価格は据え置き、移行手順もモデルIDの書き換え1行。それでも公式の移行ガイドは、推奨アクションの過半を「この指示を消せ」で占めている。
変更点の一覧
| 変える場所 | 何をするか | 何が得られるか |
|---|---|---|
| API の設定 |
max_tokens を上げる |
応答が途中で切れなくなる |
| API の設定 | 思考は切らず、effort を下げる | 同じモデルのままコストを下げられる |
| プロンプト | 検証・再確認の指示を消す | 同じ確認を二度やらなくなる |
| レビュープロンプト | 「重要度の高いものだけ」を消す | 見逃していた指摘が上がってくる |
| プロンプト | 応答と生成ファイルの長さを指定する | 出力が短くなる |
| プロンプト | 作業範囲とサブエージェント数に上限を書く | 頼んでいない作業に広がらない |
| CLAUDE.md | 「〜するな」を「〜に合わせろ」に書き換える | 例外のあるケースで誤らなくなる |
| CLAUDE.md | 長い手順書をスキルに切り出す | 常時読み込む文章量が減る |
| ツール定義 | 使い方の例文を消し、引数の設計で伝える | 使い方を型にはめずに済む |
API の設定を直す
max_tokens を上げる。 4.8 は指定しない限り考えずに答えていたが、Opus 5 は標準で考えてから答える。max_tokens は考えた分と答えた分の合計にかかる上限なので、旧設定のままだと答えが途中で切れる。
思考は切らず、effort を下げる。 思考を切る設定は effort が high 以下でしか通らず、xhigh や max と併用すると 400 が返る。切ると、ツールを呼ぶ代わりにその内容を本文に書いてしまったり、内部用のタグが表に出たりする。コストを削りたいなら effort を下げるほうが安全だ。
effort を測り直す。 low / medium / high / xhigh / max が全部使えるようになり、Anthropic は low と medium の品質が上がったと書いている。安いモデルに落とす代わりに、同じモデルの effort を下げる選択肢が生まれた。今回の変更でいちばん効くのはここだと思う。xhigh から一段ずつ下げて、どこで壊れるかを見る。
プロンプトから削る
検証と再確認の指示を消す。 「最後に確認して」「サブエージェントに検証させて」は、Opus 5 では同じ確認を二度やらせるだけになる。公式が名指しで、消してもトークンが減るだけで品質は落ちないと書いている。プロンプトだけでなく、検証専用の工程をハーネス側に作り込んでいる場合も同じだ。
ただし区別は要る。同じ相手に「もう一度見て」と言うことと、まっさらな状態のレビュー役を別に立てることは違う。前者は今すぐ剥がしていい。後者にまだ効果があるかどうかは、自分で比べて決める。
レビューの「重要度の高いものだけ」を消す。 Opus 5 は文字通り受け取って報告を減らす。全部出させて、絞り込みは後段でやる。重要度による絞り込みを自前で持っているなら、モデル側にも我慢させるのは二重の絞り込みでしかない。
プロンプトに足す
応答と生成ファイルの長さを指定する。 Opus 5 の返事は旧 Opus より長い。effort は考える量を決めるだけで、書く量は変えない。だから長さは言葉で指定するしかない。ディスクに書き出すレポートも長くなるので、そちらは別に指定する。
作業範囲とサブエージェント数に上限を書く。 Opus 5 は頼んでいない作業まで足しにいくし、細かい仕事までサブエージェントに投げる。「依頼が間違っていたり、もっと良い方法があるなら一文で指摘しろ。ただし作業自体は依頼通りに進めろ」という書き方が公式の例示にある。禁止するより、意見を言う出口を作ったうえで実行を縛るほうが効く。サブエージェントは起動数に上限を切るのが確実だ。
CLAUDE.md とスキルを組み替える
Opus 5 と同じ日、Anthropic は Claude Code のシステムプロンプトを8割以上削っても社内評価に劣化が出なかったと公表した。原因は指示同士の衝突だ。「必要ならドキュメントを残せ」と「コメントを書くな」が同時に効いていて、モデルはどちらが優先かを考えてから作業していた。指示はタダではない。
「〜するな」を「〜に合わせろ」に書き換える。 「コメントを書くな」ではなく「周りのコードのコメント量と命名に合わせろ」。禁止は例外のあるケースで必ず外れるが、基準は外れない。CLAUDE.md を開いて、禁止で書かれた行から順に手を入れる。
長い手順書をスキルに切り出す。 CLAUDE.md に200行の検証手順が居座っているなら、スキルにして一行のポインタだけ残す。毎回読ませる必要のない文章が常駐しているのが問題で、必要なときだけ読ませれば同じ効果が出る。CLAUDE.md 本体はリポジトリ固有の落とし穴に絞り、ファイルを見れば分かることは書かない。
ツールの使い方の例文を消し、引数の設計で伝える。 Opus 5 では例文がかえって使い方を型にはめてしまう。Todo ツールの状態を pending / in_progress / completed から選ばせて「in_progress は常に1件」と添えれば、長い説明は要らない。仕様も同じで、文章より実物のほうが伝わる。テストコードやHTMLのモックを渡すほうが、説明文やスクリーンショットより結果が良い。
触らなくても効くもの
キャッシュに乗る最小の長さが 1,024 トークンから 512 トークンに下がった。短すぎて乗らなかった断片が、何もしなくても乗るようになる。効いたかどうかは、レスポンスの cache_read_input_tokens を移行前後で比べれば分かる。
コンテキストは 1M で固定、最大出力は 128k。価格は $5 / $25(100万トークンあたり入力 / 出力)で 4.8 と同額のままだ。
ベータの2機能
会話の途中でツールを入れ替えられる(mid-conversation-tool-changes-2026-07-01 ヘッダ)。入れ替えてもキャッシュが壊れない。計画中は読み取り系だけ渡し、実装に入ってから書き込み系を渡す、という制御ができる。「使うな」と指示するより、渡さないほうが確実だ。
安全チェックに引っかかったとき、別モデルへの切り替えを任せられる(fallbacks の "default"、server-side-fallback-2026-07-01 ヘッダ)。自前でモデルの一覧を保守しなくてよくなる。Claude.ai / Claude Code / Cowork では、引っかかった要求は標準で Opus 4.8 に切り替わる。セキュリティ関連の作業を回しているなら、どのモデルが答えたかをログに残しておかないと結果の説明がつかなくなる。
/doctor を走らせる。ただし一気に削らない
削除候補は Claude Code の /doctor が出してくれる。実際に消す前に提案として見せてくれるので、手で全部を見直すより先に走らせるほうが早い。
一気に8割削るのは勧めない。Anthropic が大量に削れたのは、削ってよいと判断できる評価が先にあったからだ。代表的なタスクを10〜20個用意して完了率と手直し回数を記録し、ひと固まりずつ外して比べる。品質が変わらないなら、その塊は仕事をしていなかったということになる。
参考
- Introducing Claude Opus 5
- What's new in Claude Opus 5
- Prompting Claude Opus 5
- Effort
- The new rules of context engineering for Claude 5 generation models(Thariq Shihipar, Anthropic)