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awesome-kiro 経由で見る Kiro エコシステムの現在地

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サマリ

  • 2026/4 頃に公開された kirodotdev-labs/awesome-kiro(コミュニティキュレーション awesome-list)は、Kiro エコシステムの現在地を俯瞰するのに最適な一次ソース
  • 本記事は awesome-kiro の 7 カテゴリから、採用判断の 4 軸 で 20+ プロジェクトを整理する:
    • 公式 vs コミュニティ: awslabs/*aws-samples/sample-* を優先すべき場面と、コミュニティ発も含めて広く候補化する場面
    • 規制業界での採用候補: データレジデンシー要件下でも併用できる、ローカル実行・オフラインで動く資産
    • CI/CD 統合: GitHub Actions などで Kiro CLI を走らせる実装パターン
    • 組織標準配布: skills / steering / hooks / agent config を組織横断で配る仕組み
  • シリーズ 3 本目「Kiro のエコシステムを整理する」から約 6 ヶ月、エコシステムは「公式サンプル拡充 + CLI 周辺ツール成熟 + マルチエージェント実装 + Skills/Hooks の共有」という 4 方向に展開してきた

シリーズ掲載先の変更について

本シリーズは当初 Zenn で #1-#8 を公開してきたが、Zenn の 1 日あたり公開上限に達した後、ロジックが非公開で制限解除の目処も不明だったため、#9 以降は Qiita に掲載先を変更している。シリーズの連続性を保つため、本記事末尾の「筆者の関連記事」で Zenn 掲載分(#1-#8)と Qiita 掲載分(#9, #10)の両方を参照する。

はじめに — シリーズ #3 の 6 ヶ月後アップデート

シリーズ 3 本目「Kiro のエコシステムを整理する」を公開したのは 2025/11(執筆時点で約 6 ヶ月前)。当時は Kiro CLI が一般提供を開始した直後で、周辺ツールはまだ出揃っていなかった。

2026/5 現在、状況は大きく変わった。2026/4 頃に公開された kirodotdev-labs/awesome-kiro は、Kiro エコシステムの現状を俯瞰する一次ソースとして機能している。本記事は、このリポジトリを起点に現在地を整理する。

本記事の読者想定:

  • シリーズ #3以降の Kiro 周辺ツール動向をキャッチアップしたい
  • Custom Agent / Skills / Hooks / Steering の実装例を探している
  • AWS 公式サンプルと個人開発ツールの使い分け軸を知りたい
  • 規制業界・CI/CD 統合・組織標準配布のそれぞれで採用候補を絞りたい

本記事は以下の流れで進める。

  1. awesome-kiro とは何か、読み解き方の注意
  2. Workflows and Methodology(AI-DLC / BMAD)
  3. CLI Tools and GitHub Actions
  4. Agent Orchestration
  5. Skills, Steering and Hooks
  6. Built with Kiro(実アプリケーション事例)
  7. 採用観点での整理
  8. シリーズ 10 本完結と今後の展望

1. awesome-kiro とは何か

1.1 リポジトリの位置づけ

kirodotdev-labs/awesome-kiroコミュニティキュレーション形式の awesome-list。リポジトリ自身の説明によれば:

Tools, agents, and resources for Kiro — agentic AI development from prototype to production.

7 つのカテゴリ(Official / Workflows and Methodology / CLI Tools and GitHub Actions / Agent Orchestration / Skills, Steering and Hooks / Built with Kiro / Community)に、2026/5 時点で 25+ 件のプロジェクトが掲載されている。

1.2 読み解き方の注意 — 公式ではない

リポジトリ冒頭に明記された DISCLAIMER は重要。

This list is community-curated. Projects are not built, endorsed, or maintained by Amazon or AWS unless noted, and inclusion is not an endorsement.

