先日投稿した記事がそこそこアクセスが良かったため、少々掘り下げて説明したいと思います。
ブロックチェーンの次の活用方法として注目される、「本人を証明すること」とはどういうことでしょうか?
それは**『公認された「過去の自分」しか知り得ない手段を用いて「現在の自分」を保証する』**ことです。以下の2つの条件を満たす場合に本人であると言えます。
- 署名者が過去に公証を受けていること
- 署名者が現在の自分を保証していること
1)署名者が過去に公証を受けていること
ここで言う「公証を受ける」とは信頼できる組織から認証されることもあれば、自分で公表した内容をブロックチェーンを用いて公証を受ける方法も考えられます。自分の作った作品でアポスティーユを行ったり、ネームスペースを取得するなどの行為がそれに当たります。
2)署名者が現在の自分を保証していること
できれば、前者の条件だけで本人確認を行いたいものです。ですが、そこには少し穴があります。パブリックなブロックチェーンは誰でも閲覧可能なため、「過去に公証を受けた情報を知っている」というだけでは不足しており、「それ、俺のアカウント」と誰でも言うことが出来てしまうのです。そのため、ブロックチェーンを用いた本人の証明では必ず「その秘密鍵を持っているのはほかならぬ私です」という手続きが必要になります。
その証明には、(私も長い間誤解していましたが)とくにトークンを投げる必要はありません。証拠を見せろと言ってくるサービスが提示するPIN番号や自分が保証したいアカウントIDなどをメッセージとして署名すれば、だれでもあなたの公開鍵で署名が検証できます。
はい、ここで注目ー!
よく混同しがちですが、「署名」をすること自体にブロックチェーンは必要ありません。また、署名の検証もパブリックチェーンであれば無料ですることができます。公開秘密鍵の原理を知っていればブロックチェーン技術を利用することなく、秘密鍵でメッセージを署名・公開鍵でメッセージを検証することができます。例えばメッセージを検証すれば、それに紐づくアカウントが持つ資産を所有していることは証明可能です。
「公認された過去の自分が今の自分を保証する」。これの面白いところは、本人を証明するための手がかりを組織が所有していない点です。その鍵を自分が持っているため、これからは情報の流れが信頼できる組織から取りに行くのではなく、自分から発信できるようになります。このあたりはnemlogをやっている人にはピンとくるのではないでしょうか?nemlogの運営者には1XEMたりとも預けておらず、ユーザー間同士で投げ銭を実現していますよね?お金や土地だけではなく、些細だけれども信用が伴うと便利、そんなあらゆる分野に適用されていくでしょう。
NEMだとどうなの?
ここまでは一般的なブロックチェーン共通のお話でした。では、マルチシグを使用して所有させるという概念を持たせることができます。実社会においては譲渡、キャンセルといった運用を迫られることがほとんどです。秘密鍵を個人と直接結びつけるのではなく、マルチシグを利用して所有させるという概念を持ち込むことで、緩やかにブロックチェーン技術を一般社会に浸透させていくことが可能です。
このあたりは、また近い将来、NEMブロックチェーン技術の状態と振る舞いに注目して説明していきたいと思います。