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フレキシビリティを高めるには「漸進性(スモールステップ)」が大事

Last updated at Posted at 2022-11-28

北國フィナンシャルホールディングス
デジタルバリューの ナガイです。

このQiitaでは、読んでくださった方と共に「アジャイル」に対する解像度を高め、
アジリティを育んでいけるよう “気づき” と “再現性” を大切にコラム形式で書いていきます。

おさらい

前回

という記事を投稿。
要約すると

🐍 アジリティを考えたときにフレキシビリティ(柔軟性)は1つの軸になる
🐍 思い込みで用途にまで干渉するような 機能的制約を作らないことは大事
🐍 プロダクトのフレキシブルさは重要 そのために人やプロセスがフレキシブルでありたい

というような内容でした。
で、今回はその続きで「じゃあそのフレキシビリティを高めるためには具体的にどうするの?」です。

結論

タイトルの通りではあるのですが、以下の通り。

📌 漸進性(スモールステップ)を意識すると自然と細分化が進む
📌 それによって手段や目的の「ムダ」と「本質」を抽出しやすくなる
📌 漸進性(スモールステップ)はプロセスにおけるフレキシビリティそのもの
📌 結果、フレキシビリティを持ったプロダクトが生まれやすくなる

それではひとつひとつ考えていきます。

漸進性?スモールステップ?

まずは「漸進性」や「スモールステップ」という言葉の意味から。

漸進性

”漸進性” でググると

(急がないで)段階を追って少しずつ進んで行くこと。

と、ありました。
また筋トレ界隈で「トレーニングの3つの原理と5つの原則」というものが提唱されており沢山ヒット。この中に ”漸進性” の項目が。

4.漸進性の原則
「コツコツ、焦らず少しずつレベルアップすることが大切」という原則です。運動強度・時間・頻度・技など急に激しく、難しいものに挑戦するのは怪我など危険を伴います。少しずつ順を追って、段階的に育てる力は失われにくく、適切に体を鍛えることができます。(※引用:トレーニングの3つの原理と5つの原則とは?

段階、定着、着実 みたいなところにフォーカスしています。大切ですね。

スモールステップ

次に ”スモールステップ” でググると

スモールステップとは、目標を細分化して達成を目指す手法のことです。大きな目標を設定する際に、圧倒されてしまったり難しいと感じたりして、途中で挫折することが考えられます。そこで、目標達成までの過程を短く区切り小さな目標とすることで、最終目標に確実に近づいていくことを可能にする考え方です。(※引用:スモールステップとは目標を細分化して達成を目指す手法

「スモールステップ」とは、目標を細分化して簡単な内容から小刻みに達成していくことで、最終目標に近づいていく育成手法です。アメリカの心理学者バラス・スキナー氏によって提唱されました。当初は教育現場や心理療法に使われていた手法ですが、現在では子育てから人材開発まで、幅広いシーンに応用されています。(※引用:スモールステップとは何?わかりやすく解説 Weblio辞書

とてもわかりやすい。心理的にもきちんと段階を作り達成率を高めることの大切さが伝わりますね。先生がバックフリップ(バク宙)の動きを分解して動きを説明し 生徒がひとつひとつ確実にコツを掴んでいくショートムービーを思い出しました。

※ ↓↓↓ 動画自動再生に伴う 音声・音量にご注意ください ↓↓↓ ※

こういうことですよね。
バックフリップを覚えたこともそうですが、スモールステップという再現性のある大切な手段を体感したことで、この生徒さんの未来すら大きく変えてしまっているように、私は感じています。

ただ前に進むだけが「漸進性」の強みではない

🍇 スクラムでは漸進性と併せて “インクリメンタル” という言葉もよく登場しますがここでは割愛します

本コラムでは「漸進性 ≒ スモールステップ」としますが、上記の検索結果だと人の心理まで考慮している分 スモールステップの方がアジャイルの価値観に近い印象。ただどちらにしても一つ一つ積み上げて確実に目標を達成していく大切さにフォーカスしています。これを「① 進みやすさ(推進力)」としてみます。

漸進性やスモールステップには他にも大きな強みがあります。それが「② 気付きやすさ(検知力)」と「③ 動きやすさ(即応力)」です。
小さく刻むことで進みやすくなるだけでなく、状態確認やそれに応じた対処がしやすくなります。

「気付きやすさ」と「動きやすさ」の必要性

次に、
なぜそういう強みを持つのかの前に、そもそもなぜ「② 気付きやすさ」と「③ 動きやすさ」が必要かということを。

上記の通り「① 進みやすさ(推進力)」は 1つの決まったゴールと順路を前提に解説されていました。 ですが、これが仕事となると話がややこしくなります。例えば、

🌂 そもそもゴールや順路を決めていく必要がある
🌂 事後の気付きで仕事は増えるので、都度取捨選択と優先度調整を行う
🌂 不確定要素が多く一度決めたプロセスを頻繁に見直す
🌂 複数プロダクトが同時並行 ゴールが1つじゃないケースもある

人に目を向けると

👨‍👩‍👦 一人ではなくチーム/組織で進める
👨‍👩‍👦 関係者に協力を仰いだり相談連携しつつ進める
👨‍👩‍👦 メンバーや関係者も入れ替わったり変化していく
👨‍👩‍👦 スキルや理解 価値観や優先度 気持ちにバラつきがある

