Salesforceの重複レコードを一括マージ!「How to Merge Duplicates in Bulk」活用ガイド
はじめに
Salesforceを運用していると、時間の経過とともに重複レコードが蓄積されていくことは避けられません。
重複データはレポートの精度低下や業務の混乱を引き起こすため、定期的な整理が必要です。
しかし、Salesforceの標準機能でのマージ作業は1件ずつの手動対応が求められ、大量の重複レコードが存在する場合は非常に時間がかかります。
そこで本記事では、AppExchangeで無償提供されている 「How to Merge Duplicates in Bulk」 を紹介します。
このツールを使えば、大量の重複レコードを効率的に一括マージすることが可能です。
How to Merge Duplicates in Bulk とは
How to Merge Duplicates in Bulk は、CloudAnswers社が提供する AppExchange アプリです。
Salesforceのネイティブな重複ルールをベースに、複数の重複レコードを一括でスキャン・マージできる無償のツールです。
主な特徴は以下のとおりです。
- 無償(Free) で利用可能
- Salesforce の ネイティブ重複ルール と連携して動作
- 手動マージ と 自動マージ(Automerge) の両方に対応
- 取引先・取引先責任者・リードなど、重複ルールが設定されたオブジェクトに対応
Salesforce標準機能との違い
標準機能による重複マージの方法
Salesforce には標準で重複レコードのマージ機能が備わっています。手順は以下のとおりです。
- 対象オブジェクト(取引先・取引先責任者・リードなど)のレコード詳細ページを開く
- 「潜在的な重複」の通知が表示されていればクリック
- 「重複を表示」ボタンをクリックし、重複レコードのリストを確認する
- マージしたいレコードを選択(最大3件まで)し、「次へ」をクリック
- フィールドごとに保持する値を選択し、主となるレコード(プリンシパル)を指定する
- 「マージ」ボタンをクリックして完了
マージが完了すると、関連する商談・活動・タスクなどの関連レコードもすべてプリンシパルレコードに紐づけ直されます。
標準機能と How to Merge Duplicates in Bulk の比較
| 比較項目 | 標準機能 | How to Merge Duplicates in Bulk |
|---|---|---|
| 対象オブジェクト | 取引先、取引先責任者、リード、ケース | 取引先、取引先責任者、リード |
| マージ可能件数 | 1度に最大 3件 | 複数件を一括処理 |
| 操作方法 | 1件ずつ手動 | 一括スキャン → 一括マージ |
| 自動マージ | ❌ 非対応 | ✅ Automerge 対応 |
| 費用 | 無償(標準機能) | 無償(AppExchange) |
| 重複ルールの依存 | 必要 | 必要 |
| 大量データの処理 | 困難(工数大) | 効率的に処理可能 |
標準機能は「1件の重複に気づいたときに素早くマージする」用途に向いており、How to Merge Duplicates in Bulk は大量の重複を一気に解消したい場合に最適です。
How to Merge Duplicates in Bulk の導入方法
Step 1:AppExchange からインストール
以下のリンクから AppExchange のページにアクセスし、インストールを行います。
AppExchange - Potential Duplicates(How to Merge Duplicates in Bulk)
インストール時に、インストール対象のユーザー範囲(管理者のみ・全ユーザー・特定プロファイル)を選択できます。
最初は 「管理者のみ」 でインストールし、権限セットで必要なユーザーに付与する方法が安全です。
Step 2:権限セットの付与
インストールが完了すると、自動的に 「CloudAnswers Bulk Merge」 という権限セットが作成されます。
このアプリを使用するユーザーには、必ずこの権限セットを割り当ててください。
手順は以下のとおりです。
- 設定(Setup)を開き、クイック検索に「権限セット」と入力する
- 「CloudAnswers Bulk Merge」 をクリック
- 「割り当ての管理」ボタンをクリック
- 「割り当ての追加」をクリック
- 権限を付与したいユーザーを選択し、「次へ」→「割り当て」をクリック
Step 3:重複ルールの確認・設定
本アプリは Salesforce の重複ルール(Duplicate Rules) を利用して重複レコードを検出します。
事前に重複ルールと一致ルール(Matching Rules)が正しく設定・有効化されていることを確認してください。
重複ルールが設定されていないオブジェクトは、アプリのドロップダウンに表示されません。
How to Merge Duplicates in Bulk の使用方法
アプリの起動
App Launcher(アプリランチャー)を開き、検索ボックスに 「Bulk Merge」 と入力すると、アプリが表示されます。クリックして起動してください。
アプリを開くと、デフォルトで重複のあるオブジェクトが表示され、上部のドロップダウンからマージ対象のオブジェクトを切り替えることができます。
重複レコードの検索(Duplicate Record Search)
レコードが重複ルール作成前に登録された場合など、既存レコードが重複として検出されていないケースがあります。
このような場合は 「Run Duplicates Search」 ボタンをクリックすることで、全レコードに対して重複ルールを再評価できます。
