こちらの記事は エンジニア採用 Advent Calendar 2021 の15日目の記事になります!
最近は技術広報の推進もしていまして、カケハシのアドベントカレンダーもやっております。
過去に自分の面接官としての気持ちから、候補者へ期待することをQiitaで書いていました。
今回は面接官として自分が行っていることをお伝えすることで、エンジニアの面接官としての準備の参考にして頂いたり、候補者の体験(Candidate Experience)向上に少しでも繋がればと思います。
ここに書かれている内容は会社として全体で行っていることというよりは、自分としてカスタマイズしている部分も多くあります。面接官次第では違った進め方がされることもあることをご了承ください。
面接官としての経歴
面接官としての経験はサイバーエージェントで4年、メルペイで1年半、カケハシでは1年を越えようとしています。
会社の状況によってアプローチの仕方が違いもあり、昨今エンジニア市場の変化も大きいため、様々な対応が必要になっておりまだまだ毎日学びも多いです!
今回書くことは特に正解といったわけではなく1つの事例ではありますが、ご参考になればと思います。
毎日学びを感じる毎日のため、様々な方からコメントを求めています。
こんな事例やプラクティスなどをコメントなどで教えて頂けると嬉しいと思っています!
前置きが長くなりましたが、これから面接官としてやっていることを書いていきたいと思います。
面接官の準備
エンジニアとして面接官をされる方も多いかと思いますが、面接官のスキルを高める情報をキャッチアップすることはなかなか難しいかと思います。準備って言われても何をすれば良いんだと思うこともあるかと思います。
私も面接官としての経験が浅いときには面接の時間だけ話をすればいいと思っていた時代がありました。
しかし、今では事前にどれだけ準備するかによって同じ1時間の面談や面接であっても、情報の質が全く変わることを実感しています。
1分の価値を高めるためにはまずは準備が必要です。
会社とチームを正しく伝えられるようになろう
会社(チーム)の魅力を整理しよう
自分の経験の中から例で技術的なアプローチ面での話をすると
サイバーエージェントではアドテクの大量データと低レイテンシーを技術で同事業に繋げて実装するか。
メルペイでは金融の中での1円でもずれると大変な事が起こる中でどうやって耐久性の高いシステムとマイクロサービスでの実装をするか。
カケハシではドメスティックな難しい設計とAI技術をどう組み合わせてプロダクトリリースをして、スタートアップの少ないリソースの中で顧客価値を最大化する実装方法と機能提供は何なのか。
などになります。
文化についてはどの会社もとても好きでしたが、それぞれの特色はあると感じます。
その他にチームや事業、働く人達などに関してもあるかと思います。
本当はそれぞれの会社での素晴らしい経験やもっと語りたいことがありますが、カジュアル面談の時間は限られているためこれ以上の例を出すことは止めておきます。
説明しやすい状態に整理をして、HiringManagerの中で共有が出来ているとベストかと思っています。
会社(チーム)の課題を整理しよう
課題がない会社などありません。課題はエンジニアの好物です。
課題をどのように倒すかがエンジニアとしての腕の見せ所です。
エンジニアの解決して欲しい課題を提示することで、この課題を倒すべきは自分だと思ってもらうことによってエンジニアに興味を持ってもらうことが出来ると思っています。
ストーリーとトークスクリプトを作ろう
説明にはストーリーがなければ説得力がありません。
課題は力を持っている人にとっては解決の力を振るえる面白さえもあります。
しかし、無条件に放置して発生した問題は会社の悪い状況を示しています。
むしろどんどんと課題を解決してきて進んだとしても存在する課題があるのです。
そこにはストーリーや過去に対処した優先順の理由があります。
過去・現在・未来をストーリー として語ります。
会社の状況のみを語ったり、カジュアルな会だから雑談だけして終わってしまうこともあるかと思います。
ここでいちばん重要なのは候補者に期待する未来なのです。
それを語るために過去と現在をつなげて話す必要があります。
- 過去:これまで達成してきたこと、他の優先したことによって解決できていない課題
- 現在:現在の市場、チーム状況、会社の開発の文化
- 未来:会社として目指したいユーザーに提供する価値、開発文化
人を採用するということは未来に達成しようとすること。
そして、未来に向かうために存在する課題を解決する人を探しています!
