR
- まずは会議の「文字起こし(Transcript)」を残すことから始めよう
- Google WorkspaceやMicrosoft TeamsでAI機能に制限がある環境でも、文字起こしデータさえあれば十分にAIは活用できる
1. はじめに:スクラムマスター・PMOの「本来の役割」とは?
スクラムマスターやPMOとしてプロジェクトに参画していると、会議のファシリテーションからそのまま議事メモ作成を業務として行うことが多々あります。
しかし、私たちの本来の役目は議事録やメモのタイピングではありません。
-
スクラムマスターの場合: チームの障害を取り除くこと、プロセスの改善を促すこと、プロダクトの価値を最大化する支援、チームの観察など。
-
PMOの場合: プロジェクト全体の状況把握・可視化、リスクの予兆検知と事前対処、ステークホルダー(経営層など)との調整やエスカレーションなど。
議事録作成に時間を取られすぎて、これらの本来のミッションがおろそかになっては本末転倒です。
近年、Scrum Allianceでも「AI for Scrum Masters」「AI for Product Owners」といったマイクロクレデンシャルが提供されるなど、マネジメント層や支援職のAI活用はスタンダードになりつつあります。
本記事では、Google Meetの文字起こし(Transcript)機能とGeminiを組み合わせて、単なる議事メモ作成の枠を超え、「リスクの抽出」や「チームの内省」までを効率化する実践的なアプローチを紹介します。
2. 【基本編】Google Meet × Geminiでの議事メモ作成
まずは基本のステップです。特別な開発は不要で、ブラウザとGeminiのアプリだけで完結します。
2-1. Google Meetで会議を録画・文字起こし
Google Meetのビデオオプションから「文字起こし(Transcript)」を有効にして会議を行います。

2-2. Transcriptのコピー
会議終了後、生成されたTranscript(テキストデータ)をコピーします。

2-3. Geminiにプロンプトと一緒にペースト
Geminiを開き、「以下の文字起こしデータから、決定事項とNext Actionをまとめて」といったプロンプトとともにペーストし、議事メモを作成させます。

これだけでも十分便利ですが、プロンプトを毎回入れるのが手間、専門用語が多い会議だとAIが文脈を読み間違えることがあります。そこで活躍するのが「Gemini Gems」です。
3. 【実践編】議事メモ専用の「Gem」を作成する
Gemini Advancedなどで利用できる「Gems(カスタムGemini)」を作成することで、議事録作成の効率が劇的に向上します。
3-1. プロンプト(指示)の設定
Gemの作成画面で、以下のような役割と出力形式を固定します。PMOやスクラムマスターの視点に合わせて、単なる決定事項だけでなく「課題・リスク」や「エスカレーション事項」を抽出させるのがポイントです。
# 指示
あなたは優秀なPMO兼スクラムマスターです。
入力された会議の文字起こしデータから、プロジェクトの健全性を保つ視点を持って、以下のフォーマットで議事メモを作成してください。
# 出力フォーマット(Markdown形式)
1. 会議の目的・サマリ(3行程度)
2. 決定事項
3. Next Action(誰が・いつまでに・何をするか)
4. 【重要】新たに発生・認識された課題とリスク
5. 経営層・上位陣へのエスカレーション(報告)が必要な事項
3-2. 【重要】「知識(ナレッジ)」に用語集ファイルを設定する
社内特有の略語、プロジェクト独自のシステム名、または独自のステータス定義(例:「要警戒」「オンスケ」など)が文字起こしで誤変換されるのを防ぐため、Gemの「知識」にプロジェクト用語集(CSVやテキストファイル)を読み込ませます。
これにより、AIが「この文脈での『〇〇』は、用語集にある『△△システム』の移行リスクの話だな」とコンテキストを正確に補完してくれます。
4. 応用編:議事録を超えたAIの活用
議事メモの作成が自動化できたら、浮いた時間を活用してさらに深いAI活用にチャレンジしてみましょう。
自分の環境へのカスタマイズ
チームの文化や、報告先のフォーマットに合わせてプロンプトを調整します。
例:
「ステアリングコミッティ(ステコミ)向けに、要点だけを箇条書きでまとめて」
「WBSに転記しやすい形式にして」など
深掘り・内省(リフレクション)とリスク分析
作成した議事メモやTranscriptをベースに、Geminiに壁打ち相手になってもらいます。
-
「今日の会議の雰囲気や発言の偏りから、チーム内のコミュニケーション課題はあるか?」
-
「この発言の裏に潜んでいる、見落としがちなプロジェクトのリスクは何だと思う?」
-
「進捗報告の中で、PMOとしてもっと突っ込んで確認すべきだった点はどこか?」
このように客観的なフィードバックをもらうことで、リスクの早期発見や、ファシリテーションスキルの向上に繋げることができます。
※AIは忖度するので違う視点が欲しい時は厳し目にフィードバックをもらいます

※AIの回答を全て鵜呑みはせず、自分の考えを述べて対話して内省します

5. 補足と注意点
最後に、実務で活用する際のTipsと重要な注意点です。
Google Workspace環境
- Google Meet の自動メモ生成もありますが、その上でさらに整形や深堀りをします。
- Gemini in Google Meetであれば、Google ドキュメントなどのサイドパネルから直接Geminiを呼び出して、シームレスに議事録をまとめることも可能です。
- ※Google Workspaceのプランや管理者設定によって使える機能や仕様が異なります。
参加者への許可
- 会議を録画・文字起こしする場合は、開始時に必ず参加者全員から許可を取りましょう。「議事録作成の効率化のため文字起こしを利用します」と一言添えるのがマナーです。
情報セキュリティへの配慮
- 社外の方とのやり取りや、機密情報を含む会議では、AIへのデータ入力ルール(オプトアウトの設定など)について、自社のセキュリティポリシーを必ず確認してください。
6. おわりに
AIは私たちの仕事を奪うものではなく、私たちが本来やるべき価値ある仕事(リスクマネジメントやチーム支援)に向き合うための強力なツールです。
議事メモ作成のような定型業務をGeminiに任せることで、皆さんのプロジェクト・プロダクトがより健全な状態に近づくことを願っています!
※本記事の内容は個人の感想・見解であり、所属する組織を代表するものではありません。
7. Q&A
Microsoft Teamsでも出来ますか?
- Teamsの文字起こし(トランスクリプト機能)やMicrosoft Copilotでも可能です。
AIによる自動生成だけではダメなの?
- Geminiメモ機能や他のAI議事録と様々ありますが、個人的には現在の精度としては6~7割くらいと思っています。そのため、人間が内容を確認・手直し、チューニングが必要と考えています。
- AIが作成したものをそのままNotebookLMや他のAIに渡す際にそのテキスト情報の品質は十分なのでしょうか。
MSOL Digitalでは、ミッション・ビジョンの実現に向けて、新たな仲間を募集しています。
少しでもご興味をお持ちいただけましたら、ぜひエントリーをご検討ください。
また、すぐに転職をお考えでない場合でも、カジュアル面談からのスタートも大歓迎です。
まずはお気軽にお話しできますと幸いです!
■エントリーページ
■カジュアル面談の申し込み
