Note:
この記事は 2024年9月10日(太平洋標準時)に公開された Microsoft セキュリティ更新プログラムの概要をまとめたものです。
以下の製品群にフォーカスしたものとなっています。(主にデバイス管理者向け)
・各クライアントOS ( bitness は x64 対象 )
Windows 11 (23H2/22H2)
Windows 10 (22H2/21H2/1607LTSB)
・Microsoft Office (Microsoft 365 Apps for Enterprise)
・Microsoft Edge (Stable v128)
Microsoft がナレッジ内で言及している推奨手法(回避策)については"タメ語"で一部表現しておりますが、ご容赦ください。
Summary
・.NET Framework系更新なし。
・高スコア1件、一般公開1件、悪用実績4件。
・M365Apps は9月半期プレビュー(2308)機能更新リリース。
Windows Client 今月の献立
Version | Build | CU KB | NetFx KB | SSU KB | Other |
---|---|---|---|---|---|
23H2 | 22631.4169 | 5043076 | (5042099) | - | - |
22H2 (Win11) | 22621.4169 | 5043076 | (5042099) | - | (5012170) |
22H2 (Win10) | 19045.4894 | 5043064 | (5042352) | (5031539) ※1 | (5012170) |
21H2 (Win10) | 19044.4894 | 5043064 | (5042351) | (5031539) ※1 | (5012170) |
1607 | 14393.7336 | 5043051 | (5041951) | 5043124 | (5012170) (4589210) ※2 |
※1 単体SSUにおける最新。各種前提を適用できていない場合は 2022年5月のSSU(KB5014032) を先に適用してね。
※2 Intel マイクロコード更新。
# 先月以前からの継続
2024-08 .NET Framework 3.5 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows 11, version 23H2 用) (KB5042099)
# 先月以前からの継続
2024-08 .NET Framework 3.5 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows 11, version 22H2 用) (KB5042099)
# 先月以前からの継続
2024-08 x64 (KB5042352) 向け Windows 10 Version 22H2 用 .NET Framework 3.5、4.8 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム
2023-10x64 ベース システム用 Windows 10 Version 22H2 サービス スタック更新プログラム (KB5031539)
# 先月以前からの継続
2024-08 x64 (KB5042351) 向け Windows 10 Version 21H2 用 .NET Framework 3.5、4.8 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム
2023-10x64 ベース システム用 Windows 10 Version 21H2 サービス スタック更新プログラム (KB5031539)
2024-09x64 ベース システム用 Windows 10 Version 1607 サービス スタック更新プログラム (KB5043124)
# 先月以前からの継続
2024-08 Windows 10 Version 1607 (x64 版) 用 .NET Framework 4.8 の累積的な更新プログラム (KB5041951)
# LCU では最新の SSU の適用を強く推奨するという表現。
2022-12 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 22H2 のセキュリティ更新プログラム (KB5012170)
2022-08 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 21H2 のセキュリティ更新プログラム (KB5012170)
Microsoft Edge-WebView2 Runtime バージョン 128 Update の x64 ベース エディション (ビルド 128.0.2739.67)
Windows Known issues (2024/09/11 07:00 JST)
バージョン共通
Issues | Status/WorkAround |
---|---|
更新適用後に、WindowsとLinuxのデュアルブート設定を有効にしている場合、Linuxの起動に問題が発生する可能性あり。起動不可として以下のメッセージが表示される場合あり。 Verifying shim SBAT data failed: Security Policy Violation. Something has gone seriously wrong: SBAT self-check failed: Security Policy Violation. |
