#はじめに
賃貸派の方々は契約更新の時期が近づいてくる中で、こういう気持ちが生まれることはないでしょうか。
「今の家に不満はないが、更新の時にもう少し安くならないかな・・・」
「更新時に安くならなきゃ引越ししようかな」
「家賃相場より高く物件を借りているのではないか・・・?」
**「自分の払っている家賃が妥当かどうか確認したい」**今回はここを定量的に把握する事を目標とします。
#目標
分析目標を細かく分解していきます。
誰が:「賃貸契約者(住んでる人)が」
いつ:「引っ越すか、契約更新するか悩んでいるとき」
何を:「自身の払っている家賃が妥当なのか」
が分かれば
何ができる:「引っ越すか、契約更新するか、家賃交渉するかの意思決定の手助けができるようになる」
このためには、あらゆる物件の家賃相場を把握する事がまず必要です。
#データの準備
賃貸物件情報サービス「SUUMO」からデータをスクレイピングします。
収集時期:2020年6月
収集範囲:東京23区
データ総数:175,032件
収集した特徴量は下記の通りです。(SUUMOより参照)
これらの特徴量をもとに、賃料を予測するモデルを作ります。
(賃料は、管理費も合算した金額になるよう調整しました。)
#特徴量の限定
自分の家賃の相場を把握するために「何階建てで」「〇〇線の△△駅から徒歩×分」など多くの情報を入力することは煩わしいですね・・・。
オッカムの剃刀の考え方に習い、少ない特徴量で「それなり」の精度の出るモデルの作成を目指します。
特徴量のimportanceを確認するために、ligtht_GBMを用いました。
精度もそれなりに高く、学習コストも低いので「どの特徴量を使おうかな〜」と何度も繰り返す作業にはとても重宝しました。
最終的に使用する特徴量を5つに限定しました。
特徴量 | 例 |
---|---|
区 | 新宿区 |
築年数 | 5年 |
物件の存する階 | 3階 |
専有面積 | 35㎡ |
間取り | 1LDK |
この特徴量をもとに、賃料の予想を行なっていきます。
#予測精度は?
「そんな特徴量で大丈夫か?」と思いますが、
この5つの特徴量で賃料予測を行なったところ、下記のような結果となりました。
最寄駅情報によって賃料価格が大きく異なると仮定していたのですが、最寄駅よりもどの区に属しているか、が大きく関わっているようでした。ここは意外でした。
予測結果において、おおよそ±12000の誤差が確認できるとわかりました。
精度に優れたランダムフォレストを採用して、今後進めていきます。
#自分の家の賃料は?
特徴量をもとに、賃料を予測する学習モデルの作成は完了しました。
次に**「今の家賃が妥当なのか」**を確認するためには自宅の特徴量を新たに作成し、そこに学習モデルを食わせて予測金額(賃料)を叩き出す必要があります。
サンプルとして世田谷の物件を1つ参照し、実際に住んでいる気持ちになります。(2階に住んでいるつもりで)
([SUUMOより参照](https://suumo.jp/jj/chintai/ichiran/FR301FC001/?ar=030&bs=040&ta=13&sc=13112&cb=0.0&ct=9999999&et=9999999&md=04&md=07&cn=9999999&mb=0&mt=9999999&shkr1=03&shkr2=03&shkr3=03&shkr4=03&fw2=
))
####物件の特徴を確認します。
特徴量 | |
---|---|
区 | 世田谷区 |
築年数 | 12年 |
物件の存する階 | 2階 |
専有面積 | 48.74㎡ |
間取り | 1LDK |
家賃(管理費込) | ¥14,7000 |
####今回はinput関数を用いて、データフレームの作成を行います。
####データフレームを作成。学習データを用いて予測結果の算出。
#予測結果を踏まえた考察
結果 | |
---|---|
実際の家賃(管理費込) | ¥14,7000 |
予測結果の家賃(管理費込) | ¥14,5229 |
実際の家賃に対して、予測結果が安い結果となりました。
引越しをしようか、契約更新をしようか、家賃交渉をしようか、
ここで家主がどう思うかは、その人それぞれですし、その他周辺環境などにもよるところがあると思います。(自分が実際に住んでいないので意見を控えときます笑)
しかしながら、意思決定においてそれなりに勘案できる情報となります。
**「管理費分だけ安くしてくれないか?」**このくらいは交渉してみても良いかもしれませんね。
#最後に
目標としていた
「引っ越すか、契約更新するか、家賃交渉するかの意思決定の手助けができるようになる」
この点には多少なりとも貢献するモデルになりました。
やってみる前「精度はある程度で良いだろう」と考えていましたが、家賃としては数千円の違いでも年間に換算すると何万と変わるので、さらに精度が高いモデルであれば具体的な意思決定に貢献できそうです。
「家賃×12ヶ月分」の年間賃料を新たな目的変数としてモデル作成を行えば、また違った結果が見えてきそうです。
個人的には契約更新時期、家賃交渉を行なってみる価値はあると思います。
価格交渉の末、たとえ1000円でも家賃が安くなれば、支出が据え置きでネットフリックスとか契約できちゃいます。
固定費削減のインパクト、侮れません・・・
#参考
今住んでいる物件の家賃を下げたい方は、下記YouTubeが参考になるとおもいます
https://www.youtube.com/watch?v=25DfwHHnKDg
SUUMOのスクレイピングに関しては、下記記事がとても参考になりました。
https://qiita.com/haraso_1130/items/8ea9ba66f9d5f0fc2157