「オゾン発生器を Hack」
https://qiita.com/nanbuwks/items/5e64bea0cba4792f43ec
では、数千ボルトを発生してオゾンを発生する回路を Hack しました。
同様に、以下のような(実際の製品とは異なる同等品)オゾン発生ジェネレーターを使い
制御していると、制御回路の LCD 表示がおかしくなることがあったということで相談を受けました。このモジュールも、数千ボルト出力します。当然ながらノイズがばりばり出ます。
cf.,「ESP32で ILI9341 TFT液晶を動かす」
https://qiita.com/nanbuwks/items/72503cf93c5f2ed0deeb
ノイズにより LCD モジュールの動作がおかしくなるのですが、このような場合適切にシールドなどを行い、更に筐体はアースに接続するのが効果的です。
そのうえで、写真真ん中か右のようなアース付きコンセントを使うのが望ましいです。
アース処理について、JIS で定められている感電保護クラスでいうと 写真左より、クラス0、クラス0I、クラス1 に相当することになります。アース付きコンセントを使うと筐体がアースが取れていることを期待できますが、しかしながら日本では一般的にコンセントは通常のこのタイプです。
今回の製品ではコンセントはクラス0相当でしたが、コンセントとは別に筐体にアース線接続を用意していたそうです。しかしながら実際の使用ではアース線をほとんど使用せず、飾りだったそうです。
さて、こういった機器はそもそもアースを取らなくてもいいのでしょうか?
今回の製品に類似したものとして、電子レンジがあります。電子レンジはマグネトロンを制御するために内部で 4kV 程度の高電圧を作っています。
そして、電子レンジはアース線がついていて、アースを取ることとなっています。これは日本の「JESCE005(2005)内線規程」によるものです。内線規程は法律に準ずるものとして扱われています。
しかしながらこのアースの目的は、湿気の多い場所や水気のある場所での感電防止のために行われています。ノイズ防止というわけではありません。なので湿気の多い場所や水気のある場所で使用する機器でない場合はノイズ防止のためにアース接続は期待できないことになります。
そもそも日本においてはアース接続のあるコンセント自体があまり期待ができません。
ノイズ波形
結構大きなノイズが乗っています。
オゾン発生機のトランスや無声放電電極の近くに筐体の一部として内部フレームがあり、それがノイズを拾っていました。
これが、制御回路に悪影響を及ぼします。
筐体アースと、制御回路のGND を結合すると影響を小さくすることができます。
今回は筐体と制御回路のGNDはネジ止めで電気的に結合してましたが、その締め付けが甘いと以下のように影響が出ました。
これは制御回路と筐体との電位差です。
筐体-筐体制御回路GNDの電位差:アース取らない時、制御回路のGNDと筐体が不十分な結合
これは筐体と制御回路のGNDを密に結合したら抑えることができます。
しかしながら、制御回路のGNDは大地アースと比較して振り回されている状態です。
アース-筐体制御回路GNDの電位差:アース取らない時、筐体制御回路のGNDと十分な結合
アースを付ける
アースを取った時、筐体とアースの間の電位差
制御回路の GND とアースとの間の電位差も同様に平坦となります。
このような状態をアースを取らずに行うにはどうしたらいいかな?
対策
今回のノイズ成分は10kHz を中心となっています。それをACラインに逃がすように考えてみました。
以下のような疑似アースを考えました。
ACラインを抵抗x2とコンデンサx2でつなぎ、中点を疑似アースとし、それを筐体に接続します。
交流ノイズをコンデンサでACラインに接続します。ACラインは屋外の低圧変圧器のころでB種接地されていますので、直接あるいはトランスコイル経由でつながっているB種接地で逃がす効果を使用します。
コンデンサは買い置きしていた TDK の 400V 耐圧の 1000pF のコンデンサ、 CD85-E2GA102MYAS を使用しました。
50/60Hz におけるリアクタンスは
1/(2π×50×1×10^-9)≒3.18 MΩ
1/(2π×60×1×10^-9)≒2.65 MΩ
で、100VAC でコンデンサで導通する実行電流成分 で 数十 μA となるので、この程度ならいいかな。
交流ノイズだけであればコンデンサだけでいいのですが、オゾンジェネレーターを動かしている時に静電気成分で帯電する場合も考慮しその成分を 1MΩで 逃がすようにしています。
まずはバラックでこのようなものを使い、効果を確認しました。
アースを使わず、疑似アース回路を取り付けた状態での筐体とアースの間の電位差です。
効果がありました。
基板を作って、これを取り付けることとしました。