はじめに
BIには、棒グラフや円グラフだけでなく、さまざまな種類のチャートが用意されています。
選択肢が多い一方で、「どのような場面で、どのチャートを使えばよいのか分からない」と感じることもあるのではないでしょうか。
実は、チャートにはそれぞれ得意な表現があります。見づらい、分かりにくいと感じる場合は、データや目的に対して、選んだチャートが合っていないのかもしれません。伝えたい内容に適した可視化を選ぶことで、同じデータでも格段に理解しやすくなります。
今回は、階層やデータの流れを表現する際に使われる、以下の2つのチャートを比較します。
- 分解ツリー
- サンキーチャート
それぞれの特徴や違いを整理しながら、どのような場面で使い分けるとよいのかを紹介します。
分解ツリーvsサンキーチャート
分解ツリー、サンキーチャートは、いずれもデータの構造や流れを可視化するためのビジュアルです。ただし、それぞれが表現する対象や適した用途は異なります。
分解ツリー
分解ツリー(Decomposition Tree)は、Power BIに標準搭載されているビジュアルの一つで、「なぜこの結果になったのか?」を分析することを目的としたビジュアルです。
棒グラフや折れ線グラフでは売上や利益などの結果を確認できますが、その結果がなぜ生まれたのかまでは分かりません。分解ツリーは、売上や利益、件数などのKPIを地域、商品、顧客、担当者といったさまざまな切り口で段階的に掘り下げることで、結果を構成する要因を分析できます。
例えば、売上が4,000万円だった場合、「何が売上に最も貢献しているのか」を知るために、「製品売上」「サービス売上」「その他」と順番に掘り下げ、さらに「製品A」「製品B」「サブスクリプション」などの詳細な内訳まで分析できます。

つまり、分解ツリーは結果から原因を探るためのビジュアルであり、「要因分析」や「KPI分析」に非常に適しています。
や保全コストの分析、サポート部門では問い合わせ件数の分析など、業種を問わず活用されています。
具体的には、次のようなケースが代表的です。
- 売上が前年より増減した原因を知りたい
- 利益率が低下した要因を分析したい
- 不良品が増えた原因を設備や製品単位で確認したい
- 問い合わせ件数が増加した理由を製品や地域ごとに分析したい
- KPIを部署や担当者ごとに掘り下げて確認したい
このように、結果に対する原因を分析する用途に最適なビジュアルです。
サンキーチャート
サンキーチャート(Sankey Chart)は、データがどこからどこへ、どの程度流れているのかを可視化するためのチャートです。項目同士を線で結び、線の太さによって件数や金額などの流量を表現します。
例えば、会社の総予算が4,000万円だった場合、「収入がどの部門へ配分されているのか」、さらに「各部門の予算が人件費や広告費、設備投資など、どの費目に使われているのか」を一目で確認できます。線の太さは金額の大きさを表しており、どこに多くの予算が配分されているのかを直感的に把握できます。

業務データでは、次のような用途で利用できます。
- 会社の収入や予算が、各部門を経由して人件費・広告費・設備投資などの費目へどのように配分されているかを可視化
- 広告や検索、SNSなどの流入経路から、商品閲覧・カート追加・購入まで顧客がどのように遷移したかを分析
- 工場で生産された商品が、倉庫・配送拠点・店舗を経由して顧客へ届くまでの物流経路と数量を可視化
- 発電されたエネルギーや調達した資源が、家庭・工場・事業所などへどのような割合で供給されているかを可視化
分解ツリーがなぜこの数値になったのか」を掘り下げるビジュアルであるのに対し、サンキーチャートはデータがどの経路を通り、どこへ流れたのか」を確認するビジュアルです。
Power BIにはサンキーチャートが標準ビジュアルとして用意されていないため、AppSourceのカスタムビジュアルやDenebなどを利用して実装します。特にDenebを使用すると、ノードや接続線の色、太さ、ラベル、選択時の動作などを細かく調整できるため、業務データに合わせた独自のサンキーチャートを作成できます。
つまり、数値の原因を確認したい場合は分解ツリー、実際のデータの流れを見たい場合はサンキーチャートが適しています。
比較表
分解ツリー・サンキーチャート・フローチャートにはどのような違いがあるのでしょうか。主な特徴を比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | 分解ツリー | サンキーチャート |
|---|---|---|
| 主な目的 | 数値を要因別に分析 | データの流れを可視化 |
| 表現対象 | 階層構造 | フロー・遷移 |
| 数量・件数の表現 | ○ | ◎(線の太さ) |
| 階層構造 | ◎ | ○ |
| 複数の親を持つデータ | × | ○ |
| 分岐・合流 | △ | ◎ |
| 循環(ループ) | × | △ |
| ドリルダウン | ◎ | △ |
| 全体像の把握 | △ | ◎ |
| Power BI標準対応 | ◎ | △(カスタムビジュアル) |
| 向いている用途 | 売上・利益などの要因分析 | 伝票・データ・プロセスの流れ可視化 |
このように、3つのビジュアルは似ているようで得意分野が大きく異なります。
特にPower BIでは、サンキーチャートとフローチャートが混同されることがあります。しかし、実績データを可視化したいのか、業務手順を説明したいのかを意識して選ぶことで、より伝わりやすいレポートを作成できます。
まとめ
分解ツリー、サンキーチャートは、いずれもデータの構造や流れを表現するビジュアルですが、それぞれ得意とする用途は異なります。
「何を伝えたいのか」に応じて適切なチャートを選ぶことが重要です。目的に合ったビジュアルを選ぶことで、同じデータでも理解しやすさや伝わりやすさは大きく変わります。
今回紹介した特徴を参考に、ぜひ伝えたい内容に合ったビジュアルを選んでみてください。