Note:
この記事は 2023年4月11日(太平洋標準時)に公開された Microsoft セキュリティ更新プログラムの概要をまとめたものです。
以下の製品群にフォーカスしたものとなっています。(主にデバイス管理者向け)
・Windows 11 (22H2)
・Windows 10 (22H2/21H2/1607LTSB)
・Microsoft Office (Microsoft 365 Apps for Enterprise)
・Microsoft Edge (Stable v112)
Microsoft がナレッジ内で言及している推奨手法(回避策)については"タメ語"で一部表現しておりますが、ご容赦ください。
Summary
・Win10/11系列は悪用実績1件、CVSS高スコア(9.8)複数あり。
・.NET Framework 更新なし(※一部3月末に差替更新あり)
・Win10/11へはLAPSが標準搭載となる。(Windows LAPS)
Comment
セキュリティ修正による設定・既定値変更は以前からよくありましたが、
やはり品質更新での機能追加の傾向が今回も出ているように思います。
Windows Client 今月の献立
Version | Build | CU KB | NetFx KB | SSU KB | Other |
---|---|---|---|---|---|
22H2 (Win11) | 22621.1555 | 5025239 | (5022497) | - | (5012170) |
22H2 (Win10) | 19045.2846 | 5025221 | (5022729) | - | (5012170) |
21H2 (Win10) | 19044.2846 | 5025221 | (5022728) | (5014032) ※1 | (5012170) |
1607 | 14393.5850 | 5025228 | (5022503) | (5023788) | (5012170) |
※1 単体SSUにおける最新。各種前提を適用できていない場合は 2022年5月のSSU(KB5014032) を先に適用してね。
※2 Intel マイクロコード更新。
# 先月以前にリリース済だが最新のもの
2023-02 .NET Framework 3.5 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows 11, version 22H2 用) (KB5022497)
# 先月以前にリリース済だが最新のもの
2023-02 x64 (KB5022729) 向け Windows 10 Version 22H2 用 .NET Framework 3.5、4.8 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム
# 先月以前にリリース済だが最新のもの
2023-02 x64 (KB5022728) 向け Windows 10 Version 21H2 用 .NET Framework 3.5、4.8 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム
# 先月以前にリリース済だが最新のもの
2023-03x64 ベース システム用 Windows 10 Version 1607 サービス スタック更新プログラム (KB5023788)
2023-02 Windows 10 Version 1607 (x64 版) 用 .NET Framework 4.8 の累積的な更新プログラム (KB5022503) # LCU では最新の SSU の適用を強く推奨するという表現。
2022-12 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 22H2 のセキュリティ更新プログラム (KB5012170)
2022-08 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 21H2 のセキュリティ更新プログラム (KB5012170)
2022-08 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 20H2 のセキュリティ更新プログラム (KB5012170)
2021-01 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 1607 更新プログラム (KB4589210)
Microsoft Edge-WebView2 Runtime バージョン 112 Update の x64 ベース エディション (ビルド 112.0.1722.39)
Windows Known Issues (2023/04/12 12:00 JST)
バージョン共通 (新規なし)
Issues | Status/WorkAround |
---|---|
スタートメニュー、Windows Search、UWPアプリを開く際に期待通りに動作しない可能性あり。 Office APIを使用してWindows、Office、Outlook(カレンダー)統合のアプリが対象。(ClickShareが代表例) ※累積更新インストールによるものではなく、アプリ側の更新によって事象発生している可能性あり。 |
調査中。アプリのアンインストールで回避してね。 |
11Bリリース以降の累積更新適用後、DirectX利用しているアプリにて apphelp.dllエラーが発生する可能性あり。 ・Intelグラフィックスドライバーの 26.20.100.7463 ~ 30.0.101.1190 がインストールされているデバイスが対象。 ・DirectX または Direct3D を使用してコンテンツのレンダリングをしているアプリが対象。 |
Intelグラフィックスドライバーにて 30.0.101.1190 より新しいものをインストールしてね。 |
22H2(Win11)
Issues | Status/WorkAround |
---|---|