つまり、このリストに載っていても:

  • Amazon / AWS による公式サポート・品質保証はない(明示的に公式と記載がある場合を除く)
  • 掲載 ≠ エンドースメント
  • プロジェクトの現状(活発なメンテナンス、セキュリティ、ライセンス)は個別に確認が必要

公式プロジェクトコミュニティプロジェクトは Organization 名で判別できる:

  • AWS 公式系: awslabs/*(AWS Labs)、aws-samples/sample-*(AWS Samples、学習向けサンプル)
  • Kiro 公式: kirodotdev/*(Kiro IDE 本体、Powers、Spirit of Kiro)
  • コミュニティ発: 個人・組織の GitHub アカウント

1.3 カテゴリ構造

カテゴリ 内容 2026/5 時点の代表例
Official Kiro 本体 / 公式拡張 Kiro, Kiro CLI, Powers, Spirit of Kiro
Workflows and Methodology 開発手法・ワークフロー AI-DLC Workflows, kiro-bmad-setup
CLI Tools and GitHub Actions CLI ツール・CI 統合 kiro-generator, KiroGraph, setup-kiro-action, PARK, Kiro Settings Manager, kiro-cli-history
Agent Orchestration マルチエージェント実行 cli-agent-orchestrator, sample-kiro-cli-multiagent-development, kiro-team, ralph-orchestrator
Skills, Steering and Hooks 再利用可能な資産 kiro-steering-docs, kiro-adr-skill, sample-kiro-harness-hive
Built with Kiro Kiro で作られたアプリ Kiro Steering Studio, PCS Kiro Agent, Target Identification Agent
Community コミュニティ活動 Awesome Kiro Hackathon, Kiro Discord

以下、Official は既存シリーズで扱っているため、残り 6 カテゴリから注目プロジェクトを紹介する。

2. Workflows and Methodology

読む目的: CCoE や組織標準化を志向する読者向け。AI コーディングをどう開発ライフサイクルに組み込むか、既存 SDLC(SAFe / Scrum / Spiral)との接続点を探るヒントが得られる。個別エンジニアの生産性より 組織全体の AI 導入プロセス設計 に関心がある場合に効く。

2.1 AI-DLC Workflows(awslabs/aidlc-workflows

AWS 公式 (AWS Labs) の AI Development Lifecycle リファレンスワークフロー

  • AI 開発の一般的なフェーズ(要件定義 / 設計 / 実装 / テスト / デプロイ)を Kiro ワークフローとしてテンプレート化
  • AWS 公式の見解として「AI コーディングツールをどう開発ライフサイクルに組み込むか」を提示
  • 大企業が CCoE で AI 導入プロセスを設計する際の出発点になる

採用観点: 組織標準ワークフローのベースラインとして参考にする。そのまま採用するより、組織の既存 SDLC(SAFe / Scrum / Spiral 等)に適合させて使う。

2.2 kiro-bmad-setup(bonarjs/kiro-bmad-setup

BMAD methodology を Kiro プロジェクトに展開する CLI ツール。BMAD は Business Model Agility Development の略で、ビジネス要件と技術実装を架橋する手法。

採用観点: 要件 → 仕様 → 実装の一貫したフローを作りたい場合の選択肢の 1 つ。methodology 自体の採用判断が先に必要。

3. CLI Tools and GitHub Actions

読む目的: 日常の開発者体験を上げたい、または CI/CD パイプラインで Kiro CLI を走らせる運用を検討している読者向け。半年で最も成熟したカテゴリで、「今日から入れて効く」ツール が集中している。規制業界ではクラウド依存なし(KiroGraph)の選択肢も登場した。

特に採用検討に値する 5 本を紹介する。

3.1 setup-kiro-action(clouatre-labs/setup-kiro-action

GitHub Actions で Kiro CLI をインストール・キャッシュする公式スタイルの action

- uses: clouatre-labs/setup-kiro-action@v1
  with:
    version: latest
- run: kiro-cli --agent soc2-compliance --prompt "Generate SOC 2 evidence"

採用観点: CI/CD パイプラインで Kiro CLI を使う場合の標準ツール。シリーズ #5「規制業界での Kiro 運用」で論じた監査証跡の自動収集を CI 側で実行する設計と相性が良い。ビルドキャッシュ対応でランタイムを短縮できる。

3.2 KiroGraph(davide-desio-eleva/kirograph

tree-sitter ベースのセマンティックコード知識グラフ + MCP ツール + 100% ローカル実行

特徴:

  • tree-sitter でコードを AST レベルで解析、シンボル・呼び出しグラフを索引化
  • MCP ツールとして Kiro CLI に統合、instant symbol lookups / call-graph traversal が可能
  • オプションでベクトル検索
  • 全処理がローカルで完結、データが外に出ない

