この記事について
AsiaRF社製の Wi-Fi HaLow Raspberry Pi HAT Module を日本で合法に使用するための設定です。
日本仕様で動作させるためのパラメータ値がドキュメント類のどこにも記載されていないため、自分で調べたので、その結果をまとめました。
AsiaRF Wi-Fi HaLow HAT とは?
名前の通り、台湾 AsiaRF社が販売している、Raspberry Pi 用のWi-Fi HaLow HATです。TELECの認証も通っており、(法的には)日本でも安心して使用できる製品です。
詳細は以下の販売サイトをご確認ください。
https://asiarf.com/product/wi-fi-halow-raspberry-pi-hat-module-mm610x-h06/
手順
事前準備
製品を購入すると、必要なドライバ等が組み込み済みの Raspberry Pi OS のディスクイメージをAsiaRF社からもらうことができますので、それを使用します。
HaLow設定
デフォルトだとUS仕様の周波数で動作する設定になっているので、そのまま動かすと電波法的にまずい状況になります。
そのため、以下の設定ファイルを修正します。
morse.conf
/etc/modprobe.d/morse.conf
→ country_code を JP
に変更します。
JP
hostapd-phy0.conf
この HAT を Wi-Fi AP(親機)として動作させる場合は、hostapd-phy0.conf
を以下の通り設定します。
/etc/hostapd_s1g/hostapd-phy0.conf
→使用する周波数幅・周波数帯と、ssid/passphease 等を設定します。以下のパラメータの値を修正します。
:
前略
:
country_code=JP
op_class=65
channel=36
chanlist=36
wpa=2
ssid=my_ssid
wpa_passphrase=my_passphrase
:
後略
:
パラメータごとの値の意味は以下の通りです。
パラメータ名 | パラメータの意味 | 設定値と意味 | 備考 |
---|---|---|---|
country_code |
国コード |
JP 固定 |
|
op_class |
周波数帯域幅 |
73 : 1MHz 64 : 2MHz 65 : 4MHz |
|
channel |
使用するチャンネル(周波数帯) |
op_class =1MHzの場合 - 13 : 923.0 - 15 : 924.0 - 17 : 925.0 - 19 : 926.0 - 21 : 927.0 op_class =2MHzの場合 - 2 : 923.5 - 4 : 924.5 - 6 : 925.5 - 8 : 926.5 op_class =4MHzの場合 - 36 : 924.5 - 38 : 925.5 |
op_class と channel の設定値に矛盾がないようにする |
chanlist |
チャンネルのリスト? | とりあえず channel と同じ値をセットしておく |
|
wpa |
暗号化 |
2 : WPA2/3 を有効化 0 : 暗号化なし |
|
ssid wpa_passphrase
|
SSID/パスワード | Wi-Fi の SSIDとパスワードの値を設定する |
hostapd-phy0.conf
この HAT を Wi-Fi Station(子機) として動作させる場合は、wpa_supplicant-wlan0.conf
を以下の通り設定します。
/etc/wpa_supplicant_s1g/wpa_supplicant-wlan0.conf
country=JP
ssid=my_ssid
psk=my_passphrase
パラメータごとの値の意味は以下の通りです。
パラメータ名 | パラメータの意味 | 設定値 |
---|---|---|
country |
国コード |
JP 固定 |
ssid psk
|
SSID/パスワード | 親機のSSIDとパスワードの値を設定する |
設定後
いったん reboot してから、./run_halow_ap.sh
(親機の場合) ./run_halow_sta.sh
を実行すれば、HaLow の無線が動作しはじめます。
余談: 他機種との接続性について
2024/11時点で、Wi-Fi HaLow はチップメーカーごと(もしくは機器メーカーごと)の相互接続性がまだ厳しいようです。
このAsiaRFのHATはMorse Micro社製のチップが使われていますが、同じくMorse Microのチップが使われているセンチュリーシステムズ社製MA-S120/LH とは接続できました。
対して、Newracom社製チップが使われている他社HaLow機器との接続はできませんでした。
この相互接続性の問題は、現在機器メーカー・チップメーカー側で頑張っているようですので、少し待ちましょう :-)