SBAT(Secure Boot Advanced Targeting)設定の更新により古く脆弱なEFIブートマネージャーがブロックされたため。 <回避方法> 1.適用前の場合はレジストリ値を設定し、SBAT更新の適用をブロックする HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\SecureBoot\SBAT /v OptOut /d 1 /t REG_DWORD 2.適用後の場合はセキュアブートを無効化し、SBATアップデートをLinux上から削除してね。 詳細方法 |
23H2/22H2(Win11)
なし
22H2/21H2(Win10)
Issues | Status/WorkAround |
---|---|
ユーザーアカウントのプロフィール写真を変更できなくなる可能性あり ファイルを選択して変更しようとすると、0x80070520 のエラー表示がされる場合あり。 |
調査対応中。 (Win11では5Cリリースにて修正済。) |
1607 (Windows Server 2016)
Issues | Status/WorkAround |
---|---|
2024/07リリース(7B)以降の更新を適用したWindowsServerにおいて、リモートデスクトップ接続が中断される可能性あり。プロトコルとして従来のHTTP経由のRPCがRDGatewayにて使用されている場合に発生し、30分後と繰り返される可能性あり。(TSGatewayサービスの終了としてトレース可能。0x0000005として応答がなくなる。) | 9Bリリースにて修正。 現時点の回避策は2通り。 ファイアウォール製品にてパイプ経由での接続または\pipe\RpcProxy\3388経由の接続を禁止にする または、 クライアントレジストリのRDGClientTransportの値を0x00000000(0)に設定する。 HKCU\Software\Microsoft\Terminal Server Client |
Vulnerability
以下の基準でピックアップしたものです。(脆弱性全ての一覧ではありません。)
・ゼロデイ(一般公開/悪用実績あり)
・CVSSスコアが高い (9.0以上)
・その他話題になっているもの
CVE# | タイトル | 深刻度 | 一般公開 | 悪用実績 | 悪用可能性指標 | CVSSスコア関連 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CVE-2024-43491 | Microsoft Windows Update のリモートでコードが実行される脆弱性 | 緊急 | なし | あり | 悪用の事実を確認済み | スコア : 9.8 攻撃経路:NW 条件複雑:低 必要特権 : なし ユーザー関与:なし スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
CVSS高スコアかつゼロデイ。 Windows 10 Enterprise 2015 LTSBのみ対象。最新のSSU適用にて修正。Use-After-Freeエラーを引き起こして任意のコードを実行できる可能性あり。MS公式には脆弱性利用は確認されていないとのこと。 |
CVE-2024-38213 | Windows Mark Of The Web セキュリティ機能のバイパスの脆弱性 | 重要 | あり | あり | 悪用の事実を確認済み | スコア : 5.4 攻撃経路:NW 条件複雑:低 必要特権 : なし ユーザー関与:必要 スコープ:変更なし 機密性:なし 完全性:低 可用性:低 |
今月のゼロデイ。攻撃者は悪意のあるファイルを送信し、それを開かせることで、SmartScreen機能をバイパスすることで、他の脆弱性攻撃へつなげる可能性あり。 |
CVE-2024-38226 | Microsoft Publisher のセキュリティ機能のバイパスの脆弱性 | 重要 | なし | あり | 悪用の事実を確認済み | スコア :7.3 攻撃経路:LOCAL 条件複雑:低 必要特権 : 低 ユーザー関与:必要 スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
今月のゼロデイ。攻撃者が細工したファイルをユーザーに開かせた際に、信頼できないまたは悪意のあるファイルをブロックするためのマクロポリシーをバイパスする可能性あり。 |
CVE-2024-38014 | Windows インストーラーの特権の昇格の脆弱性 | 重要 | なし | あり | 悪用の事実を確認済み | スコア :7.8 攻撃経路:LOCAL 条件複雑:低 必要特権 : 低 ユーザー関与:なし スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
今月のゼロデイ。攻撃者がWindowsインストーラーの不適切な権限管理を悪用して、SYSTEM権限を獲得する可能性あり。 |
M365Apps 今月の献立
Channel | Build | Remarks |
---|---|---|
Current | Version 2408 (Build 17928.20156) | |
Monthly Enterprise | Version 2407 (Build 17830.20210) Version 2406 (Build 17726.20222) |
|
Semi-Annual Enterprise Preview | Version 2408 (Build 17928.20156) | 最新チャネルに追いつく機能更新リリース。 |