採用観点: シリーズ #7「規制業界のデータレジデンシー要件下で AI エージェントの推論を日本国内に閉じる」で論じた規制業界のデータレジデンシー要件と親和性が非常に高い。コード解析のためにクラウドへコードを送る必要がなく、コードは手元、推論は JP CRIS という構成が取れる。金融・医療・公共のコードベース解析で有力候補。

3.3 Kiro Settings Manager(staneslevski/Kiro-Settings-Manager

Python CLI で skills / steering / hooks のバンドルを管理

シリーズ #4「dotkiro で Kiro の組織標準を配布する」で提示した配布メカニズムを、より軽量なアプローチで実装したもの。

採用観点: 組織規模が小さい、または dotkiro ほどの複雑性が不要な場合の選択肢。dotkiro と本ツールの差分は:

観点 dotkiro Kiro Settings Manager
実装 独自仕様 Python CLI、バンドル単位
スコープ 組織標準全体(Enterprise) skills / steering / hooks の資産管理
採用規模 中〜大規模組織 小〜中規模チーム、個人

3.4 PARK(13shivam/park

Electron アプリで複数の Kiro CLI セッションを並列実行

  • 複数の Custom Agent を同時に立ち上げて、それぞれ別のタスクを実行
  • GUI で各セッションの状態を監視

採用観点: Multi-agent / multi-task ワークフローを視覚的に管理したい開発者向け。CLI のみでは難しい「タスク A は SOC 2 エージェント、タスク B はコードレビュー」を並列で回すユースケース。

3.5 kiro-cli-history(prabhugr/kiro-cli-history

Kiro CLI のセッション履歴を Terminal UI で fuzzy search / ブラウジング / resume

シリーズ #2「kiro-cli-history で過去セッションを再開する」で既に詳しく紹介済み。awesome-kiro の Latest Additions にリストされており、エコシステムで認知されている証拠。

採用観点: Kiro CLI を日常的に使う開発者は導入推奨。特に長時間のタスクや試行錯誤を伴う作業で「過去のセッションに戻りたい」場面は多い。

3.6 その他の CLI ツール

  • kiro-generatorkiro-generator/kiro-generator): Rust CLI で TOML 継承を使った agent config 管理
  • kiro-project-templateBinarySword/kiro-project-template): npx スキャフォルダ、13 stack プリセット対応

これらは具体的な好みの問題(Rust vs Python、TOML vs JSON、テンプレート vs 手書き)で選べばよい。

4. Agent Orchestration

読む目的: 複数エージェントを並列・協調実行する運用を検討している読者向け。1 人 1 エージェントの限界(長時間タスク、ロール分担、コンテキスト切替)を超えて、チーム型 / パイプライン型の AI 開発 を組み立てたい場合に効く。awesome-kiro には半年で 4 実装が揃い、アプローチの違い(公式 vs サンプル、Worktree 分離、Rust 実装)を比較できる状態になった。

4.1 cli-agent-orchestrator(awslabs/cli-agent-orchestrator

AWS Labs 公式のマルチプロバイダーエージェントオーケストレーター。Kiro CLI をデフォルトバックエンドとする。

特徴: マルチプロバイダー(Kiro CLI 以外のエージェントも切替可能)、公式サポート品質。

採用観点: 複数 AI ツールを統合管理したい大規模組織向け。AWS 公式なのでエンタープライズ導入での説得材料として使える。

4.2 sample-kiro-cli-multiagent-development(aws-samples/sample-kiro-cli-multiagent-development

AWS Samples の 5-agent development workflow。具体的な 5 つのエージェント役割(例: アーキテクト / 実装者 / レビュアー / テスター / ドキュメンター)を提示。

採用観点: マルチエージェントの具体的役割分担を設計する際のリファレンス実装。そのままコピーせず、自組織の開発プロセスにあわせてカスタマイズする。

4.3 kiro-team(requix/kiro-team

worktree isolation による並列開発パターン。Git worktree を使ってエージェントごとに作業ディレクトリを分離し、干渉なく並列で進行させる。

