この記事は ex-crowdworks Advent Calendar 2024の10日目の記事です。
はじめに
今年、株式会社クラウドワークスを退職した@nisyuuです。そろそろアドカレネタがなくなってきました。誰か書いてください。元クラの人。
エンジニアとしてクラウドワークステック(旧クラウドテック)というフリーランスと企業をマッチングするエージェントサービスを開発していました。
エンジニアやビジネスパーソンとして日々業務に携わる中で、目の前の課題を解決する「問題解決力」は欠かせないスキルです。
そして、「問題解決力」とは別に「課題発見力」というものもあります。
課題発見力とは、現状を正しく把握し潜在的な問題や改善点を見出す力のことです。
過去に課題発見力について調べ、目標設定の際に役に立った経験から、将来有望な未来ある皆様にも役立つよう課題発見力についてエンジニア目線で解説します。エンジニア目線と書いていますが、エンジニア以外の方にもお読みいただけます。
課題発見力は汎用的な力でもあると思っているので、目標設定以外にも有効なのではないかと思います。
また、問題解決力との違いや、課題発見力を高めるためのヒントも整理していきます。
3つの問題タイプ
課題発見力を鍛えるためには、まず問題のタイプを整理して理解する必要があります。
1. 発生型の問題
すでに表面化しており、誰の目にも明確に見える問題です。
たとえば、サービスの障害や顧客クレームなどが該当します。
2. 設定型の問題
目標を設定し、その達成過程で生じる問題です。
たとえば、新しい機能の開発を進める中でリソースが不足する、といったケースが当てはまります。
3. 潜在型の問題
まだ明確には表れていないものの、将来的に顕在化する可能性のある問題です。
課題発見力のメリットは、このような問題を先んじて見つけ出すところにあります。
問題解決力と課題発見力の違い
問題解決力と課題解決力を、例を交えて解説します。
問題解決力
すでに明確化している、あるいは今後明確になるであろう阻害要因へ対処する力です。言い換えると、目前に存在する「できていないこと」をどのように片付けるかに焦点が当たります
課題発見力
いま達成している目標や現状の業務プロセスをさらに改善するために、まだ顕在化していない課題や効率化の余地を探る力です。すでにノルマを達成している状況から、「もっと生産性を高めるには何ができるか?」「より効率的なプロセス構築の余地はないか?」など、理想とのギャップを見つけ出します。
問題解決力と課題解決力の具体例
たとえば、あなたの開発チームが「月ごとにコードカバレッジ90%以上を維持し、重大なバグは0件に抑える」という品質目標を掲げているとします。
問題解決力:
万が一、コードカバレッジが90%を下回った場合や、重大なバグが月末近くに残っている場合にどう対応するかを考えられる力です。
具体的には、テストケースを増やしたり、自動テストツールを導入したり、バグ原因を追跡してリファクタリングやデバッグを行うなど、「目の前の障害」を取り除くための施策を打つことに焦点が当たります。
課題発見力:
一方、カバレッジ90%や重大バグ0件はすでに安定的に達成できている状況を想定しましょう。この場合、「より高い品質やパフォーマンスを目指すために何ができるか?」を考えるのが課題発見力です。
たとえば、
- カバレッジ95%に引き上げるには、どのような部分がテストされていないか?テストしにくい箇所を改善できるか?
- バグはないが、ビルドやデプロイに時間がかかっていないか?CI/CDパイプラインを改善して生産性を高められないか?
- コードの複雑さを減らし、将来の拡張性や保守性を高めるにはどうしたら良いか?
なぜ課題発見力が必要なのか?
課題発見力がないと、現状維持や目先の問題対応に追われるばかりで、長期的な成長や改善が難しくなります。
課題発見力を身につければ、将来起こり得る問題や改善の余地を見抜き、最適な打ち手を講じることで、組織やプロジェクトの生産性・競争力を高めることができます。
課題発見力を高める3つの方法
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ゼロベース思考
前提や常識を一度リセットし、目的から逆算して考える訓練をします。- 前提を疑う:既存の選択肢以外の可能性を模索する
- 目的に戻る:本来のゴールや論点を見失わない
- 森を見る:議論全体の構造を把握し、要素のつながりを意識する
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クリティカルシンキング
先入観を排し、客観的なデータや論理的思考に基づいて状況を分析します。自らの考えを疑い、より妥当な説明や解決策を模索します -
未来志向
未来を常に視野に入れた上で現状を評価することで、後手に回らず、潜在的なチャンスやリスクに先手を打つことができます
おわりに
課題発見力は、問題解決力を補完し、長期的な成長や持続的な改善を可能にする重要なスキルです。問題が起きてから対応するだけでなく、将来的な変化や進化の余地を先読みして動くことで、より高い成果を目指せます。
ぜひ、日々の業務やプロジェクト推進の中で、この課題発見力を意識してみてください。
参考