Note:
この記事は 2025年10月14日(太平洋標準時)に公開された Microsoft セキュリティ更新プログラムの概要をまとめたものです。
以下の製品群にフォーカスしたものとなっています。(主にデバイス管理者向け)
・各クライアントOS ( bitness は x64 対象 )
Windows 11 (25H2/24H2/23H2/22H2)
Windows 10 (22H2/1607LTSB)
・Microsoft Office (Microsoft 365 Apps for Enterprise)
・Microsoft Edge (Stable v141)
Microsoft がナレッジ内で言及している推奨手法(回避策)については"タメ語"で一部表現しておりますが、ご容赦ください。
Summary
・Windows系脆弱性修正としては 一般公開あり 2件、悪用実績あり 3件。
・.NET Framework 系 更新 あり。
・今月はEOS祭。以下は今月で最後のセキュリティリリース。
Windows 10 LTSB 2015(v1507)
Windows 10 22H2
Windows 11 22H2
Windows Client 今月の献立
Version | Build | CU KB | NetFx KB | SSU KB | Other |
---|---|---|---|---|---|
25H2 | 26200.6899 | 5066835 | 5066128 | - | - |
24H2 | 26100.6899 | 5066835 | 5066131 | - | - |
23H2 | 22631.6060 | 5066793 | 5066133 | - | - |
22H2 (Win11) | 22621.6060 | 5066793 | 5066133 | - | (5012170) |
22H2 (Win10) | 19045.6456 | 5066791 | 5066747 | (5031539) ※1 | (5012170) |
1607 | 14393.8519 | 5066836 | 5066136 | 5066584 | (5012170) (4589210) ※2 |
※1 単体SSUにおける最新。各種前提を適用できていない場合は 2022年5月のSSU(KB5014032) を先に適用してね。
※2 Intel マイクロコード更新。
2025-10 .NET Framework 3.5 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows 11, version 25H2 用) (KB5066128)
2025-10 .NET Framework 3.5 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows 11, version 24H2 用) (KB5066131)
2025-10 .NET Framework 3.5 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows 11, version 23H2 用) (KB5066133)
2025-10 .NET Framework 3.5 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows 11, version 22H2 用) (KB5066133)
2025-10 x64 (KB5066747) 向け Windows 10 Version 22H2 用 .NET Framework 3.5、4.8 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム
# 先月以前からの継続
2023-10x64 ベース システム用 Windows 10 Version 22H2 サービス スタック更新プログラム (KB5031539)
2025-10 Windows 10 Version 1607 (x64 版) 用 .NET Framework 4.8 の累積的な更新プログラム (KB5066136)
2025-10x64 ベース システム用 Windows 10 Version 1607 サービス スタック更新プログラム (KB5066584)
# LCU では最新の SSU の適用を強く推奨するという表現。
2022-12 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 22H2 のセキュリティ更新プログラム (KB5012170)
Microsoft Edge-WebView2 Runtime バージョン 141 Update の x64 ベース エディション (ビルド 141.0.3537.71)
Windows Known issues (2025/10/15 7:00 JST)
25H2/24H2
Issues | Status/WorkAround |
---|---|
一部のBlu-ray/DVDおよびデジタルTVアプリで保護されたコンテンツが正常に再生できない可能性あり HDCP対応による拡張ビデオレンダラー、またはDRM(デジタル著作権管理)を音声に使用しているアプリでは予期せぬ中断・エラー・停止などが表示される場合がある。 |
9C以降で一部修正済。しかしながら現時点でもDRMを使用しているアプリでは引き続き問題が発生する可能性があり、現在も調査中。 |
Vulnerability
以下の基準でピックアップしたものです。(脆弱性全ての一覧ではありません。)
・ゼロデイ(一般公開/悪用実績あり)
・CVSSスコアが高い (9.0以上)