採用観点: 1 人の開発者が複数タスクを並列で進める場合、または人間 + エージェントの協業で競合を避けたい場合。

4.4 ralph-orchestrator(mikeyobrien/ralph-orchestrator

Rust 実装のマルチエージェントオーケストレーター。Kiro CLI 含む複数エージェントバックエンド対応。

採用観点: Rust 使いの開発者、またはパフォーマンス重視の環境向け。

5. Skills, Steering and Hooks

読む目的: 再利用資産の共有・ライセンス面を重視する読者向け。skill / steering / hooks は 組織横断で配布できるソフトな標準 として機能する。Apache 2.0 のような明示的 OSS ライセンスがついたものは、エンタープライズ導入の法務ハードルが低く、組織標準として配布する候補 になる。

シリーズ #3「Kiro のエコシステムを整理する」で論じた Kiro の「再利用可能な資産」レイヤーも成熟してきた。

5.1 kiro-adr-skill(johndiv/kiro-adr-skill

ADR(Architecture Decision Record)生成 skill。自動採番、trade-off 分析、再利用可能テンプレート対応。2026/4/29 から Apache 2.0 ライセンス

採用観点: Apache 2.0 は商用利用・改変可で、エンタープライズ導入の法務ハードルが低い。ADR 文化を持つ組織なら即導入候補。

5.2 kiro-steering-docs(mikeartee/kiro-steering-docs

コミュニティによる再利用可能 steering documents の集合。カテゴリ別に整理された steering doc のサンプル集で、自組織の steering を作る出発点にできる。

採用観点: steering doc を書き始める前の「他の人はどう書いているか」を参考にする用途。直接コピーではなく、自組織コンテキストで改変して使う。

5.3 sample-kiro-harness-hive(aws-samples/sample-kiro-harness-hive

AWS Samples のマルチエージェント harness 生成 skill。plan-execute-evaluate ループを自動構築する。

採用観点: 複雑なマルチステップタスクを「計画 → 実行 → 評価 → 再計画」ループで回したい場合のテンプレート。Kiro Powers との組み合わせで強力。

5.4 sample-kiro-cli-prompts-for-product-teams(aws-samples/sample-kiro-cli-prompts-for-product-teams

AWS Samples のプロダクトマネジメント向け agent toolkit。discovery から prototyping までの PM workflow を対象。

採用観点: 開発者以外のロール(PM、デザイナー、テクニカルライター)が Kiro CLI を使う際の出発点。エンジニアリング中心のサンプルが多いなかで貴重。

6. Built with Kiro

読む目的: Kiro がどう実アプリに使われているかを具体例で知りたい読者向け。自組織のドメインに近い適用例から 実装パターンの再利用 を狙える。ここでは Nova Sonic(音声)、HPC(PCS)、製薬(drug discovery)など 領域特化のリファレンス実装 が並ぶ。Kiro specs + Strands SDK の組合せ、Agent Lattice framework の適用など、次に自分たちが作る物のヒント が得られるカテゴリ。

6.1 sample-kiro-steering-studio(aws-samples/sample-kiro-steering-studio

Amazon Nova Sonic(音声モデル)を使った voice-powered steering ファイル生成ツール。話しかけると steering doc が生成される。

採用観点: ユニークな実装で、「steering を書く」という作業を音声化することのプロダクティビティ向上を試せる。アクセシビリティ観点でも興味深い。

6.2 sample-pcs-kiro-agent(aws-samples/sample-pcs-kiro-agent

AWS Parallel Computing Service(HPC クラスタ管理)向け Kiro CLI agent。HPC / 科学計算領域で Kiro を使う先駆け例。

採用観点: HPC / scientific computing ドメインでの Kiro 適用の可能性を示す。多くのエンタープライズには直接関係しないが、領域特化エージェントのパターンとして参考になる。

6.3 sample-target-identification-agent-using-kiro(aws-samples/sample-target-identification-agent-using-kiro

製薬業界の drug discovery プラットフォーム。Kiro specs + Strands SDK を使用。

採用観点: 製薬・バイオインフォマティクスなど規制の厳しい業界で Kiro spec driven をどう適用するかのリファレンス。Strands SDK との統合例として AWS 側のエージェントフレームワーク理解にも使える。

6.4 sample-spec-driven-presentation-maker(aws-samples/sample-spec-driven-presentation-maker

Kiro skill → web app の 4-layer architecture でプレゼン資料を生成。Kiro の spec-driven development を具体的な成果物(プレゼン)に結びつける。

