はじめに
この記事は一人VR技術者認定試験 Advent Calendar 2018の7日目の記事です。
バーチャルリアリティ学の2章「ヒトと感覚」の内容をまとめていきます。
書籍の方も是非ご購入いただいた上でご利用ください。
2 ヒトと感覚
2.3 聴覚
2.3.1 聴覚系の構造
引用元: バーチャルリアリティ学
- 外耳
- 耳介
- 外耳道
- 媒質は主に空気
- 音源の空間的位置を特定するのに役立つ
- 中耳
- 鼓膜
- 外耳道の振動を耳小骨に伝える
- 耳小骨
- 振動を蝸牛に伝える
- 中耳は外耳と内耳のインピーダンスマッチングを行っている
- 抵抗の違いの差異をなくすこと?
- 外耳はインピーダンスの低い空気、内耳はインピーダンスの高い液体、中耳は両方というイメージ
- 鼓膜
- 内耳
- 蝸牛(かぎゅう)
- 基底膜が蝸牛管を上下に分けている
- 入り口から頂に向かって有毛細胞が生えていて、振動を神経信号に変換する
- 入り口側は高い周波数を、頂ほど低い周波数を担当している
- 人工内耳は20数個の電極列で音を聴神経に伝達する
- 有毛細胞は位相固定も行う
- つまり周波数と位相で二重に符号化している
- 前庭
- 半規管
- 蝸牛(かぎゅう)
2.3.2 聴覚の問題と音脈分凝(音源分離)
聴覚では複数の音源が重畳された振動を知覚する
音源の推定は、推定する次元に対して利用可能な次元が少ないため、原理的には不可能
伝達路を伝わる物理的条件や、経験を通じた制約条件などから音源の推定を行っている。
(異なる音は同時刻になり始めない、周波数帯が完全に重なることはない、など)
- 音脈
- 時間条件、周波数条件、空間的条件などによって一つの音脈として知覚されること
- 音脈分凝(おんみゃくぶんぎょう)
- 音脈を知覚するパラダイム
2.3.3 聴覚による高さ、大きさ、音色、時間の知覚
このサイトおすすめです
http://www.kecl.ntt.co.jp/IllusionForum/index.html
音の高さの知覚
- ハイト(height)
- 正弦波において周波数が大きいほど高く感じられること
- 蝸牛の場所の符号化による
- クロマ(chroma)
- 2倍(オクターブ)の関係にある周波数同士が等価に感じされること
- 蝸牛の位相固定の符号化による
- 複合音
- 基本音と倍音(harmonics)から構成される
- 複数の帯域に周波数成分が存在するが基本音周波数に対する知覚を得られる
- 基本音が欠けていても近くできる(missing fundamental)
音の大きさの知覚
引用元: https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/47/Lindos1.svg/800px-Lindos1.svg.png?1545239631667
- 正弦波において振幅が大きくなるほど音も大きく感じる
- 可聴域は20Hz-2kHz
- 4000Hzをピークに、高周波側低周波側で感度が下がる(上図)
- 感度差は最大で80dB
- エンヴェロープ
- 振幅の時間的変動
- 急激に立ち上がって立ち下がる衝撃音は、定常的な音より大きく知覚される
- 音色
- 同じ大きさと高さを持った2音が異なって聞こえた場合、それは音色による違い、という定義
- 同じ音程を演奏した楽器は音色が違う、など
- エンヴェロープに依る部分もある
聴覚の時間解像度
- 時間解像度は2-3ms
- 視覚は30hzなのに対して非常に高い
- 時間積分が出来るのは200ms程度
- 両耳間時間差は6μs(microsecond)(めちゃめちゃ短い)
2.3.4 聴覚による空間知覚
- 両耳間差
- 両耳間レベル差
- 音源と反対側の音が小さくなる
- 両耳間時間差
- 音源と反対側の音が遅れる
- 水平方向なら1°の精度で弁別可能
- ただ現実はそんなに綺麗な状況だけじゃないので不十分
- 両耳間レベル差
- 頭部伝達関数
- HRTF(Head Related Transfer Function)
- 頭部や耳介音を遮ることによって変化するスペクトルパタンのこと
- 前方への定位は難しい
- 前後の間違いも起こりやすい
- 単なるステレオ録音をヘッドフォンで聴くと、音は頭蓋内に定位する
まとめ
音が知覚される流れや仕組み、聴覚が何をどの程度判別出来るかを知ることが出来ました。
一人VR技術者認定試験 Advent Calendar 2018の8日目は【VR学まとめ】2.4 体性感覚・内臓感覚です。