本記事は サムザップ Advent Calendar 2025 の13日目の記事です。
はじめに
この記事では暗号資産の発行方法と、その流通方法に関する概要を説明します。
暗号資産の発行と市場への流通を検討しているが、何をどうすればいいのかよく分からない、といった壁にぶつかっている方に少しでもお役に立てれば幸いです。
注意点
- この記事内容と株式会社サムザップに関連性は全く無く、あくまで個人の知見のご紹介に留まります。
- 発行後の暗号資産の取り扱い方によっては、様々な法律に抵触する可能性がございます。実際に何かのサービス等で使用される場合は法律の専門家にご相談のうえ、くれぐれも取り扱いにご注意下さい。
- 暗号資産の発行を推奨するようなものではなく、あくまで知見のご紹介となります。
1. 発行方法
前提
今回は独自のブロックチェーンを新たに構築して暗号資産を発行するのではなく、
現在最も事例の多い
- EVM互換のブロックチェーン上に発行
- 規格はERC-20
を対象とします。
1.1 発行手順
- 暗号資産のスマートコントラクトの準備
- そのスマートコントラクトをブロックチェーン上にデプロイ
- 暗号資産発行トランザクションを実行
1.2 暗号資産のスマートコントラクトの準備
暗号資産を発行するスマートコントラクトの実装が必要となります。
ただ、この種のコントラクトはOpenZeppelinなどのOSSライブラリで公開されており、それらを使用するケースが多いかと思います。
1.3 暗号資産発行トランザクションを実行
- スマートコントラクトをデプロイするトランザクションで、同時に発行処理を行う
- デプロイ後に新たにトランザクションを実行し、発行処理を行う
上記2パターンの方法が存在しますが、前者のデプロイと同時に発行するほうが一般的なようです。
前項で紹介しているOpenZeppelinのERC20.solもこの方式です。外部から呼べるmint()関数は含まれておらず、追加発行が必要な場合は開発者が自分で実装する必要があります。
1.4 実例:USDT
例として、ステーブルコインとして有名なUSDTを見てみましょう。
以下アドレスがUSDTのコントラクトアドレスです。
0xdAC17F958D2ee523a2206206994597C13D831ec7
Etherscanで情報を見てみます。
「Transactions」タブに「View Contract Creation」というフィルターがあります。

このトランザクション詳細にあるTimestamp、
Nov-28-2017 12:41:21 AM UTC
が、USDTコントラクトがデプロイされた日時になります。
また、「Contract」タブ内、「Constructor Arguments」で以下情報を確認することができます。
-----Decoded View---------------
Arg [0] : _initialSupply (uint256): 100000000000
Arg [1] : _name (string): Tether USD
Arg [2] : _symbol (string): USDT
Arg [3] : _decimals (uint256): 6
コンストラクタのコードは以下のように書かれています。
function TetherToken(uint _initialSupply, string _name, string _symbol, uint _decimals) public {
_totalSupply = _initialSupply;
name = _name;
symbol = _symbol;
decimals = _decimals;
balances[owner] = _initialSupply;
deprecated = false;
}
つまり、USDTはコントラクトのデプロイ時に100,000枚が発行されていることとなります。
2. 流通方法
発行した暗号資産の流通方法として、ここではCEXとDEXを介した方法について触れます。
2.1 CEX(中央集権取引所)
CoinCheck、Binanceなど、企業が管理者として運営する取引所がCEXにあたります。
日本企業も含めて、様々な国の企業がCEXを運営しています。
国やCEXによって上場プロセスが異なってくると思いますので、以下の説明はあくまで事例の一つとして解釈いただけますと幸いです。
上場プロセス
- CEX担当者とのコネクション構築
- 上場させたい暗号資産に関する説明
- デューデリジェンス
- 審査 → 上場認可
- 上場、取引開始
CEXが取り扱う暗号資産の”質”は、そのままCEX自体の信頼性に直結します。
CEXの信頼性は強固なセキュリティや法令遵守と同様に「信頼できる暗号資産のみを取り扱っているかどうか」が大きく影響します。
- その暗号資産が不適切な用途で使用される可能性は無いか?
- その暗号資産が活発に取引されるような将来性を持っているか?
- 発行元の会社/組織/個人が過去にどんな実績を持っているのか?
- 発行元がどんなプロモーション手段やコミュニティを持っているのか?
- 技術的な安全性に問題が無いか?
- 法的なリスクを抱えていないか?
上記のような内容に関する厳しい審査を通貨した暗号資産だけが、CEXに上場できることとなります。
国や自主規制団体の審査が必要となるケースもあります。
2.2. DEX(分散型取引所)
Uniswap、PancakeSwapなど、CEXのように企業が代表して管理を行っておらず、スマートコントラクトによる自動手続きにより運営されます。
CEXのような審査は必要無く、誰でもいつでもリスティング(=流動性プール作成)させることが出来ます。
リスティングプロセス
- 取引ペアとなる暗号資産の準備
- 各DEXのインターフェースを操作し、流動性を提供
- リスティング完了、取引開始
リスティングさせる暗号資産だけでなく、取引出来る暗号資産を別途準備する必要があります。Ethereumチェーン上であればETH、USDT、USDCがよく選ばれます。
Uniswapの例
- 新規暗号資産 XXX:n枚を用意、USDT:m枚を用意
- XXXとUSDTをMETAMASK等Uniswapに接続可能なウォレットに送金
- 上記ウォレットをUniswapに接続
- 「プール > ポジションを作成」から流動性を提供
まとめ
暗号資産の発行自体は簡単に行うことが可能です。これまでも数え切れないほどの種類が世界中で発行されてきています。しかし、長期的に使用されている暗号資産はほんの一握り。
2025年はついに日本初の円建てステーブルコインであるJPYCが認可されました。これに続けとばかりに、国内大手金融機関がステーブルコイン事業参入を表明しています。
今後ブロックチェーン市場がどのように発展していくのか、暗号資産がどのような社会的意義を持つようになるのか、円建てステーブルコインは日本人のライフスタイルにどのような影響を与えるのか、引き続き注目していきたいと思います。