採用観点: プレゼン自動生成 SaaS / 社内ツール構築の参考実装。

6.5 sample-e2e-product-development-with-kiro(aws-samples/sample-e2e-product-development-with-kiro

Agent Lattice framework を使った design-thinking workflow を Kiro 内で実行。E2E のプロダクト開発プロセスを agent chain で回す。

採用観点: プロダクト開発全体の自動化を視野に入れた実装例。完全自動ではなく、人間とのハンドオフを意識した設計。

7. 採用観点での整理

7.1 AWS 公式サンプル vs コミュニティ発の使い分け

用途 推奨
エンタープライズ導入での説得材料 AWS 公式系(awslabs/*, aws-samples/*)優先
即時活用できる個人・小規模チーム向け コミュニティ発も含めて評価
本番運用 ライセンス・メンテナンス状況・セキュリティを必ず個別確認
学習・PoC AWS Samples から始めるのが無難

7.2 規制業界での採用候補(#7 補足)

シリーズ #7「規制業界のデータレジデンシー要件下で AI エージェントの推論を日本国内に閉じる」で論じた規制業界フィルター下で、併用できる awesome-kiro プロジェクト:

  • KiroGraph(ローカル実行、データ国外に出ない): コード解析で特に有用
  • AI-DLC Workflows: 開発ライフサイクルの標準化で CCoE の整備に役立つ
  • sample-target-identification-agent-using-kiro: 製薬・医療領域の規制業界向けリファレンス

規制業界では Kiro CLI 本体は使えない(#7 論点)が、開発ワークフロー・スキル資産は参考にできる。Claude Code on AWS 側に転写する形で利用する。

7.3 CI/CD 統合

  • setup-kiro-action: GitHub Actions での Kiro CLI 起動
  • sample-kiro-harness-hive: CI でマルチステップタスクを回す

シリーズ #5「規制業界での Kiro 運用」で提示した CI/CD 証跡収集を、より具体的に setup-kiro-action で実装できる。

7.4 組織標準配布

組織規模・運用文化に応じて選択。小規模は Kiro Settings Manager、中〜大規模は dotkiro、Rust 文化組織は kiro-generator。

8. シリーズ 10 本完結と今後の展望

本記事はシリーズ 10 本目。2025/10 頃の開始から約 7 ヶ月、以下の流れで Kiro × Claude Code × 規制業界 × エコシステムの設計論を構築してきた。

# タイトル キーワード プラットフォーム
#1 /quick-spec 標準リファレンス構成 書く Zenn
#2 kiro-cli-history セッション再開 個人ツール Zenn
#3 Kiro エコシステムを整理する 俯瞰 Zenn
#4 dotkiro で組織標準を配布する 配る Zenn
#5 規制業界での Kiro 運用 証明する Zenn
#6 Eclipse 利用企業の Q Developer EOS と移行パス 選ぶ Zenn
#7 規制業界 × JP CRIS × Claude Code 閉じる Zenn
#8 Claude Opus 4.7 への移行で 400 エラーを避ける 移行する Zenn
#9 SOC 2 × Kiro CLI Custom Agent 自動化する Qiita
#10 awesome-kiro 経由で見る現在地(本記事) 俯瞰 v2 Qiita

8.1 10 本を貫く設計論

  • 上位(ガバナンス): CCoE 運用モデル、組織標準、監査証跡の基本構造 → ツール非依存
  • 中位(設計パターン): 組織標準の配布、開発者体験、セキュリティ境界 → 抽象化可能
  • 下位(ツール固有): 設定ファイル、inference profile、エージェント config → ツール依存

Kiro と Claude Code on AWS は「下位レイヤー」では大きく異なるが、「上位レイヤー」のガバナンス要件は共通する。役割分担で設計するのが実務解であり、1 つのツールにすべてを委ねる必要はない。

8.2 次フェーズの予告 — awesome-kiro 個別プロジェクトの深掘り・実機検証シリーズ

本記事でピックアップした 20+ プロジェクトは、俯瞰レベルでの紹介に留まる。次フェーズでは、シリーズ #2「kiro-cli-history で過去セッションを再開する」のスタイルに倣い、1 本 1 プロジェクトを深掘りする個別記事 を積み重ねていく。単なる紹介ではなく、実機インストール → 設定 → 典型ユースケース → 制約・課題 → 他ツールとの比較 まで踏み込む。