・その他話題になっているもの
CVE# | タイトル | 深刻度 | 一般公開 | 悪用実績 | 悪用可能性指標 | CVSSスコア関連 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CVE-2025-59287 | Windows Server Update Service (WSUS) のリモートでコードが実行される脆弱性 | 緊急 | なし | なし | 悪用される可能性が高い |
スコア : 9.8 攻撃経路:NW 条件複雑:低 必要特権 :なし ユーザー関与:なし スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
CVSS高スコア。非認証状態のリモートの攻撃者が、従来のシリアル化メカニズムで安全でないオブジェクトの逆シリアル化をトリガーする細工されたイベントを送信することで、リモートでコードが実行できる可能性あり。 |
CVE-2025-49708 | Microsoft Graphics コンポーネントの特権の昇格の脆弱性 | 緊急 | なし | なし | 悪用される可能性は低い |
スコア : 9.9 攻撃経路:NW 条件複雑:低 必要特権 :低 ユーザー関与:なし スコープ:変更あり 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
CVSS高スコア。攻撃者は、ローカルゲストVMにアクセスして、GraphicsコンポーネントのUser-After-Freeを利用してホストOSを攻撃することで、SYSTEM特権を獲得する可能性があり、他のVMに対しても影響を与える可能性あり。 |
CVE-2025-24990 | Windows Agere モデム ドライバーの特権昇格の脆弱性 | 重要 | なし | あり | 悪用の事実を確認済み | スコア : 7.8 攻撃経路:LOCAL 条件複雑:低 必要特権 :低 ユーザー関与:なし スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
今月のゼロデイ。ドライバー(ltmdm64.sys)において、信頼できないポインター参照によって管理者権限を取得する可能性あり。ただしこのドライバーは今月の更新プログラムによって削除される。 |
CVE-2025-24052 | Windows Agere モデム ドライバーの特権昇格の脆弱性 | 重要 | あり | なし | 悪用される可能性が高い | スコア : 7.8 攻撃経路:LOCAL 条件複雑:低 必要特権 :低 ユーザー関与:なし スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
今月のゼロデイ。ドライバー(ltmdm64.sys)において管理者権限を取得する可能性あり。ただしこのドライバーは今月の更新プログラムによって削除される。 |
CVE-2025-59230 | Windows Remote Access Connection Manager の特権の昇格の脆弱性 | 重要 | なし | あり | 悪用の事実を確認済み | スコア : 7.8 攻撃経路:LOCAL 条件複雑:低 必要特権 :低 ユーザー関与:なし スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
今月のゼロデイ。攻撃者がRemote Access Connnection Manager におけるアクセス制限が不適切であることを悪用して、SYSTEM権限で任意のコードを実行できる可能性あり。 |
CVE-2025-47827 | MITRE CVE-2025-47827: IGEL OS 11 以前のセキュア ブート バイパス | 重要 | なし | あり | 悪用の事実を確認済み | スコア : 4.6 攻撃経路:物理 条件複雑:低 必要特権 :なし ユーザー関与:なし スコープ:変更なし 機密性:なし 完全性:なし 可用性:高 |
今月のゼロデイ。シンクライアントOSであるIGEL OSにおける脆弱性で、攻撃者がこの脆弱性を悪用した場合、セキュア ブートをバイパスする可能性あり。 |
CVE-2025-2884 | Cert CC: CVE-2025-2884 TPM2.0 リファレンス実装における境界外読み取りの脆弱性 | 重要 | あり | なし | 悪用される可能性は低い | スコア : 5.3 攻撃経路:LOCAL 条件複雑:高 必要特権 :低 ユーザー関与:なし スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:なし 可用性:低 |
今月のゼロデイ。CG TPM2.0リファレンス実装の CryptHmacSign ヘルパー関数における脆弱性。署名キーのアルゴリズムを用いた署名スキームの検証が不十分なため、境界外の読み取りが発生する可能性あり。 |
M365Apps 今月の献立
Channel | Build | Remarks |
---|---|---|
Current | Version 2509 (Build 19231.20194) | |
Monthly Enterprise | Version 2508 (Build 19127.20302) Version 2507 (Build 19029.20274) |
|
Semi-Annual Enterprise | Version 2502 (Build 18526.20634) Version 2408 (Build 17928.20708) |
|
Perpetual Enterprise (Office 2019 Standard) | Version 1808 (Build 10417.20063) |
