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2025年のAI施策振り返りと2026年に向けて

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はじめに

こんにちは、トグルホールディングスCTOの久森です。
toggle Advent Calendar 2025の1日目として、私からはトグルホールディングスが2025年に取り組んだAI施策を振り返ります。

なぜ今、AIなのか

トグルホールディングス(以下、トグル)は、「つくる・かえる・かわる」を掲げ、不動産・建築・金融など、これまで“属人的知”や経験に大きく依存してきた産業を、テクノロジーの力で根本から変えることを志しています。とりわけ不動産の領域では、土地評価、まちづくり、流通、マッチングなどの判断が、長年「人の勘」や「経験」によって行われてきました。しかしその結果として、不透明性やばらつき、そして非効率性が産業全体の構造上のボトルネックとなっていたのです。

一方で、世界のテクノロジー業界では、ここ数年――特に 2023年以降――急速に生成AIが進化を遂げ、社会や産業の基盤を再考させる流れがきています。OpenAI をはじめ、Anthropic、Google といった主要プレイヤーが開発する大規模言語モデル(LLM)や、AIエージェント/マルチモーダル AI の進化は、企業の業務効率化、データ分析、自動生成、意思決定支援など、これまで人手と時間を要していた多くのプロセスを劇的に変えつつあります。

こうしたグローバルなAI革命のうねりは、不動産や建築といった“古く硬い”産業にも、いよいよ変革のチャンスをもたらすとトグルは考えています。私たちが目指すのは、特定の専門家に依存する属人的知ではなく、データとアルゴリズムによって再現可能な “知のインフラ” を構築すること。独自開発の AI 技術を用い、不動産にまつわる複雑な判断や分析を自動化・標準化することで、「誰でも」「いつでも」「同じ品質で」産業に関われる基盤を作る――。これは、不動産を起点とする変革ですが、その先には、他の産業や社会全体の“非効率”“不透明性”を打破する可能性があります。

そして、2025年はまさにその第一歩。これまで属人的で断片的だった作業を、データと自動化で再構築し始めました。その結果、不動産の領域にとどまらない、新しい可能性が開かれつつあります。

トグルのAI前夜 - 人と組織の土台づくり

本格的にAIやデジタル変革に踏み出す以前に、まず取り組んできたのは「人」と「組織」の基盤づくりでした。AIを使って不動産/建築/金融の産業を変えるには、高度な技術力と、それを支える組織文化が欠かせない。トグルはそこにまず手をつけたのです。

トグルのエンジニア組織づくりは2023年から始まりました。それまでは社内にはエンジニアがおらず、私ともう1名の計2名からスタートしました。
まずは無名な会社でも「話を聞いてもいいか」と思ってもらえるように開発基盤を整備し、その内容を「Engineering Handbook」として公開し、価値観・勤務制度・開発環境・オンボーディング・研修などの「どう働くか」「何を大切にするか」を知ってもらうことからスタートしました。
単にHandboookを書いただけではなく、プロダクト開発の実際の技術スタックがどうなっているかや、開発に取り組むにあたってどのようなツールをセットアップするかなども細かく書いたことで、たとえ異業種や異なる技術スタックから来た人でも、トグルの“開発基盤”を知った上でスタートできる環境を整えることができました。

このようなところから始めたのは、ただ「エンジニアを増やす」「人を雇う」だけではなく、以下のような狙いがありました。

  • 不動産・建築という、そもそも「知っている・関心のあるエンジニア少ない」領域においては、ドメイン知識 × 技術知識 × チームとしての協調が必要。個人の裁量に頼るだけでは、再現性やスケール性が出ない。
  • ツールやAIはただ導入すればいいというものではなく、適切に使うための組織文化と共有の土台がなければ、現場で活かせない。
  • 新卒/中途や多様なバックグラウンドをもつ人材を受け入れつつ、全体として一定のクオリティとバリューを維持するためには、「明文化された行動指針」や「学習のための環境」が不可欠。

このようにして、トグルは「AIを使って産業を変える」というビジョンを具現化する前に、まず「人と組織」の基盤を固めてきました。
この土台があってこそ、次の章で触れるような 2025年の施策を有効に進められたのだと私は考えています。

2025年の主なAI施策

そうした背景を踏まえ、2025年の主な取り組みを紹介していきます。

AIを活用した人事評価制度運用

トグルでは、Slackを始めとした社内情報システム基盤と連携した独自の人事評価システムを構築しています。このシステムにより、従来の人事評価に必要だった手作業の工数を約 99% 削減、評価期間を約 40% 短縮 することに成功しています。

