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[Linux] Satisfactory の Steam Dedicated Server を構築する

Last updated at Posted at 2022-12-18

はじめに

Satisfactory の Linux Dedicated Server を構築する手順です。

Steam の Dedicated Server とはゲーム本体を購入せずとも、マルチプレイ用ゲームサーバを構築する仕組みです。Windows または Linux 用が配布されていますが、今回は Linux 向けの構築手段に絞って記載します。
また Dedicated Server は Satisfactory に限らず、Ark: Servival Evolved や Valheim といった Steam ゲームでも共通の手順でセルフホスティングが可能です。

構築環境

私の環境は以下の通りです。

スペック 動作環境 注釈
OS Ubuntu Server 22.04 LTS 他の OS でも、手順を読み替えれば動きます
CPU 4コア vCPU CPU は 30% 台で推移しているので、もっと少なくても余裕がありそうです
メモリ 10GB MEM 公式では8GBが必須とされていますが、私の環境では7〜9GBの使用率で推移しているので10GB割り当てています
ストレージ 50GB SSD ゲームサーバのデータは 2022/12 時点で約6.9GBなので、30GB くらいでも足ります

また下記の状態が前提になりますが、これは環境によって異なるためここでは解説しません。

  • 公開できるグローバル IP アドレスがある
  • ルーター下のサーバであれば IP アドレスが固定されており、Satisfactory で利用される 15000, 15777, 7777 (いずれもUDP) ポートをルータの IP マスカレード機能などでサーバが公開されている

もしこれからサーバを借りるのであれば ConoHa VPS がオススメです。仮想マシンのスナップショットが取れて便利です。

もしも自宅サーバで直接ポートを開放したくない方は、ngrok や Cloudflare Tunnel というものもあります。

構築手順

ユーザ名 steamusr でサーバが実行される手順を解説しています。

1. steamcmd をインストール

Steam をインストール

sudo apt install -y lib32gcc-s1 steamcmd

利用規約について聞かれるので、問題なければ「2」を入力する

シンボリックリンクを追加

sudo ln -s /usr/games/steamcmd /home/steamusr/steamcmd

2. Satisfacroty サーバのダウンロード

steamcmd の起動

steamcmd

インストールフォルダの作成

Steam> force_install_dir /home/steamusr/Steam/steamapps/common/Satisfactory

匿名ユーザーでログイン

Steam> login anonymous

Satisfactory の Dedicated Server をダウンロード
※1690800 は Satisfactory の App ID を指しています (SteamDB)。初回ダウンロードは数十分ほど掛かります。

Steam> app_update 1690800 validate

steamcmd から抜ける

Steam> exit

3. Systemd に登録

最近の Linux は systemd でサービスが管理されていますので、ゲームサーバもここから起動させましょう。
satisfactory-dedicated.service を作成します。

sudo vi /etc/systemd/system/satisfactory-dedicated.service

以下を入力して保存してください。

[unit]
Description=Satisfactory Dedicated Server
Wants=network-online.target
After=syslog.target network.target nss-lookup.target network-online.target

[Service]
ExecStart=/home/steamusr/Steam/steamapps/common/Satisfactory/FactoryServer.sh
LimitNOFILE=100000
ExecReload=/bin/kill -s HUP $MAINPID
ExecStop=/bin/kill -s INT $MAINPID
User=steamusr
Group=steamusr
Restart=always
TimeoutStartSec=300

[Install]
WantedBy=multi-user.target

daemon をリロードしてサーバを起動させましょう。自動起動もするようにします。

# デーモンの再起動
sudo systemctl daemon-reload

# 自動起動設定
sudo systemctl enable satisfactory-dedicated.service

# サーバの起動
sudo systemctl start satisfactory-dedicated.service

ここまでで、ポート開放が問題なく行えていれば接続できるはずです。
できなければ Firewalld などを確認してみてください。

また以下のコマンドで停止操作などが行なえます。

# ゲームサーバを停止させたいとき
sudo systemctl stop satisfactory-dedicated.service

# ゲームサーバの起動状態を確認するとき
systemctl status satisfactory-dedicated.service

# ゲームサーバが出力したログを確認するとき
sudo journalctl -u satisfactory-dedicated.service

セーブデータの移行とバックアップ

もし先行して誰かの PC をホストにマルチプレイをしていた場合、セーブデータを Dedicated Server に移管したい場合があると思います。

Windows では以下のパスに保存されています。ホストになっていたプレイヤーからセーブデータを貰ってください。

C:\Users\(Username)\AppData\Local\FactoryGame\Saved\SaveGames\(SteamのID)

上記パスはエクスプローラーに %localappdata%\FactoryGame\Saved\SaveGames\ を入力すれば開くことができます。

また Dedicated Server 側では以下のパス配下に .sav 形式のセーブデータを保存します。

~/.config/Epic/FactoryGame/Saved/SaveGames/server

あるとより便利に

ここまででもう既にゲームはプレイできる状態になっていますが、より便利なサーバ運用を記載します。

①自動アップデート

Satisfactory は頻繁にアップデートされています。
クライアント側は自動でアップデートが入りますが、サーバ側では手動でアップデートを行わないとゲームに接続することができなくなります。
server-error.png
そこでシェルスクリプトを用いて steamcmd の定期的なアップデートを実行しましょう。