説明するための資料を作ろう
どのように語るかが定義できたのであれば、それをビジュアルでひと目で分かるようにしましょう。
候補者は前提知識なしに来るため、口頭だけでイメージを作ることは難しいです。
なにかの関係性、距離感、サイズ感、情報量が多いもの、など様々なものをビジュアルを見せることで理解できます。
また、口頭で語るときにも有用なツールとなります。
ビジュアルで表現するものは色々あります
- プロダクト紹介とプロダクト間の関係性
- 文化とチームの関係性
- 開発プロセス
- 選択している技術一覧
- 市場と会社でのアプローチ方法
- など
会社説明資料をそのまま使う事も出来ます。
ただ、トークスクリプトを話そうとしたときに違和感がある場合には会社説明資料のスライドは活用しつつ、カジュアル面談用の別のスライドを作っています。
候補者の日程が決まったら
候補者の未来を想像する
職務経歴書を読み込み、候補者の興味を理解して感じる必要があります。
会社の課題ばかりを語っても最後は候補者の興味を引きつけることが出来ません。
前項までに準備したストーリーと候補者の興味を達成するストーリーを作っています。
スキルアップかもしれないですし、ユーザーにより良い価値を届けることかもしれない。
スタイリッシュな開発プロセスを構築することかもしれませんし、ひたすら開発に集中できるかもしれません。
これについては候補者の人それぞれです。
職務経歴書を読み込むと書きましたが、会社によっては書類選考の前にカジュアル面談がある会社もあると思います。
その場合は非常に難しくなりますが、何の情報もなしに会うことは少ないと思うので、なるべく候補者の情報を集めて考えています。
一番は候補者に興味を持つことだと思います。
伝えることの整理
会社に存在する情報の全ては伝えられません。
カジュアル面談の資料やスクリプトの型はありますが、候補者の経歴や興味は千差万別です。
候補者にあった面談のシミュレーション が必要です。
無策で望む会議ほど何も決まらない会議はありません。
カジュアル面談でも面接でも同じです。相手を尊重し、相手の価値ある時間にするための準備をします!
カジュアル面談
カジュアル面談は基本は候補者の興味のあることを解像度を高めるための時間になります。
スカウトされて話を聞きに行ってみたら面接されたみたいなことが増えていると聞きました。
カジュアル面談の目的を間違えないようにしたいです。
候補者のカジュアル面談で聞きたいことの目的を聞いて期待を満たすことは候補者の体験向上になる考えています。
まずはあとの選考の事は考えずに、候補者の期待を叶えられるように一方的に話すのではなく質問をしています。
面接する企業側が強いという時代は終焉を迎えようとしています。
空前のエンジニア需要によって、優秀なエンジニアには選んでもらえる企業になっていく必要があります。
入ってもらったときにどんな魅力があるのかを十分に伝えれるように考えています。
一昔前に流行っている「弊社の希望した理由はなんですか?」という質問も間違った聞き方だと思います。
本当に優秀なエンジニアであればあなたの会社じゃなくてもいいんです。
自分と合う会社を探しています。Win-Winになれる会社を求めているのに、一方的にチェックされるような質問の仕方は間違いだと思っています。
「どんな会社に勤めたいと考えていますか?」と聞いてみて、フィットするかどうかを確かめるべきです。
文化がフィットするかどうかは良い悪いではありません。合う合わないがあるだけです。
会社という枠組みの中で志望動機を聞くのではなく、人生においてやりたいことや大事にしたい価値観を聞くべきと考えています。
候補者の思いとして存在することは、絶対この会社に入りたいという思いの場合や少なく、この転職で実現する自分のやりたいことがあるだけです。
それが実現できるのがこの会社であると信じているときには入りたいと思いますが、本当にやりたいことはそれより手前にあります。
1番大事なことは候補者が興味があることを伝えることです!