プロビジョニングパッケージを使用すると、期待通りに動作しない可能性あり。 OOBEが終了しない、予期せぬ再起動の発生、Windowsが部分的にしか構成されない可能性あり。(Autopilot除く) |
22H2にアップグレードする前にデバイスをプロビジョニングしてね。調査中。 |
数GBのファイルをコピーすると、完了するまでに想定以上の時間がかかる可能性あり。 SMBを介したネットワーク共有から22H2デバイスへのコピーで発生する可能性が高く、ローカルファイルコピーでも影響を受ける可能性あり。 |
キャッシュマネージャー(Buffered I/O)を使用しないファイルコピーツールを使ってね。(robocopy や xcopy) |
2B(2/14リリース)以降のWin11 22H2向け更新プログラムは、Windows Server 2016/2019 から 2022 へOSアップグレードをしたWSUSサーバーにて、Win11デバイスに対して更新展開が行えない可能性あり。MCM(ConfigMgr)は対象外。 | UUP(統合更新プラットフォーム)サービスファイルタイプの手動追加を実施すると緩和できる。調査中。 |
一部の3rdパーティー製のUIカスタマイズアプリを利用しているWindowsデバイスにて、Explorer.exeでエラーのループを引き起こす可能性あり。 既知の事例としては、Explorer Patcher と StartAllBack。 |
アプリをアンインストールしてね。 Explorer Patcher と StartAllBack については修正版がリリース済。 |
22H2/21H2(Win10)
Issues | Status/WorkAround |
---|---|
日本語IME利用時にローマ字/かな入力モードの自動的な変更ができない場合がある。 ImmSetConversionStatus 関数または VK_KANA キーエミュレーションを使用したアプリで発生する。 |
以前のバージョンのIMEを使用してね。調査中。 |
濁点・半濁点のついた半角カタカナと全角カタカナが同じ文字として解釈されない。CompareStringEx()関数をNORM_IGNOREWIDTHフラグとともに使用して比較すると事象が発生する。(※2004 6B以降で既に発生するもの) | レジストリにて NLS sorting rule を 6.2(=1909以前のもの) に戻すことで事象回避が行える。 ※11C(KB4586853)未適用状態で実施するとシステムが起動できなくなる恐れあり。 |
LCUを適用(SlipStream)させたカスタムオフラインメディアやISOイメージから構成されたデバイスでは、Edge Legacy が削除されるが New Edge がインストールされない可能性あり。 | LCUをSlipStreamする前に、LCU/SSU統合パッケージからCABを抽出して、SSUのCABを先行して適用してね。 |
タスクバーがちらつき、システムが不安定になる可能性あり ・天気やニュースと興味ウィジェットおよびアイコンがちらつく ・タスクバーが応答停止する ・エクスプローラーが応答停止する ・Officeアプリが応答停止する 等 |
調査中。KIRあり。(KB5017380) |
1Bリリース以降の累積更新を適用後、自動サインインが有効になっているキオスクデバイスプロファイルにて自動的なサインインが行われない場合あり。 Autopilotでのプロビジョニングが完了した後、サインイン画面にて資格情報の入力が求められる。 |
修正済。 |
.NET Framework 4.8.1の修正内容が適用されない(親KB5022502の各子KB) | 各子KBの更新プログラムを差替済。(3/29~3/30) 一度親KB5022502の更新をアンインストールし、StartComponentCleanupを行い、再度インストールしてね。 |
1607(LTSB)
Issues | Status/WorkAround |
---|---|
.NET Framework において TLS 1.2 プロトコルを使用するアプリとツールが接続できない可能性あり。(例:PowerShell Gallery リポジトリ) | ガイダンス参照 |
SecureBootDBX更新プログラム(KB5012170) (新規なし)
Issues | Status/WorkAround |
---|---|
グループポリシー "ネイティブ UEFI ファームウェア構成の TPM のプラットフォーム検証プロファイルを構成する"を有効化して PCR7 を選択している場合、インストールに失敗する可能性あり。 | BitLockerを再起動回数1~3回分一時停止してね。 (Credential Guard無効/有効で差あり。) |
インストールエラーとして"0x800f0922"が表示される可能性あり。※本更新のみの問題であり、CU適用への影響はなし。 | 3B以降のCU内のSSU もしくは 単体のSSU によって解決。 |
Windows 11 の一部のデバイスにおいて、更新適用後の1~2回目の再起動でBitLocker回復モードに突入する可能性あり。 | 2022/07/12以降のSSUおよびCUの適用で解消する。 |
Vulnerability
以下の基準でピックアップしたものです。(脆弱性全ての一覧ではありません。)
・ゼロデイ(一般公開/悪用実績あり)
・CVSSスコアが高い (9.0以上)
・その他話題になっているもの
CVE# | タイトル | 深刻度 | 一般公開 | 悪用実績 | 悪用可能性指標 | CVSSスコア関連 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CVE-2023-28252 | Windows 共通ログ ファイル システム ドライバーの特権の昇格の脆弱性 | 重要 | なし | あり | 悪用の事実を確認済み | スコア : 7.8 攻撃経路:LOCAL 条件複雑:低 必要特権 : 低 ユーザー関与:不要 スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