⚠️ レコード数によっては、数分〜数時間かかる場合があります。処理中は「Refresh」ボタンで新しく検出された重複を随時確認できます。
手動マージ(Manual Merge)
- 一覧から重複レコードのグループを選択する
- 右上の「Merge Selected」をクリックし、「Review & Merge」を選択する
- 「Merge Duplicates」画面が表示される
-
プリンシパルレコード(Principal Record) を選択する
- プリンシパルレコードは、マージ後に残るレコードです。Salesforce ID や作成日などのシステム監査項目はこのレコードのものが引き継がれます
- フィールドごとに保持する値を選択する(例:正しい住所・電話番号・役職など)
- 「Merge」をクリックすると、重複レコードが1件に統合される
マージ完了後、不要な重複レコードは削除され、関連するすべての活動・タスク・商談等はプリンシパルレコードに紐づけ直されます。
自動マージ(Automerge)
比較画面を省略して、システムに自動でマージを実行させる機能です。大量の重複を素早く処理したい場合に有効です。
Automerge では以下のオプションを設定できます。
マスターレコードの選択基準
- Oldest:最も古い作成日のレコードをマスターにする
- Newest:最も新しい作成日のレコードをマスターにする
- Most Recently Modified:最終更新日が最新のレコードをマスターにする
テキストフィールドの結合
- 「長いテキスト」「リッチテキスト」フィールドについては、値を結合(Concatenate)するかどうかを選択できます
- その他のフィールドはマスターレコードの値が優先され、マスターが空白の場合は他のレコードの値が補完されます
例: 3件の重複レコードがあり、最も古いレコードにメールアドレスが未設定で、3件目のレコードにメールアドレスが存在する場合、Oldest(最古)をマスターに指定すると、マージ後はメールアドレスが3件目から補完された状態で1件のレコードとして残ります。
How to Merge Duplicates in Bulk のメリット
① 大量の重複を短時間で処理できる
標準機能では1件ずつ手作業が必要でしたが、本ツールを使うことで数百件の重複レコードを数分で処理できます。
② 無償で導入できる
AppExchange で無償提供されているため、追加コストなしで導入が可能です。
③ Salesforce ネイティブで動作
外部システムとの連携は不要で、Salesforce 内で完結します。重複ルールをそのまま活用するため、設定の整合性も保たれます。
④ 手動・自動の使い分けが可能
細かく値を確認しながらマージする「手動モード」と、素早く処理する「自動モード(Automerge)」を状況に応じて使い分けられます。
⑤ 関連レコードも自動で統合
マージ時に活動・タスク・商談などの関連レコードも自動的にプリンシパルレコードへ紐づけ直されるため、データの整合性が保たれます。
How to Merge Duplicates in Bulk の注意点
① 重複ルールの事前設定が必須
本ツールは Salesforce の重複ルールに依存しているため、重複ルールが設定・有効化されていないオブジェクトは検出・マージ対象になりません。
導入前に必ず重複ルールと一致ルールを確認してください。
② プリンシパルレコードの選択は慎重に
プリンシパルレコードの Salesforce ID はマージ後も引き継がれます。
外部システムと Salesforce ID で連携している場合は、どの ID を残すべきか事前に確認してから作業を行ってください。
③ Automerge は不可逆な操作
Automerge はシステムが自動判断してマージを実行するため、意図しないレコードがマスターになる可能性があります。
大量処理を行う前に、少数のレコードで動作確認をすることをお勧めします。
④ 重複ルール作成以前のレコードには Run Duplicates Search が必要
重複ルールが作成される前に登録されたレコードは、自動的には重複として検出されません。
「Run Duplicates Search」を実行して、既存レコードに対して重複評価を行う必要があります。
⑤ 処理時間はレコード数に依存する
Run Duplicates Search や大規模な Automerge は、レコード数によっては長時間かかる場合があります。
業務影響が出ないよう、メンテナンス時間帯や負荷の少ない時間帯に実行することを検討してください。
まとめ
How to Merge Duplicates in Bulk は、Salesforce の重複レコード問題を効率的に解消できる強力な AppExchange アプリです。
標準機能では手間がかかっていた大量の重複マージ作業を、このツールを活用することで大幅に効率化できます。
無償で導入できる点も大きな魅力で、重複レコードの整理が課題になっているすべての Salesforce 組織にとって試す価値のあるツールです。
導入の際は以下の点を押さえておきましょう。
- 重複ルール・一致ルールを事前に正しく設定・有効化しておく
- 権限セット「CloudAnswers Bulk Merge」を対象ユーザーに付与する
- Automerge を使用する前に少数レコードで動作確認を行う
- プリンシパルレコードの Salesforce ID が外部連携に影響しないか確認する
データの品質はシステム全体のパフォーマンスに直結します。定期的な重複チェックと整理を習慣化し、クリーンな Salesforce 環境を維持しましょう。








