電子工作で作ったスイッチ回路とその解説です。
3.3V で 12V ファンをスイッチ
NMOSのFETを使って12V ファンをON/OFF制御します。
ゲートにHigh を入力するとファンが回ります。
3.3V で駆動できる FET として 秋月電子で80円 の 2SK2412 (2021/07/22現在在庫限り商品) を使いました。
- TO-220 パッケージ
- Vds 60V
- ドレイン電流 25A(VGS=4V,VDS=2.5V)
- DS間オン抵抗 67mΩ (VGS=4V)
- 入力容量 860pF
なお、大きなFETは容量が大きいのが注意。R9の値は入力容量とC10の時定数から計算します。
2SK2412 は ゲートカット電圧VGS(OFF) が 1.0~2.0V なので、5V 系マイコンで制御できます。3.3V系マイコンも、Highレベルが十分高ければ OK です。
左側の「FAN」はマイコンからの GPIO 信号出力です。
R9 はリンギング防止、C6は寄生容量とファンからのノイズによる誤動作防止、R10 はプルダウン抵抗。
D1 はファンの逆起電力を逃がすフリーフォールダイオードです。高速なものが必要らしいです。今回はショットキーバリアダイオードを使いました。
「誘導性負荷による直流電源装置の損傷を防ぐ方法 ~還流ダイオードと逆流防止ダイオード~ | 東陽テクニカ | “はかる”技術で未来を創る | 物性/ エネルギー」
https://www.toyo.co.jp/material/casestudy/detail/id=30101
によると、
12 V や 24 V で誘導負荷に電力を供給している場合でも、フライバック電圧は数百から数
千ボルトになることがあります。
だそうで、ピーク電流50A流せる SS24FL を使いました。
C10 はファンのOFFの時定数用のコンデンサで、FETのスイッチをなだらかにすることによって逆起電力のピークを抑えます。
C11 はファンの雑音防止です。ファン側に取り付けるべきですが、ちょっとでも低減。
この目的に使うことのできた Nch FET
3.3V で駆動できる FET として
2SK2412
(2021/07/22現在在庫限り商品)
(2021/09/16現在在庫AAA扱いとなってました)
今回使ったもの
- TO-220 パッケージ
- Vds 60V
- ドレイン電流 25A(VGS=4V,VDS=2.5V)
- DS間オン抵抗 67mΩ (VGS=4V)
- 入力容量 860pF
- ゲートカット電圧VGS(OFF) が 1.0~2.0V
2SK4017/2SK4033
秋月電子で 5個120円 (2021/07/22現在在庫限り商品)
- 2-7J2B パッケージ (2SK4033) / TO-252 パッケージ (2SK4033)
- Vds 60V
- ドレイン電流 5A
- DS間オン抵抗 90mΩ (VGS=4V,ID=2.5A)
- ゲートしきい値電圧 Vth が 1.3~2.5V
- 入力容量 730pF
そのほか使えそうな Nch FET
また、使用した実績はありませんが以下のようなものも使えそうです。
2SK2232
秋月電子で 100 円 (ディスコン品)
- TO-220SIS パッケージ
- Vds 60V
- ドレイン電流 25A
- DS間オン抵抗 57mΩ (VGS=4V,ID=12A)
- 入力容量 1000pF
IRLML6344T
秋月電子で 10個 240 円 (2021/07/22現在品切れ)
- SOT-23 パッケージ
- Vds 30V
- ドレイン電流 5A
- DS間オン抵抗 27mΩ (Typ. VGS=2.5V,ID=4.0A)
- 入力容量 650pF
- ゲートスレッシュホールド電圧VGS(th) が 0.5~1.1V
AO3400A
秋月電子で 10 個 220円
- SOT-23 パッケージ
- Vds 30V
- ドレイン電流 5.7A
- DS間オン抵抗 24mΩ (Typ. VGS=2.5V,ID=3A)
- 入力容量 630pF
3.3V で駆動できる FET
Pch
(~略~)
ハンディファンの制御スイッチを FET で押す
ハンディファンワークショップ
https://qiita.com/nanbuwks/items/a571a08544d2a64ce315
の基板です。
赤いのがモータドライバ、青いのが5V駆動のArduinoです。ハンディファンに組み込んで使います。
この基板はモータドライバで H ブリッジ制御ができる他に、ハンディファンのプッシュスイッチを手の代わりに FET を使って押せるようになっています。
青い基板がハンディファンのコントローラです。真ん中のボタンを押す度に、弱→中→強→切と切り替わります。このスイッチにFETをつなげてArduinoより制御します。
Q1がスイッチ信号を作るためのFETです。5V信号レベルの GPIO を HIGHにすると、J1経由で接続したタクトスイッチがLOWレベルとなり、スイッチを押すのと同じ動作ができるようになります。
Q1にSOT-23です。
Arduino D10ポートを HIGH にすると スイッチを押すようにしています。
2N7002 です。2N7000 / 2N7002 は汎用品として使うことのできる Nch MOSFET で、2N7000 が TO-92 で 200mA 、 2N7002 が SOT-23 で 100mA 。
各社から山のように出ています。恐らくこれは中華なジェネリック品。2N7002 のスイッチ電圧を確かめると、
DIODES 社の 2N7002 データシート N-CHANNEL ENHANCEMENT MODE FIELD EFFECT TRANSISTOR 2ページより
5V系のArduinoで100mA程度を流すのであればこれで十分であることがわかります。
HV9961 を使って 100V で LED を動かす
LEDドライバ HV9961 の出力を Nch MOSFET を使って定電流PWMコントロールしています。
LEDは 6素子を直列にして Vf を 18V 程度になるようにしました。
実際にはこれを3チャンネル使って、RGB カラーコントロールを行いました。
瞬停で誤動作を防ぐ
電源が瞬停したときに、2秒までならスーパーキャパシタで持ちこたえ、それを超えたら電源を確実に落とすような回路を組みました。
昔の回路図をサルベージしたので、FETのピン配置がヘンですが。
24V車載用に、この前段に5.5VのDC-DCコンバータがあります。
5V の NanoPi に供給するために、損失を考えてこの回路に5.5Vを供給しています。
NanoPi は 2A 消費すると想定です。
通常時には 2SJ681 が ON になり、停電時には C3 の電荷で ON を維持して C1 と C5 から負荷に電力を供給します。
スーパーキャパシタの電圧が降下すると NanoPi のブラウン領域に突入してしまいます。そうなる前に電源供給を OFF とするために R5 で時定数を調整します。
負荷側( NanoPi ) のGNDをこの回路のGNDを共通にしたかったので、Pch の MOSFET ( 2SJ681 ) を使い、前段のために Nch の MOSETET ( 2SK2962 ) で極性変換をしています。
C1 と C5 のスーパーキャパシタへの突入電流が問題になる場合は JP1 を開いて R7 で調整をします。
なお、瞬停が一度だとばっちり動作しますが、複雑なパターンで電源OFFとなるような場合はこの回路でカバーできません。シュミットトリガ回路を盛り込むか、マイコンで制御するのが望ましいです。