はじめに
この記事は「新人にAIを使わせるべきか」というよくある議論に対して、
エンジニア1年目の自分が AIを使っていた時期 と 使わなかった時期 を比較し、
どのような変化があったのかを実体験ベースでまとめた成長記録です。
新人にAIは使わせない方がいいという意見がある一方で、
成長が速くなるのでAIは積極的に使うべきだ、という意見もありますが
今回、この議論について実体験から感じた結論を書いてみます。
※ちなみに本内容にてProgate BARに登壇しました
【増枠】AIでスキルとキャリアを加速する!- Progate BAR 若手エンジニア向けLT&交流会
https://progate.connpass.com/event/373527/
元々AIヘビーユーザーだった
弊社では幸運にもめちゃくちゃAIに積極的で、あらゆるAIを用いて開発をしていました。
類にもれず、自分自身も入社してから以下のようなAIを触りながら開発していました。
- ChatGPT
- Claude
- Gemini
- Cursor など
「分からない → 聞く → そのまま実装」という流れで、
とりあえず動くものはかなり早く作れるようになりました。
しかし、AI頼りの開発の実態
当時の自分のコードを振り返ると、問題だらけでした。
AIが書いた処理でこのようになっているコードを量産している人いるのではないでしょうか。
- 命名がおかしい(ファイル名・関数名)
- viewファイルにロジックをべた書き
- 1コミットで差分1000行
- 既存のコード規約と合わない古い実装
AIを神様扱いしていた
これはもちろん自分が投げたプロンプトや、Cursorのrulesが甘いという側面ももちろんあることながら、1番問題だったのはAIを使う意識のところだったのだと思います。
当時自分はAIが出力したコードを
「これが正解なんだ」
と疑わず、そのまま使っていました。自分ではコードを書かず(書けず)、ひたすらAIが出力したものを享受していました

結果どうなったか
こんなコードを書いてしまっていたからこそ
- 先輩からの指摘が大量に来る
- でも どこが悪いのか分からない
- 修正 → 指摘 → 修正の無限ループ(コメントが830ついたことも...)
結果、スピードを速めるために使ったはずのAIがめちゃくちゃ手戻りが多く、むしろ時間がかかってしまっていたのです。
AI禁止令が出たプロジェクト
そこで、今取り組んでいるプロジェクトでは
「AIによるコード生成は禁止」
というルールが出ました。
正直、最初はかなり不安でした。
ところが意外にもこれが結構良い結果をもたらしてくれました。
AI禁止で起こった変化
① 自分の頭で考えるようになった
- なぜこのモジュールに実装するのか
- なぜこの責務なのか
を、自分の言葉で説明できるようになりました。
(今までできなかったんかいという話ですが、これがAIを使っていると分かってなくても出来てしまうので説明できなかった)
② 基礎体力がついたと評価された
- AIを使わなくても動くものを作れる
- MVC構造やコントローラーの役割を肌で理解できた
「コードが書ける」ではなく
「考えて設計できる」感覚が身についた気がします。
③分からなかったら調べる
AIに聞く前に、まず調べる。
- 公式ドキュメント
- 既存コード
- フレームワークの思想
知識のインプットの底上げができました。
そして今までとは違ったAIの使い方ができるように
これまでAIが出力したものを享受するだけだったのが、自分で手を動かして分からなかったら調べるという非常に健全な使い方に変わりました。
AIが出した実装方針に「このコントローラー不要では?」と自分でツッコミを入れることもできるようになってきました。
さらに最近よくやっているのが、最初から完璧なコードを出させないことです。
- 概要設計なのか
- 詳細設計なのか
- デバッグなのか
フェーズを明確にしてAIに指示するようにしています。これによりAIが最初から大量の差分を出力することなく、フェーズに応じて最適な分量の出力ができるようになってきました。
まとめ
- 一度AIを捨てて、自分の頭で汗をかいた経験が結果的に AIを最強の道具にしてくれた感じです。
結論、新人ですがこれからも めちゃめちゃAIは使います。
ただし、
最後に責任を持って意思決定するのは自分
この意識だけは忘れずにいたいと思います。
おわりに
同じように
- AIに頼りすぎて不安な人
- 自分の実力が分からなくなっている人
の参考になれば嬉しいです 🙌
