はじめに
先日公開した以下の記事では、データベースとしてOCI Base Databaseを利用し、Oracle WebCenter Content 14c(14.1.2.0.0)の環境をOCI上に作成しました
今回は、データベースとしてOracle Autonomous DatabaseのAutonomous Transaction Processing-Serverless (以降ATP-S)を利用し、Oracle WebCenter Content 14c(14.1.2.0.0)をインストール・構成する手順を紹介します
Oracle Autonomous Database - Serverlessについては、以下のスライドをご確認ください
この記事で紹介すること、しないこと
この記事では、ATP-Sのインストールや構成、WCCとの接続・設定に関するポイントのみを記載します。
Oracle WebCenter Content 14c(以降WCC)全体のインストール・構成の手順は、先日公開した記事をご確認ください
ATP-S利用時のポイント
データベースの作成
オリジナルの記事はこちら → 1.2 データベースの作成
ATP-Sインスタンスを作成します。ATP-Sインスタンスは、BaseDB作成時と同じくプライベート・サブネット(=プライベート・エンドポイント) 内に配置します。
ATP-Sをプライベート・エンドポイントで作成する場合のチュートリアルはこちら(↓)です。まずはその内容をご確認ください
今回は以下の条件で作成しました
- 基本情報
- 表示名: wcc14catp
- データベース名: wcc14catp
- Workload type: トランザクション処理
- Depolyment type: サーバーレス
- データベースの構成
- バージョン: 19c
- ECPU数: 2
- ストレージ: 20GB
- 管理者資格証明の作成
- ユーザー名: ADMIN
- パスワード: (条件を満たすパスワード)
- パスワードの確認: (条件を満たすパスワード)
- ネットワーク・アクセスの選択
- アクセス・タイプ: プライベート・エンドポイント・アクセスのみ
- 仮想クラウド・ネットワーク: wcc14cvcn
- サブネット: プライベート・サブネット-wcc14cvcn
作成されたATP-Sインスタンスwcc14catp
のデータベース接続をクリックします
クライアント資格証明(ウォレット)のダウンロード
から、ウォレット・タイプでインスタンス・ウォレットを選択し、ウォレットのダウンロードをクリックします
ウォレット(Wallet_wcc14catp.zip) がダウンロードされます。これは後の作業(RCUの実行、構成マネージャの実行)で利用します
接続文字列を確認します。WCCからの接続はTNS名=wcc14catp_tpを利用します。また、ポート番号が1522となっていることを確認します(Base DBの接続ポート番号は1521です)
ATP-Sインスタンスを作成したプライベート・サブネットプライベート・サブネット-wcc14cvcn
を開き、以下イングレス・ルールを1件追加します
これにより、パブリック・サブネットに配置したWCCインスタンスから、プライベート・サブネット内のATP-Sインスタンスにポート番号1522での接続が可能になります
スキーマの作成
オリジナルの記事はこちら → 4. スキーマの作成
Repository Creation Utility(RCU) を利用し、WCC14cに必要なデータベース・スキーマを作成します。
RCUでATP-Sインスタンスに接続する場合、前の手順でダウンロードした ウォレット を利用します。ウォレットをWCCインスタンス上に展開し、編集することで、RCU実行時に読み込めるようになります
ウォレットの展開と編集
WCCインスタンスにアクセスし、oracleユーザーに切り替えます。
% ssh -i ssh-key-xxx.key opc@XXX.XXX.XXX.XXX
$ sudo su - oracle
/home/oracle/config
配下にウォレットを格納するディレクトリを作成します。ディレクトリの場所や名前は任意ですが、今回は /home/oracle/config/atp/wallet
とします
$ cd /home/oracle/config/
$ mkdir -p atp/wallet
/home/oracle/config/atp/wallet
ディレクトリ直下に、ダウンロードしたウォレット(Wallet_wcc14catp.zip) をコピーし、zip形式ファイルを展開します
$ unzip Wallet_wcc14catp.zip
9個のファイルが展開されます。この中からsqlnet.oraとojdbc.propertiesの2つのファイルを編集します
$ ls
cwallet.sso ewallet.pem ojdbc.properties sqlnet.ora truststore.jks
ewallet.p12 keystore.jks README tnsnames.ora Wallet_wcc14catp.zip
$
sqlnet.oraを編集します。
DIRECTORY="?/network/admin"
を、ウォレット格納先のディレクトリ/home/oracle/config/atp/wallet
に変更します
$ cat sqlnet.ora
WALLET_LOCATION = (SOURCE = (METHOD = file) (METHOD_DATA = (DIRECTORY="/home/oracle/config/atp/wallet")))
SSL_SERVER_DN_MATCH=no
ojdbc.propertiesを編集します。最終行にSSL_SERVER_DN_MATCH=yesを追加します
$ cat ojdbc.properties
# Connection property while using Oracle wallets.
oracle.net.wallet_location=(SOURCE=(METHOD=FILE)(METHOD_DATA=(DIRECTORY=${TNS_ADMIN})))
# FOLLOW THESE STEPS FOR USING JKS
# (1) Uncomment the following properties to use JKS.
# (2) Comment out the oracle.net.wallet_location property above
# (3) Set the correct password for both trustStorePassword and keyStorePassword.
# It's the password you specified when downloading the wallet from OCI Console or the Service Console.
#javax.net.ssl.trustStore=${TNS_ADMIN}/truststore.jks
#javax.net.ssl.trustStorePassword=<password_from_console>
#javax.net.ssl.keyStore=${TNS_ADMIN}/keystore.jks
#javax.net.ssl.keyStorePassword=<password_from_console>
SSL_SERVER_DN_MATCH=yes
RCUの実行
RCUを実行します。ここでは、ATP-Sの設定ポイントについてのみ記載します
- Database Connection Details
ATP-Sの場合、Role=Normalでスキーマを作成します
ATP-Sは表領域管理を自動で行います。そのため、ユーザーによる表領域作成および削除はできず、デフォルトの表領域(DATA)と一時表領域(TEMP)をそのまま利用します。なお、デフォルトの表領域、一時表領域は必要に応じて自動的に拡張されます
WebLogicドメインの作成
オリジナルの記事はこちら → 5. WebLogicドメインの作成
Configuration Wizard(構成ウィザード) を利用し、ドメインを作成します。ここでも、ATP-S指定時のポイントについてのみ記述します
- Datasources
- Database Configuration Type
おわりに
データベースとしてATP-Sを利用した場合のOracle WebCenter Content 14c(14.1.2.0.0)をインストール・構成する手順のポイントについて記載しました
製品ドキュメント内にも記載がありますので、あせてご確認ください
RCU実行時
構成ウィザード実行時