OCI Block Storage(ブート/ブロック・ボリューム)の新しいバックアップ保護機能
2026年8月、OCI Block Storage(ブート/ブロック・ボリューム)にランサムウェア対策や誤削除防止を目的とした高度なバックアップ保護機能が利用可能となりました。Compute(仮想サーバー)のバックアップ機能が強化されたということです。
バックアップに関して従来の「保持期間に基づく自動削除」中心の運用から、「管理者であっても消せない(不可変・イミュータブル)」「意図せぬ手動削除の防止」「法的調査のための保護」といった高度なガバナンスが実現可能になっています。
* オラクル社マニュアル
https://docs.oracle.com/ja-jp/iaas/Content/Block/Tasks/create-bv-boot-volume-backup.htm
4つの保護レベルと使い分け
いくつかの機能が追加され、要件(コスト・セキュリティ・コンプライアンス)に応じて、4つの保護レベルを適切に使い分けることが可能になりました。OCIコンソール上では「保持ロック」「削除の防止」という表現ですが、どのように使い分けていくか考え方を整理してみます。
| 保護レベル | 特徴 | 手動削除 | 自動削除 | オススメの用途 |
|---|---|---|---|---|
| 0. 保護なし(デフォルト) | 従来のバックアップ。自由に変更・削除が可能。 | ◯ (可能) | ◯ (削除される) | 開発・検証環境、日常のローテーション |
| 1. ガバナンス(削除防止) | 保持期間中の手動削除を拒否。管理者は設定解除・変更したうえで削除可能。 | △ (設定解除後) | ◯ (削除される) | 本番環境の通常保護、ヒューマンエラー防止 |
| 2. コンプライアンス(保持ロック) | 完全な不可変(イミュータブル)。設定解除や期間短縮は管理者でも不可能。 | × (絶対不可) | ◯ (満了で削除) | 金融・医療等の規制データ、ランサムウェア完全防御 |
| 3. リーガルホールド(無期限保持) | 期限切れによる自動削除をストップ。手動で保持解除するまで永久保存。 | △ (Hold解除後) | × (ストップする) | 監査対応、障害・インシデント調査、法的保全 |
1. ガバナンス(手動削除防止 / Delete Prevention)
設定された保持期間が過ぎるまで、手動による誤削除や悪意ある削除操作を拒否します。
管理者権限があれば設定の解除・変更が可能です。
2. コンプライアンス(保持ロック / Retention Lock)
不可変(イミュータブル)バックアップを実現します。
一度ロックすると、バックアップの変更・削除はできず、ロックを途中で解除したり保持期間を短縮したりすることが管理者であっても一切不可能になります(期間の延長のみ可)。
3. リーガルホールド(無期限保持 / Indefinite Hold)
監査や法的調査などのために、通常の期限切れによる自動削除を一時停止・保護します。
管理者(権限保持者)が手動で保持を解除することで削除が可能になります。
実務での使い分け判断フロー
どの保護レベルを使っていくかは、要件や環境(本番・テスト・開発)によっても異なると思います。
例えば以下のようなフローで考えてみましょう。
Q1. 保存期間が決まっているか?(無期限保持が必要か)
├─ 決まっていない(法的調査・インシデント対応などが必要) ➔ 【3. リーガルホールド】
└─ 決まっている ➔ Q2へ
Q2. 管理者アカウントが乗っ取られても「絶対に消されない」ことが要件か?
├─ はい(ランサムウェア対策・法令遵守) ➔ 【2. コンプライアンス(保持ロック)】
└─ いいえ(誤操作を防ぎつつ柔軟に運用したい) ➔ 【1. ガバナンス(削除防止)】
OCIコンソールによる操作手順
本機能は Compute で使用される OCI Block Storage(ブート/ブロック・ボリューム)のバックアップに関するものです。バックアップに関する設定から使用します。
手動でバックアップを取得するときに保護を設定したり、バックアップポリシーのスケジュールで日々のバックアップを自動保護するように設定したりできます。
手動バックアップ時の設定手順
1. バックアップ作成画面を開く
- OCIコンソールから 「ストレージ」 ➔ 「ブロック・ストレージ」 ➔ 「ブロック・ボリューム(またはブート・ボリューム)」 に移動します。
- 保護したいボリュームのコンテキストメニュー(3点リーダー)から 「手動バックアップの作成」 を選択します。
2. 保持期間の設定(Data Retention)
バックアップを自動削除する設定を行います。
- バックアップ作成ダイアログの データ保存 セクションで保存期間を設定します。
- 「保持期間なし(削除するまで保持)」: 明示的に削除するまで保存
- 「保持期間の設定」: 保存日数(DAYS)または年数(YEARS)を指定(例: 7 DAYS)
3. 保護レベルを選択・適用
要件に基づいて、いずれかにチェックを入れます。
- コンプライアンス(保持ロック)を適用する場合:
保持ロックにチェックを入れます。(※設定後は解除・短縮ができない旨の警告ダイアログが表示されるため、確認のうえ同意します) - ガバナンス(削除防止)を適用する場合:
削除の防止にチェックを入れます。
4. 作成を実行しステータスを確認
- 「ブロック・ボリューム・バックアップの作成」 をクリックします。
- 作成完了後、バックアップ詳細画面の「データ保持」項目で、意図した保護ステータスになっていることを確認します。
5. (必要に応じて)リーガルホールドの設定
- 既存のバックアップに対して無期限保持を適用したい場合は、バックアップ詳細画面の 「無期限の保留」 チェックを
ONに変更します。
運用上のポイント
-
保持ロックの不可逆性: テスト環境で必ず事前検証を行ってください。「テストで10年ロックをかけてしまい削除できない」といったトラブルを防ぐため、本番適用時の設定期間は慎重に決定してください。
-
権限の最小化(IAMポリシー): バックアップの「保護の設定」を行う管理者と、「削除できる」管理者を分けておくことで、悪意をもった操作をしにくくできます。
-
コスト設計: バックアップを長期間保持するほどストレージコストが長期間にわたって発生することになります。特にフルバックアップと増分バックアップを併用するなど、コストの影響を考慮して設計してください。
-
リージョン障害対策: バックアップを別リージョンへ転送し、より強固に守ることも可能です。クロスリージョン・バックアップの併用もご検討ください。