具体的な候補:

候補プロジェクト 深掘り観点 本記事での該当章
KiroGraph tree-sitter + MCP + 100% ローカル実行。規制業界・オフライン環境での採用可否を実機で検証 §3.2
setup-kiro-action GitHub Actions 統合。CI/CD での証跡収集、monorepo でのキャッシュ戦略を試す §3.1
cli-agent-orchestrator AWS Labs 公式、マルチプロバイダー。実機で他 AI ツール(Claude Code / Amazon Q / ChatGPT CLI)と並列実行させる §4.1
Kiro Settings Manager Python CLI で skills / steering / hooks をバンドル管理。シリーズ #4「dotkiro で Kiro の組織標準を配布する」の軽量代替としてどこまで使えるか比較 §3.3
kiro-adr-skill Apache 2.0 ライセンス、ADR 生成自動化。他の skill 系(awslabs/* 公式 skill)との使い分けで検証 §5.1
sample-kiro-harness-hive plan-execute-evaluate ループの自動構築。マルチステップタスクの実行品質を既存手法と比較 §5.3

これらと並行して、以下も継続テーマとして追いかける。

  • dotclaudecode 構想: Claude Code 側の組織標準配布メカニズム(シリーズ #7「規制業界のデータレジデンシー要件下で AI エージェントの推論を日本国内に閉じる」で予告、Kiro 側 dotkiro の Claude Code 対応版)
  • Multi-agent orchestration 実装比較: awesome-kiro の 4 実装(cli-agent-orchestrator / sample-kiro-cli-multiagent-development / kiro-team / ralph-orchestrator)を実機で走らせ、レイテンシ・実装難易度・運用性で比較する
  • AWS 公式サンプル詳細レビュー: aws-samples の Kiro 関連 7+ 本(Nova Sonic / PCS / Target Identification / Agent Lattice 等)を順次、実装レベルで深掘り

awesome-kiro 自体は今後も拡充される見込み。定期的に観測して、エコシステムの動きを追うのが AI 時代の技術スタック選定の習慣として効いてくる。

awesome-kiro を定期観測する

awesome-kiro は community-curated なので、新規プロジェクトが日々追加される。月 1 回程度のチェックを習慣化すると、自組織で採用候補になる新しいツール・skill を逃さずに把握できる。Kiro Changelog と併せて観測すると、Kiro 本体の機能追加とエコシステム拡充の両方を追える。

まとめ

本記事の論点を 5 点で再確認する。

  1. awesome-kiro は Kiro エコシステムの現在地を俯瞰するのに最適な一次ソース。7 カテゴリ・25+ プロジェクトが掲載されている
  2. 公式 vs コミュニティ: aws-samples/sample-*awslabs/* は公式サンプル、それ以外は個別評価が必要。DISCLAIMER を踏まえて採用判断する
  3. CLI 周辺の成熟: setup-kiro-action、KiroGraph、Kiro Settings Manager など、実務で効くツールが揃ってきた。特に KiroGraph のローカル実行は規制業界との親和性が高い
  4. マルチエージェント: cli-agent-orchestrator(AWS 公式)、sample-kiro-cli-multiagent-development(AWS Samples)、kiro-team、ralph-orchestrator の 4 実装が並び、選択肢が広がった
  5. AWS 公式サンプルの領域拡大: Nova Sonic 音声、HPC(PCS)、製薬(drug discovery)など、領域特化のリファレンス実装が出てきた。自社ドメインに近いものを学習素材にできる

シリーズ 10 本の到達点として、Kiro × Claude Code × 規制業界 × エコシステムの設計軸を一通り提示できた。次フェーズは、本記事でピックアップした 20+ プロジェクトから 個別深掘り・実機検証シリーズ として継続する予定(§8.2 候補リスト参照)。dotclaudecode 構想、multi-agent 実装比較、AWS 公式サンプル詳細レビューも並行テーマとして引き続き。

参考リンク

公式情報

筆者の関連記事(シリーズ全 10 本)

Zenn 掲載分(#1-#8):

Qiita 掲載分(#9-):

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