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iRICで衛星画像を背景に表示する方法

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はじめに

iRICで解析結果を表示する場合、Google Mapや地理院地図を背景に表示することができますが
「いや、当時の衛星画像(もしくは航空写真)を背景にしたいんじゃ」
という需要があるかなと思うので、その手順について説明する記事です。

予想される検索ワード

以下、この記事を求めているであろう方(←いるのか...?)が
入力しそうな検索ワードです。

iRIC, 衛星画像, 背景画像

実行環境

  • iRIC v4 4.0.0.6883
  • QGIS 3.22.4

手順

衛星画像の取得

まずは衛星画像を取得します。
既に背景にしたい衛星画像がお手元にある場合は読み飛ばしてください。

ここではOpen Access HubからSentinel2の画像を取得する方法を記載します。

Open Access Hubにログイン

まずはOpen Access Hub にアクセスします。

アクセスしたら右上の人型マークを押すとログインメニューが表示されるので
自分のUsernameとPasswordを入力してログインします。
(アカウント持ってない方はSign upからアカウント作成してくだされ)
image.png

欲しい画像の絞り込み

メニューボタンを押して、欲しい衛星画像の絞り込みを行います。
Sensing period(撮影期間)を指定し、Sentinel-2にチェックを入れます。
image.png

撮影場所の指定

左ドラッグ&ドロップで地図を移動して、右ドラッグ&ドロップで
取得したい領域を指定します。
(ここでは静岡県の天竜川を対象にしました)
image.png

画像のダウンロード

検索ボタンを押すと、画像候補の一覧が表示されるので
欲しい画像のDownload URLをクリックすると、画像のダウンロードが始まります。
image.png

データの加工

取得した衛星データは拡張子が.tifだったり.jp2だったり、
RGBのバンド毎に別のファイルになっていたり...と
iRICで背景表示するには使いにくいデータになっているので、
みんな大好きQGISで加工していきます。

データの確認

データ階層については詳しくないので説明せずに濁しますが
Sentinel2の場合「GRANULE」フォルダの中に「IMG_DATA」があるかと思います。
その中でB04と書いてあるファイルが赤波長のバンド、
同様にB03、B02が緑と青のバンドになっています。
image.png

データの読み込み&タイプの確認

QGISを立ち上げて、B02~B04のファイルを読み込みます。
(ドラッグ&ドロップで普通に読み込めるはず)
image.png

どれか一つを右クリックしてプロパティを表示します。
image.png

「情報」を選択するとデータタイプを確認することができます。(今回はUint16でした)
image.png

ラスタの合成(トゥルーカラーの作成)

RGBそれぞれのラスタデータを合成し、トゥルーカラーのデータを作成します。
まず、「ラスタ > その他 > 結合」を選択します。
image.png

「結合(gdal_merge)」にて以下の手順でラスタデータを結合します。

  • 入力レイヤでB02~B04のラスタデータを選択する
  • 「各ファイルを別のバンドに格納する」にチェックを入れる
  • 「出力のデータ型」を先ほど確認したタイプに合わせる
  • 「実行」ボタンを押す

image.png

出力されたレイヤを右クリックしてプロパティを表示します。
image.png

出力レイヤのプロパティを以下の手順で編集します。

  • 「シンボロジ」を選択する
  • レンダリングタイプが「マルチバンドカラー」になっていることを確認する
  • 赤バンドにバンド3(B04)、緑バンドにバンド2(B03)、青バンドにバンド1(B02)を割り当てる
  • 最小値と最大値を弄って明度を調節する(今回は0~4000が見やすかった)
  • 「OK」ボタンを押す

image.png

合成された画像をQGIS上で確認します。
image.png

QGISの座標系変更

iRICで使用する座標系は、国内であれば基本的に19座標系になるかと思います。
なので、画像を出力する前にQGISの座標系を19座標系に変更しておきます。

変更する場合はQGIS画面右下のEPSGコードをクリックします。
image.png

今回は静岡県を対象としているので、EPSG:6676(8系)に変更します。
image.png

画像出力

「プロジェクト > インポートとエクスポート > 地図を画像にエクスポート」を選択します。
image.png

「キャンパスに描画」をクリックし、ドラッグ&ドロップで欲しい領域を指定します。
image.png
image.png

ドラッグ&ドロップした領域が広域な場合、解像度が96dpiだと粗い可能性があります。
正直、選択範囲と衛星画像の解像度によるので何とも言えませんが、
今回は500dpiまで上げておきます。
(この値は出力画像を確認したりして自分で調整してください)

変更したら「保存」を押して、任意の場所にファイルを保存します。
image.png

iRICでの読み込み

ようやく衛星画像の加工が終わったので、iRICに読み込ませます。

iRICの起動

iRIC Softwareを起動します。ソルバーはお好きなものを選んでください。
(今回はNays2DHを選択しました)
image.png

座標系の設定

iRIC上で座標系を設定します。
まず「ファイル > プロパティ」を選択します。
image.png

座標系の編集をクリックして、QGISで設定したものと同じ座標系を指定します。
image.png

衛星画像の読み込み

「オブジェクトブラウザ > 背景画像」を右クリックし、「画像の追加」を選択します。
image.png

QGISから出力した画像を選択して「開く」ボタンを押します。
image.png

「フィット」ボタンを押すと、読み込んだ画像が表示されます。
image.png

あとは、背景に地理院地図を表示するなり、計算格子作るなりお好きにしてください。
image.png

おわりに

今回は「iRIC × 衛星データ」な小技を紹介してみました。

河川工学においても衛星データの活用はこれから広がっていくのかなと思っているので
「今回の記事、役に立ったよ!」という方がいらっしゃれば
いいねorストックして頂けると需要を確認できるので助かります。

ちなみに、今回はSentinel2の画像を使用しましたが
別の衛星画像(もしくは航空写真)でも同じような手順で表示できると思います。
詳細な手順は、データ形式にも依るので各自で試してみて頂ければと思います。

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