具体的には、日々の業務ログ(Slackのやりとり、タスクの履歴など)をAIが分析し、評価に必要なデータを自動集計・整理。これにより、評価シートの準備、配布、集計、集計後の見直しや入力確認など、人手を介した作業の多くが無くなり、評価プロセス全体が大幅に効率化されました。

さらに、このシステムは「実態に即した評価」「納得感のある評価」を目指すものであり、単なる“工数削減ツール”にとどまらず、公平性・透明性のある組織運営を支える基盤にもなっています。

この取り組みによって、評価業務が効率化されるだけでなく、結果としてメンバーの負荷軽減やフィードバックの質を高めることにも繋がりました。

新卒研修におけるAIスキル育成

また、2025年度の新卒研修においては、AIスキルを重点的に学ぶプログラムを作り、実施しました。

研修の内容としては、Google Workspace、生成AIツール、情報収集・レポート作成支援ツール(例: NotebookLM)、プロンプト設計(プロンプトエンジニアリング)、OODAループやECRS原則などを使った業務効率化・意思決定の最適化など、多岐に渡ります。これにより、新卒メンバーが入社直後から「AIを使った仕事のやり方」を身につけた状態で配属されるようにしました。

また、この研修はエンジニアだけでなく、ビジネス部門や他職種も対象としており、組織全体でAIを “共通言語” にする土台づくりを目指しています。これにより、ボトムアップでAI活用が進みだしています。

AI開発基盤の強化

全エンジニアに対して、NVIDIA DGX Sparkの配備を進めています。これにより、自社内でAI推論やモデルチューニングだけでなく、学習についても無制限かつ高速に行える環境が整備されました。

このインフラ整備により、従来は外部API利用やクラウド環境への依存がネックになっていたAI開発の制約を取り除き、「自社業務に最適化された独自AIモデル」の開発やカスタマイズ、実験・改善を内製で高速に回せるようになりました。

この導入の結果がどうだったのかは今後観測していく事になりますが、単にAPIを叩くだけの開発ではできないことも可能になった組織がどうなっていくのか、今後アウトプットする場を作っていきます。

OpenAIとの業務連携

DGX Sparkの導入はともすると「ローカルLLMだけで頑張ろうとしているの?」という誤解を生みそうにも思われますが、我々はそうした「外部 or 内部」のような対立ではなく、課題解決につながることであれば積極的に取り組んでいく姿勢を持っています。
2025年10月、トグルはOpenAIとの業務連携を本格化することを発表しました。
これは単に「OpenAIのAPIを使って開発する」というものではなく、これまで不動産領域を主として取り組んできたトグルが「他の領域の課題解決にも進出していく」ことを念頭においたものです。

OpenAI Dev Day Tokyoでも、大企業に並んで「OpenAIを大規模に活用する企業例」として取り上げられるなど、徐々にその取り組みも表に出てきつつあります。
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エンジニア観点でいうと、OpenAI社の中の人とやり取りをしながらプロダクト開発に取り組む体制ができたことで、より高いレベルでAIを活用したプロダクト開発ができるようになってきたというところが大きなポイントですね。


以上のように、2025年は「AIを単なる補助ツールの導入年」ではなく、「AIを事業の核に据える基盤整備の年」と言える取り組みをしてきました。

2026年に向けて

2025年はプロダクト展開、AI基盤の整備、組織のAIスキル獲得、そして協業など、多くのことを同時並行で進めた年でした。

2026年は、これらの“種”をさらに育て、しっかりと“実”に結ぶフェーズです。具体的には、以下のような展開を見据えています

  • 不動産・建築にとどまらず、私たちが培ってきた「データ × ドメイン知 × AI」のレシピを、産業横断的に応用する試み。市場分析、マッチング、投資判断、情報解析など――さまざまな分野への波及を意識。
  • 最先端のAIツール・モデル(たとえば、OpenAIの最新開発基盤やDGX Spark)を活用したプロダクト実装を進める。
  • 組織と文化をさらに成熟させ、“AIを使える人材”“AIを当たり前に使う文化”を社内外に広げ、長期継続的な成果創出の体制を整える。

明日以降は、この挑戦に取り組むエンジニアチームの皆さんがめいめい取り組んでいることをアウトプットしていきますので、ぜひご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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