Office Known Issues (2025/9/10 6:30 JST)
Apps | Status | Issues | Remarks/WorkAround |
---|---|---|---|
共通 | 調査中 | Officeのテキスト翻訳機能を使用した場合に、結果は見つかりませんでした。というエラーメッセージが出る可能性あり。 | 調査中。 |
Outlook | 修正済 | X509(S/MIME)証明書が追加されているGAL上の連絡先を編集しようとすると、操作が失敗しましたというエラーメッセージが表示される可能性あり。 | サービスにて修正済。すでに発生したローカル連絡先の破損については連絡先の再作成をしてね。 |
Outlook | 非推奨・製品変更 | グループポリシーエディターで"メッセージを送信するとき"ポリシーを構成すると、すべての設定値が既定値で設定され、結果としてOutlookオプションダイアログ側で無効状態となってしまう。 | 修正版の管理用テンプレートをリリース予定 |
Outlook | 調査中 | 共有メールボックスのサービス支援検索にて検索結果が返されない、アプリがぐラッシュする、検索結果から返信すると送信トレイに残る等複数の問題あり | 現在調査中。 |
Outlook | 調査中 | クラシックOutlook起動時、"Microsoft Outlook"を起動できません。Outlookウィンドウを開くことができません。フォルダーのセットを開くことができません。Microsoft Exchange へのログオンの試みは失敗しました"とエラーメッセージが表示される。 | 現在調査中。ユーザーメールボックスで発生する。 回避策はOWAまたは新しいOutlookを利用してね |
Outlook | 調査中 | クラシックOutlook起動時、別テナントから送信されたOMEv2暗号化メールを開けない。開こうとすると"Infomation Rights Management用にコンピューターを構成しています..."とメッセージが表示される。 | 調査中。回避策としては条件付きアクセスの要件から外部ユーザーを除外するか、テナント間アクセスを有効にして他テナントからのMFA要求を信頼設定してね |
Outlook | 修正済 | Outlook Classicで、グローバルアドレス一覧(GAL)から作成された連絡先を含む共有予定表を開くことができない可能性あり。 | サービスにて修正済。すでに発生したローカル連絡先の破損については連絡先の再作成をしてね。 |
Outlook | 調査中 | メール管理者は Outlook Classic に対して OnlineMeetingsByDefaultEnabled の設定値を適用させることができない | 現在調査中。 |
Outlook | 調査中 | 自分または共有カレンダーで会議を更新するときにエラーが発生する可能性あり。(「アイテムは別のユーザーによって、または別のウィンドウで変更されたため、保存できません」等) | サポートに問い合わせてね。 |
Outlook | 回避策提示済 | Outlookデスクトップアプリ(Ver2309以上)を起動した際、予期したプロフィール画像の代わりにサインインボタンが表示され、資格情報を入力して認証しようとしても、「この電子メールアドレスはすでに追加されています」というエラーダイアログが表示されてしまう | 現時点正式リリースの見通し無し。回避策はハイブリッド先進認証にすること。 |
Outlook | 調査中 | タッチモードで各アプリ(ToDo)が機能しない。 | 回避策→マウス使ってね。 |
Outlook | 調査中 | 会議出席者が、代理人によって変更された添付ファイルを含む会議の更新またはその一部を取得できない可能性あり。 | 可能な限り添付ファイルを SharePoint か OneDrive に保存し、リンクを使用して共有することを推奨。 |
Outlook | 調査中 | Outlook(Classic)における共有メールボックスに対するサーバー支援による検索機能にて、不具合あり。 ・現在のフォルダーで検索した際、カテゴリーでソートしても結果が返されない。 ・検索するとOutlook自体がクラッシュする |
調査中。回避策としては、レジストリ値を入れることでサーバー支援機能を無効化できる。 HKEY_CURRENT_USER\software\policies\Microsoft\office\16.0\outlook\search DWORD: DisableServerAssistedSearch 値:1 |
PowerPoint | 調査中 | 32bitアプリでは秘密度ラベルの自動適用・推奨機能が利用できない。(US英語環境を除く) | 32bitアプリでは当機能がサポートできていないため |
PowerPoint | 修正済(中) | PowerPoint 2019(Version 1808,ビルド 10409.20028)において、ボリュームライセンスインストールにおいてはファイル破損やデータ損失の可能性があるため、一部機能の無効化を実施中。(オブジェクトの挿入→アイコンとして表示、形式を指定して貼り付けメニューからの図の貼り付け等) | ファイル破損の一部解決があり、ビルド10412.20006にて対応。以下2機能の無効化は継続中。 ・[形式を指定して貼り付け] ダイアログ ボックスから [図 (Windows メタファイル)] として貼り付け。 ・Shapes.PasteSpecial メソッドと View.PasteSpecialメソッド から ppPasteMetafilePicture として貼り付け。 |