はじめに
こんにちは、JetBrains公式代理店NATTOSYSTEMのねばねば(Nevernever)です。
今回は、JetBrainsの25周年ドキュメンタリー動画『The Drive to Develop』の内容をまとめたものです。
動画の中では、JetBrainsの創設者やエンジニアたちが、世界最高峰の IDE がいかにして生まれ、競合との戦いを生き抜き、現在の地位を築いたのかを語っています。その25年にわたる軌跡を、動画の内容に沿ってまとめました。
それでは IntelliJ がいかにして最強になったか、みていきましょう!
1. Java の「救済」と IntelliJ の誕生
動画によると、初期のJavaプログラミングは非常に効率の悪いものでした。テキストエディタでコードを書き、コンパイルし、エラーが出たら修正するという「イテレーション(反復)」を延々と繰り返す必要があったからです。当時のJavaは「重量級で肥大化したエンタープライズの象徴」と見なされることも少なくありませんでした。
IntelliJ IDEAは、コンパイラのフロントエンド(解析部分)の知見をエディタに持ち込むという、当時としては画期的なアプローチを採用したとのことです。
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コードを書く前に間違いを指摘する: 実行する前に「もっと良い書き方がある」とエディタがリアルタイムで教えてくれる体験を提供しました。
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Javaからの独立: 他の言語にも対応できるよう、内部でインターフェースと実装を分離し、Javaに依存しない構造をゼロから再構築しました。
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PSI (Program Structure Interface): ソースコードの構造を抽象化して保持するこのコア技術は、25年経った今もIntelliJの心臓部として機能し続けていると語られています。
2. 開発哲学:ドッグフーディングと「フロー」の追求
JetBrainsには、強力なドッグフーディングの文化があると説明されています。
※ドッグフーディングとは:自社製品の品質を確かめるために、開発者自身が日常業務でその製品を使い込むこと。IntelliJの開発チームは、IntelliJ自身を使ってIntelliJのコードを書いています。
- ユーザーへの誠実さ: 動画では「自分たちで使っていない製品を、どうやってブログやTwitterで『最高だ』と正直に言えるだろうか?」という問いが投げかけられています。自分たちが最初のユーザーになることで、不便な点やバグに誰よりも早く気づき、改善できるといいます。
- 「フロー」状態の維持: 開発者が最も幸福で生産的になれるのは、何にも邪魔されず一つのタスクに没頭している「フロー」の状態です。動画では、このフローを中断させないためのスピードと自動化を最優先していることが強調されています。
- 自動化への情熱: 退屈で反復的な手作業を自動化することで、エンジニアの本質的なクリエイティビティを解放することを目指したと語っています。
3. 激動の歴史:巨大な競合との戦い
IntelliJの歴史は、巨大な競合との戦いの歴史でもあったと動画は伝えています。
- Microsoftからの勧誘: 初期の頃、Microsoftから買収に近い提案や勧誘を何度も受けたものの、自律性を保つためにそれらを拒否したというエピソードが明かされています。
- Eclipseとの死闘: IBMなどが支援する「無料」のEclipseに対し、IntelliJは「有料」の商用製品として挑みました。一時は絶望的な状況に見えましたが、熱狂的なユーザーベースの支持が自分たちの進むべき道の正しさを証明したとのことです。
- オープンソース化の決断: 2009年、生き残りをかけてコア部分を「Community Edition」としてオープンソース化しました。これが後にGoogleとの提携、そしてAndroid Studioの誕生へと繋がる歴史的転換点となったと振り返っています。
4. コミュニティとの信頼関係
動画によれば、JetBrainsは単なるソフトウェアメーカーではなく、エンジニアのための「会社」を創ることを目的としていました。
- 価格設定の哲学: 個人がポケットマネーで買える限界を意識した価格設定を行っていたそうです。
- サブスクリプション移行の危機: 2015年のライセンスモデル変更時に猛烈な反発を受けた際、ユーザーの声に真摯に耳を傾けて即座にモデルを調整したことが、逆に信頼を深める結果になったと語られています。
- ドラキュラ(ダークテーマ)の誕生: 今では当たり前となったダークテーマも、一人のエンジニアが休暇中に作ったプロトタイプから始まり、コミュニティの爆発的な支持を得て製品化したものだそうです。
5. これからの25年とAIの役割
動画の終盤では、AI時代の展望についても触れています。
- AIがコードを生成するようになれば、人間には「コードを理解し、レビューし、ナビゲートする」ためのより高度なツールが必要になると考えているようです。
- IntelliJは、現代のAIが登場するずっと前から、コードに関する知識を形式化して開発者を支援するインテリジェンスを提供してきました。その役割は今後も変わらないとしています。
まとめ
「自分たちが本当に愛せる製品を、自分たちの手で作りたい」という情熱の積み重ねが、今のJetBrainsを形作っています。「開発者を助けることは、間接的に世界中の多くの人々を助けることに繋がる」という彼らの信念は、誕生から25年が経過した今も、揺るぎない原動力として生き続けていることが伝わってきます。
私は今後とも自信をもってIntelliJのみならず、JetBrains 製品をプッシュしていきますので、よろしくお願いいたします。
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