Semi-Annual Enterprise | Version 2402 (Build 17328.20588) Version 2308 (Build 16731.20810) |
|
Perpetual Enterprise (Office 2019 Standard) | Version 1808 (Build 10414.20002) |
Office Known Issues (2024/9/11 7:00 JST)
Apps | Status | Issues | Remarks/WorkAround |
---|---|---|---|
Outlook | 調査中 | 更新適用後に、Outlook、Word、その他のOfficeアプリケーションを起動すると、「コンピューターに msls70.dll がないため、プログラムを開始できません。この問題を解決するには、プログラムを再インストールしてみてください。」というようなエラーが表示される。 | OWAまたは新しいOutlookアプリを利用するか、サポートに問い合わせてね。関連フォーラム |
Outlook | 調査中 | 自分または共有カレンダーで会議を更新するときにエラーが発生する可能性あり。(「アイテムは別のユーザーによって、または別のウィンドウで変更されたため、保存できません」等) | サポートに問い合わせてね。 |
Outlook | 調査中 | Outlookにて予定表を追加した後、開くことができない。 2024/7/15~17の間にてWindows版Outlookのオンラインモードにて発生。(EX814289) |
7/17にサービス側を修正済みだが、事象が発生する場合は、予定表の一覧をキャプチャーやメモ等で保管しておき、ファイル名指定して実行にて"Outlook.exe /resetnavpane"を実行し、Outlookを起動後に再度カレンダーを追加してね。 |
Outlook | 調査中 | Outlook Desktop と Outlook Web App 間で署名が同期されない または しばらくすると削除されてしまう。 | 現状有力な回避策 下記レジストリーキーの変更後にアプリ再起動を実施。 HKCU:\Software\Microsoft\Office\Outlook\Settings →キー名をSettings_oldに変更。 |
Outlook | 調査中 | Outlookデスクトップアプリ(Ver2309以上)を起動した際、予期したプロフィール画像の代わりにサインインボタンが表示され、資格情報を入力して認証しようとしても、「この電子メールアドレスはすでに追加されています」というエラーダイアログが表示されてしまう | 調査中。 |
Outlook | 調査中 | タッチモードで各アプリ(ToDo)が機能しない。 | 回避策→マウス使ってね。 |
Outlook | 調査中 | クイック操作にて新規に"新しい電子メールの宛先"を作成する際、オートコンプリート機能を利用して連絡先を選択して完了すると、内容が保存できない。 | 回避策は、アドレス帳で連絡先を検索するボタンを利用するか、以下のレジストリを追加してね。 HKCU:\software\policies\Microsoft\office\16.0\outlook DoNotIncludeNickNameCacheInSearch (REG_DWORD) Value: 1 |
Outlook | 調査中 | 会議出席者が、代理人によって変更された添付ファイルを含む会議の更新またはその一部を取得できない可能性あり。 | 可能な限り添付ファイルを SharePoint か OneDrive に保存し、リンクを使用して共有することを推奨。 |
Outlook | 調査中 | オンラインモードでメールボックスにアクセスし、メッセージの転送や分類、フラグを設定しようとすると"操作に失敗しました"というエラーが表示される場合あり。 | 回避策 キャッシュモードで利用するか、Web版を利用してね。 |
Outlook | 調査中 | メールを送信しようとすると エラーコード 0x80040305 を含む想定外の配信不能レポートが表示される可能性あり。 | 暫定回避策: サブフォルダーを持つフォルダーの数を500未満に減らす。 フォルダーを展開せず折りたたんだままにする ↓ Outlookを再起動する。 |
Word | 調査中 | リスト内でEnterキーとBackSpaceキーが期待通りに機能せず、リストからカーソルが抜けられなくなる場合あり。 | |
PowerPoint | 調査中 | 32bitアプリでは秘密度ラベルの自動適用・推奨機能が利用できない。(US英語環境を除く) | 32bitアプリでは当機能がサポートできていないため |
PowerPoint | 修正中 | PowerPoint 2019(Version 1808,ビルド 10409.20028)において、ボリュームライセンスインストールにおいてはファイル破損やデータ損失の可能性があるため、一部機能の無効化を実施中。(オブジェクトの挿入→アイコンとして表示、形式を指定して貼り付けメニューからの図の貼り付け等) | ファイル破損の一部解決があり、ビルド10412.20006にて対応。以下2機能の無効化は継続中。 ・[形式を指定して貼り付け] ダイアログ ボックスから [図 (Windows メタファイル)] として貼り付け。 ・Shapes.PasteSpecial メソッドと View.PasteSpecialメソッド から ppPasteMetafilePicture として貼り付け。 |