はじめに
「このコミット、大丈夫かな」と git push ボタンを押す直前に不安になることがあります。
レビュアーから「またこのパターンか」と指摘されるケース。毎回レビュアーの時間を奪うのも申し訳ない。かといって、自分でコードを読み返す「セルフレビュー」をコミット前に毎回やるには、それなりの集中力と時間が要る。
そこで今回はIntelliJ IDEAの Perform Self-Review with AI 機能を試してみた。AI がコミット前の差分を自動でレビューしてくれる機能だ。
この記事は、実際に使ってみてどうだったか、どんな問題を検出してくれてたのかを書いたもの。
試した環境
- 製品: IntelliJ IDEA 2026.1(Ultimate)
- 機能: Perform Self-Review with AI(AI でのセルフレビュー)
- 前提: JetBrains AI サブスクリプション or BYOK(Anthropic / OpenAI API キー)が有効であること
使い方
1. Commit ツールウィンドウを開く
Alt+0 を押して Commit ツールウィンドウを開く。ここはいつも使っているコミット画面と同じ。

2. レビューしたい変更を選択して「Self-Review with AI」をクリック
ステージングしたいファイルにチェックを入れた状態で、「Self-Review with AI」ボタンをクリックする。

3. AI Self-Review タブで結果を確認する
Problems ツールウィンドウが自動で開き、AI Self-Review タブに検出された問題の一覧が表示される。
4. 問題を直してからコミット
検出された問題を確認・修正したあと、通常どおりコミットする。
コミット済みの変更にも使える
未コミット変更だけでなく、すでに push したコミットに対しても後からセルフレビューができる。
Alt+9 でバージョン管理ツールウィンドウを開き、Git ログから対象のコミットを選択 → 「Self-Review with AI」をクリック。
チーム固有のルールをガイドラインとして渡せる
個人的に一番面白いと思ったのが、レビューガイドラインを Markdown ファイルで指定できる機能だ。
Settings | Tools | AI Assistant | Project Settings の「Path to rules for AI Self-Review」にファイルのパスを指定すると、AI がそのルールに従ってレビューしてくれる。
# Code Review Guidelines
## Naming- メソッド名は動詞から始める(get / create / update / delete)
- Boolean 変数は is / has / should で始める
## Error Handling- 例外は握りつぶさず、必ず Logger に記録する
- ユーザー向けエラーメッセージは日本語で返す
## Kotlin 固有
- data class のプロパティはすべて val にする
- null チェックは ?: を使い if (x != null) は書かない
チームの規約を Markdown に書いておくことで、AIがそれをもとにレビュー。
検出結果(ガイドラインなし)
仕込んだ違反をすべて検出した。
| 指摘 | 内容 |
|---|---|
var → val
|
id / name / active の3プロパティをまとめて1件 |
active → isActive
|
Boolean 命名規則 |
user → getUser
|
メソッド名を動詞で始める |
| 空の catch ブロック |
log.severe() で記録すべき |
if (user != null) → ?:
|
Elvis 演算子を使う |
- 指摘はすべて英語で出力された
- ガイドラインなしでも Kotlin の一般的なベストプラクティスとして全件検出された
検出結果(ガイドラインあり)
検出件数・内容は同じ5件。ガイドラインなしとの違いは指摘文の言い回しだった。
| 指摘 | ガイドラインなし | ガイドラインあり |
|---|---|---|
| 空の catch | Consider logging the exception |
Use log.severe() ... as per the guidelines |
var → val
|
It is recommended to use val |
should be marked as val ... per the guidelines |
| Boolean 命名 | renamed to isActive |
named isActive to follow the naming convention |
| メソッド命名 | align with naming conventions |
adhere to the 動詞で始める rule(日本語のまま引用) |
| null チェック | use the Elvis operator |
following the guideline |
- 件数・検出箇所に差はなかった
- ガイドラインありでは「per the guidelines」「following the guideline」な根拠がガイドラインである旨が明示された
- ガイドラインの日本語(
動詞で始める)がそのまま指摘文に引用された
まとめ
AIによる自己レビューは、「PR 出す前に一度 AI に見せる」習慣を、IDE を離れずにできる便利な機能だと感じた。
- レビューで同じ種類の指摘を受けている
- コミット前に「漏れがないか不安」になる
- チームのコーディング規約を自動で確認したい
逆に、巨大なコミットをまとめて送る運用スタイルだと、レビュー対象が広すぎて実用的でないかもしれない。小さく細かくコミットする開発スタイルとの相性が良さそう。
チームの規約を Guidelines ファイルに書き始めると、じわじわ効いてくる機能だと思う。
ナットウシステムからのお知らせ
弊社は JetBrains 製品に関するご質問、ご相談等を受け付けております。弊社のXまたはメールでご連絡ください。
参考資料


