はじめに
自己紹介
2020年に文系新卒として入社し、現在6年目のエンジニアです。 業務ではプロジェクトリーダーやテックリードとしてWebシステムの開発を担当しています。
受験動機
システム設計のスキルを体系的に整理し、要件定義や設計を主導するアーキテクトとしての視座を高めたいと考え、2025年度のシステムアーキテクト(SA)試験を受験しました。 結果、無事に一発合格することができました。本記事では、学習の過程で得たノウハウや、特に苦労した午後試験の対策について共有します。
「実務経験はあるけれど、論述・論文試験に苦手意識がある」という方の参考になれば幸いです。
試験の結果
午前Iは、以前合格した応用情報技術者試験により免除でした。
使用した教材・ツール
午前II
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『情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・午前Ⅱ』
システムアーキテクト向けの問題を5周して暗記しました。特別なことはせず、本書の推奨する方法を愚直に実行しました。
午後I
IPA公式の過去問題(過去10年分) 組み込み系を除くすべての問題を解きました。
午後II(論文)
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『システムアーキテクト 合格論文の書き方・事例集』
プロジェクトマネージャ試験の際も同シリーズで一発合格できたため、絶大な信頼を置いている一冊です。
その他副読本など
後述しますが、日経クロステックについては論文のネタ集めのために購読しました。普通に勉強になるので現在も購読を続けています。
『ITエンジニアのための【業務知識】がわかる本』 については、私が学習していた時の最新版は第5版で、現在第6版が発売されています。
これに限らず、参考書や資料は常に最新のバージョンを使用することを強く推奨します。
※丁度会社の研修がありTACの対策講座を受講できたのですが、自分の学習スタイルに合わず全く使いませんでした。。。スミマセン。。。
午後I試験の対策
基本方針
上述の通り、過去問を10年分解きました。
単純に解くだけでなく、正解に近いことが書けた問題も含めて「なぜそれが正解になるのか?」を完全に理解できるようになるまで復習をしました。
午後Iは「国語の問題」か?
よくSNS等で 「午後Iは国語の問題(読解力だけで解ける)」 という言説を目にしますが、実際に10年分の過去問を解いた私の実感は異なります。
確かに3割程度は純粋な読解力で得点できる設問もありますが、残りの7割は「アーキテクトとしての引き出し」がなければ正解に辿り着けません。
- 過去問10年分で「パターン」を体に叩き込む
「この課題には、このやり方で応える」という定石を10年分のアウトプットを通じて定着させました。これにより、問題文の行間に隠された「設計上の意図」を察知できるようになりました。 - ドメイン知識を補完する
読解だけで解こうとすると、知らない業務用語やドメイン特有の制約が出てきた瞬間に思考が止まってしまいます。私は知識が不足していると感じるたびに『ITエンジニアのための【業務知識】がわかる本』を熟読しました。本来の目的は午後Ⅱのネタ集めでしたが、毎日の空き時間に日経クロステックの最新記事を眺めていたことも有効だったと感じでいます。業務知識という「前提条件」が頭に入っているからこそ、問題文の意図が正しく理解できるというのが私の持論です。これは単なる国語力ではなく、エンジニアとしての知識量に裏打ちされた「専門的な読解」だと思います。
午後II試験の対策法
基本方針
上述の通り、『システムアーキテクト合格論文の書き方・事例集』 を使用して論文の書き方を身につけました。基本的にはこの本に書かれていることに全て従って学習した形になります。文章作成のノウハウについても、この本に書かれていることに従うこと以外、何か特別にやったことはありません。
強いて言えば2時間で書き切るための感覚と文章構成の基本を身につけるため、サンプル論文を5本くらい写経しました。文章構成についてはメイン著者の岡山先生の論文を参考にすると良いかと思います。どのサンプルでも構成が一貫しており、論理的な文章をある種機械的に作成できるような工夫がされているからです。
上記以外に自分なりに工夫した点としては、「過去問分析」「ネタ集め」 の2点になります。それらについて以下に記載します。
過去問分析
IPAから配布されているシステムアーキテクトの午後Ⅱの過去問全てを熟読し、どのような問題がどのような切り口で出題されるのかについて自分なりに分析しました。
またシラバスにも目を通し、どのような能力が問われているのかの把握にも努めました。
DX・最新技術、アジャイル、バッチ処理など様々な切り口で出題されますが、私なりの分析結果は以下の通りです。
- SOE/SOI/SORの3つの切り口で問題を分類することができる、論文ネタはそれぞれ1つずつ用意すれば良い。
- SOE:DX、アジャイル開発、顧客接点など
- SOI:データ分析など
- SOR:バッチ処理など
- 最近の傾向ではDXやアジャイル開発など、SOEの切り口で出題されることが多い。
- これまでマイクロサービスアーキテクチャやデータ分析基盤の構築について出題されたことはないが、DXの裏で語られることが多いため、今後出題されないはずがない。SOEとSORは表裏一体不可分なので、DXの文脈でのSORに関する出題も十分あり得る、例えば分散データベースを使用したシステム設計やレガシーDBからの移行など。
結果としてこの分析が大当たりし、2025年度はデータ分析基盤の構築、データ移行について出題されました。
- 2025年度午後II問1:「複数の情報システムのデータを収集する必要がある指標の提供について」)
- 2025年度午後II問2:「現行システムと新システム間の差異を踏まえたデータ移行について」)
ネタ集め
過去問分析の結果から論文ネタ集めをしました。実はこれが一番大変でした。
最初は大手SIerのコーポレートサイトから開発実績を読んでみたり、生成AIにネタ出しをしてもらったりしたのですが、どうも内容が微に入り細を穿つ感じになっており、論文向きではないなという印象でした。
色々と探ってたどり着いたのが日経クロステックの連載「ケーススタディー」でした。
ケーススタディーは「企業の課題をITでどのように解決したのか」「どのような苦労した点があり、どのように打破したのか」といった内容が主に書かれており、システムアーキテクトの論文で問われている内容に近く、まさに論文ネタの宝庫でした。
読むだけでも勉強になりますし、内容から論文ネタをモジュール(「〜という問題があった。そこで〜を実施した。理由としては〜だから。」の集まり)として抽出するのに最適です。
モジュールをたくさん集められれば、初見のテーマでも「これはあの記事に書いてあった手法を使って書けるな」となるはずなので、論文に困っている受験生の方は日経クロステックの購読を強くお勧めします。
また、DXに関連する内容の出題頻度が高いという傾向から、IPAが公開している最新のDX白書(DX動向)にも目を通しました。DXに対して企業がどのような課題を持っており、IPAとしてはどのようなアプローチをとるべきだと考えているのかが書かれているため、DX関連の問題に対するIPAの「解答」を知ることができます。
その他やってよかったこと
- iPadを購入したこと
- 過去問を解くには問題を印刷しなければならないわけですが、かさばる・印刷代がかかる・終わったらゴミになる、と良いことがなかったため、自己学習用に思い切って13インチのiPad AirをApple Pencilと一緒に購入しました。GoodNotesを使えばノートも作れるので、今でも愛用しています。
- 学習のために早起きの習慣ができたこと
- 平日朝早く起きて2時間勉強し、仕事終わりに2時間勉強する習慣が身につきました。今でも続いています。
おわりに
持論ですが、資格は取って終わりではなく、ここで得た引き出しを日々の開発現場に還元し、より価値のあるシステムを構築していくことが、本当の意味での「合格」だと思っています。
この記事が、同じように上流工程を目指すエンジニアの皆様の刺激になれば幸いです。
