これは デジクリ Advent Calendar 2025 22日目の記事です。デジクリは芝浦工業大学の創作サークルです。デジクリについて、詳しくは 芝浦工業大学 デジクリ をご覧ください。昨日は 22nd がらんさんの『Modの日本語化リソースパックを作る』でした。なお、本日は 18th 小どばとさんの『ケーキを五等分したい』も投稿されます。
Google ドキュメントやスプレッドシートを 1 秒で作り始める方法を知っていますか?
普通であれば、Google Chrome で新しいタブを開き、右上にある 9 つの点のアイコン1をクリックし、Googleのサービスの中から「ドキュメント」を選んで開きます。すると左上に「新しいドキュメント」というボタンが表示されるので、それをクリックして新しいドキュメントを作成します。通信速度にもよりますが、ここまでおよそ 10 秒程度でしょうか。
実はもっと簡単な方法があります。.new というトップレベルドメインが存在します。
ブラウザのアドレスバーに docs.new と入力すると、Google ドキュメントが作成された直後のまっさらな画面が開きます。sheets.new なら Google スプレッドシート、slides.new なら Google スライドが開きます。
この .new という TLD は、見る機会は少ないですが Google が管理している TLD の一つで、これを使うと作業を素早く始めることができるようになります。
TLD の自由化
1980 年代にインターネットにおけるドメインの仕組みが確立された当初、gTLD(汎用トップレベルドメイン;Generic Top-Level Domain)は .com、.edu、.gov、.int、.mil、.net、.org の 7 つしかありませんでした。
ドメインの仕組みを管理している ICANN が 2000 年、実験的に .biz や .info などを追加しましたが、それでも数は限られていました。
転機となったのは 2008 年の ICANN パリ会議で、新しい gTLD に関する方針が発表されました。その後 2011 年に新 gTLD プログラムが承認され、2012 年 1 月から申請の受付が始まりました。
ICANN の公式統計によれば、締め切りまでに約 1,930 件もの申請があったようです。
申請には 185,000 ドル(当時のレートで約 1,425 万円)の返金不可の手数料が必要で、さらに技術的・財務的な運営能力の証明も求められます。ちなみに次の申請ラウンドは 2026 年 4 月に開始予定で、手数料は 227,000 ドル(2025年12月のレートで約 3,541 万円)に値上がりするらしいです。
この新 gTLD プログラムで Google は多くの申請を行いました。Google が取得した TLD には .google や .youtube といった企業やサービス固有の gTLD のほか、.app、.dev、.page、そして今回紹介する .new などの一般に向けて解放された gTLD があります。
なお、gTLD は日本企業も取得しています。日立製作所の .hitachi や NTT の .ntt、ソニーの .sony などのほか、先日 NHK が取得した .nhk も話題になっていましたね。
.new ドメインの要件
.new ドメインの最大の特徴は、すべてのドメインが「アクション」に直接つながる必要があるという点にあります。
Google Registry の公式ページには以下のように書かれています。
All .new domain names must be used for action generation or online creation flows.
つまり、.new ドメインにアクセスしたユーザーは、トップページを経由せずに直接何かを作成・実行できる画面に遷移しなければなりません。
具体的な要件は以下のとおりです。
- ユーザーがドメインにアクセスしたら、追加のクリックなしでアクションフローに入る
- ログインが必要なサービスの場合、認証後すぐにアクションに遷移する
- 登録から 100 日以内に要件を満たすドメインを公開する必要がある
- HTTPS が必須(ブラウザの HSTS プリロードリストに登録されているため、HTTP では動作しない)
Google Registry はコンプライアンスを積極的に監視していて、違反した場合は警告、停止、返金なしの削除といった措置を取ると記載されています。
Google サービスにおける .new
.new ドメイン自体は 2014 年 8 月にルートゾーンへ委任されていましたが、すぐには公開されませんでした。Google がまず自社サービスで内部利用を始めたのは 2018 年 10 月 25 日だったようです。
Google Workspace のサービスには、複数のバリエーションが用意されています。
| サービス | URL | 別のショートカット |
|---|---|---|
| Google ドキュメント | docs.new | doc.new, document.new |
| Google スプレッドシート | sheets.new | sheet.new, spreadsheet.new |
| Google スライド | slides.new | slide.new, deck.new, presentation.new |
| Google フォーム | forms.new | form.new |
| Google Meet | meet.new | |
| Google カレンダー | cal.new | meeting.new |
| Google サイト | sites.new | site.new, website.new |
その他の .new
一般への公開が始まったのは 2019 年 10 月 29 日からです。
Google が管理している whats.new には「see all shortcuts」というリンクがあり、ここにずらっと URL が並んでいるのですが、実際のところはかなりリンク切れが多く、あまりメンテナンスはされていなそうです。
以下に私が調査した範囲で、よく知られたサービスの .new ドメインをまとめました。
| サービス | URL | 内容 |
|---|---|---|
| Adobe Acrobat | pdf.new | Adobe Acrobat PDF を作成・変換 |
| Notion | notion.new | Notion で新しいページを作成 |
| Spotify | playlist.new | Spotify で新しいプレイリストを作成 |
| Discord | discord.new | Discord で新しいサーバーを作成 |
| はてなブログ | entry.new | はてなブログで新しい記事を作成 |
| メルカリ | mercari.new | Mercari で新しい商品を出品 |
| Canva | design.new | Canva で新しいデザインを作成 |
| Figma | figma.new | Figma で新しいデザインファイルを作成 |
| GitHub | repo.new | GitHub で新しいリポジトリを作成 |
| GitHub | gist.new | GitHub で新しい Gist を作成 |
| CodeSandbox | react.new | CodeSandbox で新しい React プロジェクトを作成 |
| uuid.new | uuid.new | UUID を生成 |
| Tailwind Play | tailwind.new | Tailwind Play で新しいページを作成 |
| Bolt.new | bolt.new | v0のようにAIとの対話でアプリケーションの開発ができるサービス |
| Quizlet | quizlet.new | Quizlet で新しいセットを作成 |
| DASHLANE | password.new | パスワードを生成 |
Canva の熱の入れようがすごく、ざっと見ただけでも 30 以上のショートカットが登録されていました。
むすびにかえて
試しに Namecheap で .new ドメインの価格を調べてみたところ、$488.98/year (約 77,000 円) でした。個人で購入するのは現実的ではないため、基本的には企業やサービス提供者向けのドメインでしょう。
スライド作成で slides.new を使ったり、スプレッドシートの作成で sheets.new を使ったりするだけで、ブックマークやトップページを経由する手間が省けて非常に便利です。使ったことがないという方は、ぜひ試してみてください。
明日は 22nd kazu_iroiro さんの『うわぁ!!寝過ごした!!!!!』と、 22nd 五月病さんの『寝過ごしたら沼津だった件。』です。お楽しみに!
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余談ですが、このアイコンには弁当メニュー (Bento Menu) という名称がついています ↩