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Obsidian MCPサーバー(Model Context Protocol servers)の使い方

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はじめに

Obsidianは多くのユーザーに愛用されている強力なナレッジ管理ツールですが、最近のLLM(大規模言語モデル)技術との統合により、その可能性はさらに広がっています。特にAnthropicが開発したModel Context Protocol(MCP)サーバーを活用することで、Claude AIをObsidianと連携させ、ナレッジベースをよりインテリジェントに活用できるようになりました。本記事では、Obsidian MCPサーバーの概要、セットアップ方法、具体的な活用方法について詳しく解説します。

MCPとは何か?

Model Context Protocol(MCP)は、Anthropicによって開発されたオープンプロトコルで、AIモデルに外部コンテキスト(情報源)へのアクセス権を与えるための標準化された方法です。MCPを通じて、AIモデルは以下のことが可能になります:

  1. 知識ソースへのアクセス(データベースやファイルシステムなど)
  2. ツール(プログラミング関数など)の活用

MCPサーバーは、これらの機能を提供するサーバーアプリケーションで、AIクライアント(Claude Desktopなど)からの要求に応じて様々なリソースやツールへのアクセスを仲介します。

Obsidian MCPサーバーの特徴

Obsidian MCPサーバーは、Obsidianのナレッジベース(通称「Vault」)とClaude AIを直接連携させるためのMCPサーバーです。Obsidianの基本的な特徴として、Vaultは単純にMarkdownファイルの集合体として機能しています。MCPサーバーを使うことで、Claude AIはこれらのファイルを読み取り、編集することができるようになります。

主な特徴:

  • Obsidianのノートの読み取り・検索
  • 新しいノートの作成
  • 既存のノートの編集
  • ノートの整理・管理
  • ノート間の関連性の分析

必要なもの

Obsidian MCPサーバーを利用するには、以下のものが必要です:

  1. Obsidian:ナレッジベースツール(https://obsidian.md/)
  2. Claude Desktop:MCPクライアントとして機能するデスクトップアプリケーション(注:Webバージョンでは現時点でMCPをサポートしていません)
  3. MCPサーバー:ファイルシステムMCPサーバーまたはObsidian専用MCPサーバー

セットアップ方法

1. Claude Desktopのインストール

まず、Claude Desktopをダウンロードしてインストールします。これはAnthropicの公式サイトから入手できます。

2. MCPサーバーの準備

Obsidianとの連携には、主に以下の2つの選択肢があります:

A. 公式のファイルシステムMCPサーバーを利用する

このサーバーはObsidian専用というわけではありませんが、ファイルシステムへのアクセスを提供するため、Obsidianのノートにもアクセスできます。

npxを使ってインストールする場合:

npx -y @modelcontextprotocol/server-filesystem

Docker を使用する場合:

docker run -i --rm --mount type=bind,src=/path/to/obsidian/vault,dst=/projects/vault mcp/filesystem /projects

B. コミュニティ製のObsidian専用MCPサーバーを利用する

様々な開発者がObsidian向けのMCPサーバーを開発しています。例えば:

  • obsidian-mcp(Steven Stavrakisによる実装)
  • obsidian-markdown-notes(一般的なMarkdownノートに対応)

GitHubから最新のサーバーをクローンしてインストールします。

3. Claude Desktopの設定

Claude Desktopの設定ファイル(通常は claude_desktop_config.json)を編集して、MCPサーバーとの連携を設定します。

ファイルシステムMCPサーバーを使用する場合の設定例:

{
  "mcpServers": {
    "filesystem": {
      "command": "npx",
      "args": [
        "-y",
        "@modelcontextprotocol/server-filesystem",
        "/path/to/obsidian/vault"
      ]
    }
  }
}

専用のObsidian MCPサーバーを使用する場合:

{
  "mcpServers": {
    "obsidian": {
      "command": "npx",
      "args": [
        "-y",
        "obsidian-mcp",
        "/path/to/obsidian/vault"
      ]
    }
  }
}

使用方法

1. Claude Desktopの起動

設定が完了したら、Claude Desktopを起動します。正しく設定されていれば、自動的にMCPサーバーも起動します。

2. Obsidianノートへのアクセス確認

Claude Desktopで以下のようなプロンプトを入力して、Obsidianノートにアクセスできるか確認します:

私のObsidianのノートにアクセスできますか?ノート一覧を表示してください。

正常に動作していれば、Claudeはあなたのノート一覧を表示するでしょう。

3. 基本的な使用例

ノートの検索と読み取り

「プロジェクト計画」というキーワードを含むノートを探して、その内容を要約してください。

新しいノートの作成

「週間振り返り」というタイトルの新しいノートを作成し、今週の振り返りテンプレートを記入してください。

既存ノートの編集

「タスクリスト.md」ファイルを開いて、「買い物リスト」セクションに「牛乳を買う」を追加してください。

4. 高度な活用例

インタビューの支援

例えば、インタビューの質問をObsidianノートに保存しておき、Claudeにインタビュアーの役割を担当させることができます。以下のように指示します:

「インタビュー質問.md」ファイルの質問を一つずつ私に尋ねてください。私の回答を「インタビュー回答.md」に記録してください。

ノートの整理と関連付け

私のObsidianノートを分析して、関連するトピックごとにグループ化し、リンク構造を提案してください。

情報抽出と要約

「会議ノート」フォルダ内のすべてのノートから、重要なアクションアイテムを抽出して一覧にしてください。

セキュリティと注意点

Obsidian MCPサーバーを使用する際には、以下の点に注意が必要です:

  1. アクセス制限:MCPサーバーに公開したくないファイルやディレクトリがある場合は、特定のディレクトリのみをアクセス可能にするよう設定しましょう。

  2. 読み取り専用モード:編集を許可したくない場合は、読み取り専用(roフラグ)でマウントすることを検討してください。

  3. プライバシー:個人情報や機密情報を含むノートにアクセス権を与える場合は慎重に行いましょう。

  4. バックアップ:Claudeがノートを編集できるようにする前に、重要なノートのバックアップを取ることをお勧めします。

トラブルシューティング

MCPサーバーが起動しない

  • Claude Desktop設定ファイルの構文エラーを確認します
  • ファイルパスが正しいか確認します
  • 必要なパッケージがインストールされているか確認します

Claudeがノートにアクセスできない

  • MCPサーバーが正常に動作しているか確認します
  • 指定したパスが正しいか確認します
  • パーミッションの問題がないか確認します

エラーメッセージの解析

エラーメッセージが表示される場合は、そのメッセージを分析することでトラブルの原因を特定できることがあります。多くの場合、パスの問題かパーミッションの問題である可能性が高いです。

まとめ

Obsidian MCPサーバーを使うことで、Claude AIとObsidianナレッジベースの連携が実現し、情報の検索、創造、編集、整理がよりインテリジェントかつ効率的になります。特に大量のノートを管理している場合や、創造的な作業を行う場合には、この連携は非常に強力なツールとなるでしょう。

現在はまだ発展途上の技術ではありますが、今後さらに多くの機能や使いやすさが向上していくことが期待されます。AIとナレッジマネジメントの融合によって、私たちの知識活用の方法は大きく変わりつつあります。

参考リソース

この記事が、Obsidian MCPサーバーを活用したい方々の参考になれば幸いです。技術の進化とともに、より効率的な知識管理と活用を目指していきましょう。

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