以下のファイルを作成します。

vi ~/auto-update.sh

変数は環境に応じて書き換え、下記のシェルスクリプトをペーストしてください。

#!/bin/sh

Steamcmd="/usr/games/steamcmd"
install_dir="/home/steamusr/Steam/steamapps/common/Satisfactory"
AppID="1690800" #Satisfactory
service="satisfactory-dedicated.service"

date +"%Y/%m/%d %p %I:%M:%S"

echo "# Check current build number."
OLD_Build=`${Steamcmd} +force_install_dir ${install_dir} +login anonymous +app_status ${AppID} +quit | grep -e "BuildID" | awk '{print $8}' 2> /dev/null`
echo "Old BuildID: ${OLD_Build}"

echo "# Updating the game server."
${Steamcmd} +force_install_dir ${install_dir} +login anonymous +app_update ${AppID} validate +quit >/dev/null 2>&1

echo "# Check build number after update."
NEW_Build=`${Steamcmd} +force_install_dir ${install_dir} +login anonymous +app_status ${AppID} +quit | grep -e "BuildID" | awk '{print $8}' 2> /dev/null`
echo "New BuildID: ${NEW_Build}"

# Check version differences
if [ "$OLD_Build" -eq "$NEW_Build" ]; then
    echo "No game updates available."
elif [ "$OLD_Build" -gt "$NEW_Build" ]; then
    echo "The game has a new BuildID ${NEW_Build}. Service will be restarted."
    systemctl stop $service
    systemctl start $service
    systemctl status $service
else
    echo "error."
fi

動作させてみます。

chmod +x auto-update.sh
sudo ./auto-update.sh

このような出力が得られれば、問題なく動作しています。

steamusr@satisfactory:~$ ./auto-update.sh
2022/01/01 AM 00:00:00
# Check current build number.
Old BuildID: 10115591
# Updating the game server.
# Check build number after update.
New BuildID: 10115591
No game updates available.
steamusr@satisfactory:~$ 

もしゲームのアップデートがあればサービスの再起動が行われます。

Cron 登録

Cron に登録してこのスクリプトを定期的に動作させましょう。ワンライナーで登録します。

(sudo crontab -u root -l; echo "0 */3 * * * /home/steamusr/auto-update.sh  >> /home/steamusr/auto-update.log 2>&1") | sudo crontab -u root -

root ユーザで実行されます。実行頻度は好みですが、例では3時間に一度になっています。また /home/steamusr/auto-update.log に実行結果が出力されます。

このように登録されていれば OK。

steamusr@satisfactory:~$ sudo crontab -u root -l
0 */3 * * * /home/steamusr/auto-update.sh  >> /home/steamusr/auto-update.log 2>&1

②Mackerel で死活監視

サーバやプロセスが死んだら Discord に通知が欲しいですよね。株式会社はてなが提供する Mackerel を利用します。通知だけであれば Freeプランで十分です。

  1. まず通知を送りたい Discord のテキストチャンネルを開き「チャンネルの編集」→「連携サービス」→「ウェブフック」→「新しいウェブフック」で Webhook URL を作成し、コピーします。
    Discord 2022-12-09 17.50.51.png
    Discord 2022-12-09 17.53.40.png
  2. Mackerel に登録してダッシュボードにログインします
  3. まず「新規ホストの登録」で表示された OS 毎のインストールコマンドを実行します。ダッシュボード上の Hosts にサーバが表示されます。
    新規ホストの登録 · Google Chrome 2022-12-09 17.45.04.png
  4. ダッシュボードの Channels から「通知グループ/通知チャンネルを追加」で Slack を選択します
  5. 先ほど Discord からコピーした URL の末尾に /slack をつけ、https://discord.com/api/webhooks/XXXX/XXXX/slack となっている URL をダッシュボードに入力します。
    Discord には Slack Webhook 互換があり、この形式にすることで Slack 形式の Webhook を受け取れるようになります。
    通知グループ/通知チャンネルを追加 - Google Chrome 2022-12-09 17.58.37.png
  6. 「アラート通知」と「ホストステータス変更」をオンにして「作成」します。
    通知グループ/通知チャンネルを追加  - Google Chrome 2022-12-09 18.03.27.png
  7. プロセスが死んでも通知して欲しいので、mackrel のチェック監視項目を追加します。
    サーバで以下のコマンドを実行します。
    # mackerel 公式チェックプラグイン集をインストール
    # rpm パッケージの場合は sudo yum install mackerel-check-plugins
    sudo apt-get install mackerel-check-plugins
    
    # UE4Server-Linux というプロセスが起動しているかをチェックするように mackerel-agent.conf の2行目に追記
    sudo sed -i -e "2i [plugin.checks.check_satisfactory]\ncommand = [\"/usr/bin/check-procs\", \"--pattern\", \"UE4Server-Linux\"]\n" /etc/mackerel-agent/mackerel-agent.conf
    
    # mackrel-agent を再起動
    sudo service mackerel-agent restart
    
  8. Mackrel のダッシュボードに戻り、Hosts からサーバを選択して check_satisfactory が動作していれば監視ができています。
    satisfactory · game-srv - Google Chrome 2022-12-09 18.21.22.png

これで Satisfactory のプロセスが死んだり、サーバの電源が落ちると Discord に通知が来るようになります。
Discord 2022-12-09 18.28.22.png
また Mackerel に自身のアドレスなどを登録しておけばメールでもサーバの異常を確認できて便利です。

謝辞

この手順は以下のページを一部参考にさせていただいています。

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