人工衛星の画像といえば,Google Mapなどのお昼の画像が一般的ですが,夜間の観測画像もあることを紹介したいと思います.
追加情報
夜間光(Night Light)のデータは以下のサイトよりダウンロードできます.
2012-2018 VIIRS Data
1992-2013 DMSP Data
1. 人工衛星による夜間光観測.
多くの方はご存じないと思いますが,人工衛星による夜間の都市や街の光の観測は長い歴史があります.
米国の気象庁である米国海洋大気庁(NOAA: National Ocean and Atmospheric Administration)が1992年から,軍事衛星でもあるDMSPの観測画像を公開しています.NOAAの人工衛星といえば,LANDSATが有名ですね.
参考:宇宙からみた宇宙の光
現在は,同じNOAAのVIIRS(Visible Infrared Imaging Radiometer Suite)が観測し,そのデータを公開しています.
2. 人工衛星による夜間光データ.
こちらのサイトより人工衛星の夜間光データを閲覧することができます.
雲がかかっていると夜間光がどうしてもぼやけてしまいますが,雲がないときは,都市の分布をみることができます.
例えば,日本は以下の夜間光分布となっています.
東京や大阪などの大都市の光が強いのはよく分かります.ただ,その分布は都市と地方でだいぶ偏りがあるのがわかります.
一方,隣国の韓国は,それほど光の分布に偏りがあるようにはみえません.北朝鮮は全体的に暗いですね.
これによって,その国の経済的な活発度(強さ)を見える化することが研究されています.
国に経済力の指標としてGDPが有名ですが,それはその国全体の数値であって,国内の経済力の分布はわかりません.
このサイトを見ると,どこの光が強くなっているのかが分かりますので,大きく発展している都市を見分けることができます.
ブラウザだけでなく,こののサイトからデータそのもののダウンロードもできます.
興味がありましたら,一度ご覧になってください.
私もここのデータをダウンロードし,PythonやRを使って,数値解析をしてみます.
3. 解析例(2018/11/4追記)
VIIRSのデータをダウンロードし,QGISで解析してみました.
夜間光による経済活動力を評価します.
VIIRSのデータをダウンロードし,QGISの"ラスタ" → "ラスタ計算機"にて,2時期のデータの差分にて評価します.
まず,2012年9月と2018年9月の東京の夜間光の差です.
黄色が夜間光量が上昇したエリア,紫が夜間光量が低下したエリアになります.
夜間光量の増減は,そのエリアの経済活性度と相関がある,とのレポートが複数あります.
渋谷,新宿,新橋などの主要駅周辺は夜間光が増えており,このあたりは経済的にもこの数年で賑わってきたのだと思います.
一方,上野のあたりは夜間光量が低下しています.
でも,全体的に光量は増加しています.日本経済も向上している,とのことなので,その傾向とも一致していますね.
次に,2017年9月と2018年9月の,この1年間での差分です.
先ほどと比べると,夜間光量の低下を示す紫色の地域が増えています.
渋谷の西側や,丸の内の南半分の低下が大きいです.東京駅周辺も紫色です.
渋谷周辺もいちじきよりも賑わいが落ちてきているのかもしれませんね.
私は渋谷にほとんどいかないので勘違いしているかもしれませんが,90年台のときのような”文化を創り出す街”というイメージが無くなってきています.
それにしても,東京ディズニーランドは,ずーっと夜間光が向上している.
はじめは,人気がつねに上昇しているのかな,と思いましたが,アトラクションが増えてるのが要因ですね.
自宅近郊をみると,夜間光とその近辺の賑わいの関係が,肌感覚でわかります.
なかなかおもしろい指標です.
ただ,相関をしるには,そのエリアの経済活性度を何らかの形で数値化する必要があります.
GDPは国レベルの数値なため,そのままでは使えませんし.
人口密度,店舗数,などとの相関をみるのもいいかもしれません.
数値データですので,統計解析をおこない,これから発展しそうな街・地域を予測してみるのも面白いかもしれません.
4. 関連サイト
無料で最新の衛星画像を入手する方法.
衛星画像のSegmentation(セグメンテーション)により建物地図を作成する.