など。
「自分一人だけがそれに集中し階段を一歩一歩登っていけば良い」といったシンプルな話ではありません。“諸事情” がグンと増えます。

その仕事が不確実であればあるほど手探りでスタートし、それが故に後から土台の脆さが露呈し慌てて補正を掛けるというのはよくある事ではないでしょうか。関わる人や組織・システムやビジネスの数だけ複雑になり想定できていないことがボロボロと出てくるため、一度決めた事でも適宜変化させていく必要性と難しさがあります。

そしてこれがさらに重要なのですが、上記のことをどれだけそのことを理解していたとしても

🙈 変化の必要性に気付けない
🙈 変化の必要性に気付けたが、動ける状態にない

だと、意味がなくなってしまう訳ですね。

🐵 変化の必要性に気付きやすいし、動きやすい状態にもある

この状態に持って行き、そして実際の調整に繋げて初めて、変化に対する理解に意味を持たせることができる。
これが「② 気付きやすさ(検知力)」と「③ 動きやすさ(即応力)」の必要性です。

「細分化」が核になる

漸進性やスモールステップの根本は “小さく分ける” こと、すなわち「細分化」。
細分化は3つの強みの “源” です。

細分化による「気付きやすさ」(検知力)
🧐 作業の進捗を確認しやすい
🧐 作業を見積しやすい
🧐 作業の共通部を見つけやすい
🧐 作業のムダを見つけやすい
🧐 作業を取捨選択しやすい
🧐 作業を比較しやすい
🧐 作業を計測しやすい
🧐 作業の問題を特定しやすい

細分化による「動きやすさ」(即応力)
😉 作業の優先度をつけやすい
😉 作業の優先度を変えやすい
😉 作業の進路を変えやすい
😉 作業を中断しやすい
😉 作業の進捗を説明しやすい
😉 作業のサンクコストを抑えやすい
😉 作業の失敗を軽量化しやすい

細分化による「進みやすさ」(推進力)
😀 作業を具体化しやすい
😀 作業を管理しやすい
😀 作業を共有しやすい
😀 作業の認識を合わせやすい
😀 作業を分担しやすい
😀 作業のリズム・集中力が作りやすい
😀 作業の目標達成がしやすい

などなど(※ “作業” は “計画” など色々な言葉と置き換えれる)

メリットばかりで良いように見えますが、とは言え何も考えず細やかに、検査、検討、整理、調整を行うとするならば、それ相応のコストは掛かるわけで、過度に柔軟性を追い求めてないかや、その効率性も強く問われます。
ただ、何をもって “速い” と定義するかも含め「刻んだら遅くなる」といった単純な話ではありません。色んな観点がありますが「進みやすさ(推進力)」を例にすると、細分化できればリズムや集中力をキープしやすいので上手く適用すれば確実に速くなったりもします。時間管理術の「ポモドーロ・テクニック」 なども有名ですよね。

また、漸進性を意識(細分化)せず上記メリットが全般的に低下していくとすると、ものすごく危なっかしく感じないでしょうか。速い遅いではなく「刻むことで全体的な効率化を図れる」という風に捉えると腹落ちしやすいかなと思います。

🍡 「タイムボクシング」や「パーキンソンの法則」についてもまたテーマにしてみたいと思います

漸進性(スモールステップ)とフレキシビリティ

長くなりましたが、表題の件について。
これは 前回記事 の抜粋ですが、

サービス提供側の狙いで(思い込みで)「ユーザーはこう動くはずだ!」と、用途にまで干渉するような機能的制約を作らないということが、フレキシビリティに繋がるということですね。

最初はやや人やプロセスなどにフォーカスしていましたが、上記例をはじめとするサービスピボットに着目すると「プロダクト自体にアジリティ/フレキシビリティを持たせれるか」どうかが重要という事がわかりました。そしてそれを支えるためにこそ、人やプロセス(体制・役割や立ち回り)もフレキシブルであるかどうかが重要 だと。

結論、ここにあるように「漸進性(スモールステップ)」は プロセスにおけるフレキシビリティそのもの だと言えます。

もちろんプロダクトのフレキシビリティを得る手段は他にもあるかと思いますが、漸進性(スモールステップ)は、ムダと本質に気付きやすいとてもフレキシブルなプロセス(立ち振る舞い)であり、目的達成のための手堅い具体策だということは、ここまでの考察だけで十分説明になっているのではないかなと思います。

「フレキシブルなプロダクト」を創るのはあくまで自分たちですが、「フレキシブルなプロセス」がそれを助けてくれるため

🙂 フレキシビリティを高めるには「漸進性(スモールステップ)」が大事

ということです。

まとめ

今回、フレキシビリティというキーワードを基に漸進性やスモールステップを考えてみた結果、

📌 漸進性(スモールステップ)は「進めること」に長けている
📌 仕事においては変化に対してに「気付きやすい」「動きやすい」も重要
📌「細分化」が検知・即応・推進、この3つの一連性を強く後押しする
📌 漸進性(スモールステップ)はプロセスにおけるフレキシビリティそのもの
📌 漸進性(スモールステップ)がムダと本質を抽出し全体のフレキシビリティを高める

ということがよくわかりました。
ただそれ以上に、漸進性やスモールステップがもたらす恩恵というのは大きくフレキシビリティの向上だけで語るには余りある ということも。少しモヤモヤしているので次回テーマは敢えて決めずに終えますが、何はともあれこの記事を書く前と後では「漸進性」や「スモールステップ」の解像度がずいぶんと上がり、とても大きな気づきを得れたので結果オーライといたします。ではまた次回。

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