会社やチームは候補者の求めることの間にあるべきであり、ゴールではないのです。
候補者が求めることと会社が期待することがずれている場合は諦めるのが良いです。
前項でも書きましたが、期待がずれることはお互いに不幸だからです。
課題も伝えよう
カジュアル面談で課題を隠す必要はありません。
むしろ隠して入社してしまうことで本人と会社での期待値がずれてしまうとお互いにとって悲しい結果を迎えます。
準備のところでも書きましたが、エンジニアにとって課題は好物なのです。
その課題を倒すためのスキル高さなどには様々違いがありますが、候補者自身のチャレンジする気持ちと合致することが大事です。
カジュアル面談のときに必要なのはゴールビジョンとゴールまでの道です。
まずは想定するチームのポジションを想像するようにしています。
ポジションを想定しながら候補者と合致する部分について選考中にどのようにアトラクトするかの興味関心とその設計をしています。
面談中にこれらを設計し切るのは難しいです。
そのため、あとのふりかえりで設計を進められるための最低限の情報は引き出して、あとから考えるようにしています。
これらの情報こそが、候補者にとってもカジュアル面談で聞きたい情報の先にあるゴールになるはずです。
ここを正しく伝えることが出来ればWin-Winとなるはずです。
そのために沢山の準備をしてきたつもりです。
面接中
面接は基本は候補者の可能性を引き出す時間になります。
決して現在をチェックをするということだけではないです。
採用面接官も人を取りたいから時間を使って面接をしていて、候補者の方も興味があるからこそ面接をしてくれているので、決してチェックをして落とそうとしているわけではないと思います。
チェックという目線が多くなってしまいますが、あくまでマッチするかしないかだけを確認するだけ
スキルについては評価項目の一つでしか無いと思います。
もっとも重要な基準は一緒に働きたいと思えるか になると思います。
この中にはスキルも入っていますが、人間性やポテンシャルなど様々な要素が含まれます。
一緒に働くということに懸念を感じるのであれば採用を諦めることが必要だと考えています。
合わない人を採ることはお互いにとって不幸になります。
面接中のアトラクト
一緒にぜひ働きたいと思ったのであれば、最後までチェックばかりをする必要はありません。
面接中であっても積極的にアトラクトを検討します。
面接官が複数いる場合には候補者の準備の段階でアトラクトの可能性をすり合わせておきます。
最近はほとんどがオンライン面談のため、面接中でもチャット等でやりとりできるため、お互いに採用したいという判断になったときにアトラクトに切り替えることやオファーしたいということを直接伝えることも出来ます。
質問の仕方などの修正などもリアルタイムに行うことも出来ます。
採用することは確定していないが、アトラクトを進めたい場合には面接的に質問をしながら自社での活動を説明するのが良いです。
相手の考えを引き出しながら、自社の環境を説明する 比率を高めます。
通常の面接では相手を引き出すことに重きを置きますが、アトラクトのときには相手のことと自社のことの会話内容を5:5くらいまで上げていくことも検討します。
それと同時に 一緒に相手の将来像を描く ことが大切です。
十分なスキルや思考性がわかったのであれば、一緒に働きたい人との将来の関わり方が見えてくると思います。夢を語り合える関係が良いと考えています。
そのためには 相手のやりたいことを引き出す 必要があります。
モチベーションとは上げるものではなく、人間の中に存在するものを引き出せるかどうかだと思います。本来持ち合わせていないモチベーションは引き出すことは出来ません。
やりたいことを確認し、会社としての未来に繋がると確信できたならばアトラクト出来るのではないかと思っています。
最後になりますが、相手のスキルを見極める ことは非常に重要です。
現在の技術スキルはもちろんですが、ソフトスキル、思考性、日々の習慣こそやりたいことの結果の行動になると思います。
それらの情報から 相手の本来の出来る力を引き出す ことが出来るかによって、一緒に働いたときに楽しく働けるかが大きく変わると思います。
これらの観点を引き出すための質問をするには面接官としてのスキルを磨く必要があるかと思います。
また、スキルが不足している場合には準備に時間を掛けることで補うことが出来ると考えています。
面接後
面接が終わって評価するだけではありません。
毎回違う面接をしているはずです。
自分たちがもっと上手く出来たことを見つける事ができるかもしれません。
ふりかえろう
カジュアル面談の資料を更新するところはないか?
候補者から同じ質問が何度か来る場合には面談資料に情報を組み込み、次回より話すようにしています。
改善サイクル こそ、積み上げで確実に質を上げてくれます。
どんなものであっても改善のサイクルが回っているかを第1に考えたいと思っています。
アジャイル開発の中でも、この改善ループこそが最も大事なものの1つだと思っています。
現在のクオリティが課題なのではなく、クオリティ改善が単発になっていることが課題です。
サイクルが出来ており改善の更新され続けることが一番大切です。
自分も不器用なので効果的なものに辿り着くには少し時間が掛かりましたが、積み重ねた結果は過去の自分より確実に良くなり、それは持続しています。
改善をしていくことでさらなる候補者体験の向上を目指しましょう!
そうすることで、採用の確率もあげることができるはずです!
採用活動もアジャイルです!
まとめ
面接官としてやっていること
- 面接の準備をしっかりする
- カジュアル面談は候補者の興味のあることを伝える時間
- 面接は候補者の可能性を引き出す時間
- 面談や面接の後はふりかえりをして改善サイクルを作り、継続的な候補者体験向上を目指す
エンジニアとしてもっと活躍が出来るように良い転職が出来ることを祈っています
そのためにもエンジニアの面接官も技術スキルを磨くだけでなく面接スキルを磨くことを忘れずに鍛えていきたいと思います。
候補者となる方もよりカジュアル面談や面接が充実したものになるように、こちらの記事が参考になると嬉しいです。
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ありがとうございました!