今月のゼロデイ。攻撃者はローカルユーザーとして当ドライバーの境界エラーを悪用してメモリ破損を引き起こさせ、SYSTEM 特権を獲得する可能性あり。 |
CVE-2023-21554 | Microsoft Message Queuing のリモートでコードが実行される脆弱性 | 緊急 | なし | なし | 悪用される可能性が高い | スコア : 9.8 攻撃経路:NW 条件複雑:低 必要特権 : なし ユーザー関与:不要 スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
CVSS高スコア。Windows機能として MSMQ (Microsoft メッセージ キュー サーバー)を有効にしている環境のみ対象。 攻撃者が特別に細工された悪意のある MSMQ パケットを MSMQ サーバーに送信することで、リモートでコードが実行される可能性あり。 |
CVE-2023-28250 | Windows Pragmatic General Multicast (PGM) のリモートでコードが実行される脆弱性 | 緊急 | なし | なし | 悪用される可能性は低い | スコア : 9.8 攻撃経路:NW 条件複雑:低 必要特権 : なし ユーザー関与:不要 スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
CVSS高スコア。Windows機能として MSMQ (Microsoft メッセージ キュー サーバー)を有効にしている環境のみ対象。 攻撃者が特別に細工された悪意のある MSMQ パケットを MSMQ サーバーに送信することで、リモートでコードが実行される可能性あり。 |
CVE-2023-43552 | オープン ソース Curl のリモートでコードが実行される脆弱性 | 重要 | あり | なし | -(MS外のため未評価) | スコア : 5.9 攻撃経路:NW 条件複雑:高 必要特権 : なし ユーザー関与:不要 スコープ:変更なし 機密性:なし 完全性:なし 可用性:高 |
一般公開あり。CURLのバージョン7.87.0で修正された。Windowsとしては4月CUに含まれている。 CURLがHTTPプロキシを介してほぼすべてのプロトコルをトンネリングできるが、HTTPプロキシにて特定のプロトコル(SMB/TELNET)のトンネリングが拒否された場合に、User-After-Free(メモリ解放後利用)ができてしまう可能性あり。 |
M365Apps 今月の献立
Channel | Build |
---|---|
Current | Version 2303 (Build 16227.20280) |
Monthly Enterprise | Version 2302 (Build 16130.20394) Version 2301 (Build 16026.20274) |
Semi-Annual Enterprise Preview | Version 2302 (Build 16130.20394) |
Semi-Annual Enterprise | Version 2208 (Build 15601.20626) Version 2202 (Build 14931.20964) |
Office Known Issues (2023/04/12 12:00 JST)
Apps | Issues | Status/WorkAround |
---|---|---|
PowerPoint | 32bitアプリでは秘密度ラベルの自動適用・推奨機能が利用できない。 | 32bitアプリでは当機能がサポートできていないため。対応中。 |
Outlook | 特定のクエリにて検索候補を使用して検索しても結果がない。 英語以外の言語にて影響が出ている可能性あり。 例:"宛先"を示す単語が検索候補側では実質的に無効な単語になっている |
修正を4月10日週にリリースする予定。 回避策 候補を使わずクエリを手動で検索する。英語に置き換える。レジストリ値(※)を利用する。 HKCU:\software\policies\Microsoft\office\16.0\outlook\search DisableServerAssistedSearch (REG_DWORD) Value: 1 #強制的にローカル検索が使用されるので、修正後に当レジストリ値の削除を推奨。 |
Outlook | 新規メール作成時に、[差出人]フィールドのドロップダウンを選択して別のアカウントに切り替えると、Outlookによって"サーバーからテンプレートを取得する"というメッセージが表示される。 バージョン2206以降で発生。 |
調査中 回避策:キャンセルを選択し、元の送信元アカウントの選択をする。もしくはバージョン2205(以下)に戻す。 |
Outlook | OWAが無効になっている環境で、Outlookアプリが予期せずブラウザーを開く可能性あり。 OPX(Outlook on the web Powered Experiences)コントロールが利用されている機能において発生する。 |
ExO側の修正をリリース済。(15.20.6292.00以降) |
Outlook | 会議出席者が、代理人によって変更された添付ファイルを含む会議の更新またはその一部を取得できない可能性あり。 | 調査中。共有予定表の機能強化を無効にすることで回避可能。(アカウント設定) |
Outlook | 共有予定表で終日イベントを拡張すると予期せぬ伸縮が起きる可能性あり。 | 調査中。共有予定表の機能強化を無効にすることで回避可能。(アカウント設定) |
Outlook | Outlook for Microsoft 365 において、スケジュールアシスタントには2023/1/5以降に空き時間のみが表示され、予定が表示されない可能性あり。 | 修正済。15.20.6163.000 #Exchangeの修正 |
Outlook | オンラインモードでメールボックスにアクセスし、メッセージの転送や分類、フラグを設定しようとすると"操作に失敗しました"というエラーが表示される場合あり。 | 回避策 キャッシュモードで利用するか、Web版を利用してね。 |