はじめに
前回
TypeScriptに入門するうえで、最初に出会うのが「基本の型」である。
特に number や string といったプリミティブ型は、あらゆるデータ構造の土台として機能する。
この記事では、TypeScriptの基本型について、JavaScriptとの違いや設計上の意味を丁寧に解説する。
基本の型とは?
TypeScriptでは、主に次のような基本型が存在する。
| 型名 | 説明 |
|---|---|
number |
数値全般(整数・小数) |
string |
文字列 |
boolean |
真偽値(true/false) |
null / undefined
|
空値・未定義(オプショナル型で使用) |
symbol |
一意な識別子(高度な用途) |
bigint |
任意精度の整数(2⁵³以上の数) |
JavaScriptではこれらを自由に使えるが、TypeScriptでは 「変数にどの型が入るかを宣言」 することで、
プログラムの意図を明示できる。
型アノテーションの基本
変数や関数の引数に型を指定するには「:(コロン)」を使う。
let age: number = 28;
let name: string = "Yuki";
let isAdmin: boolean = false;
型推論も効くが、明示することで 「どう使ってほしいか」 を読み手に伝えることができる。
関数への型指定
function greet(name: string): string {
return "Hello, " + name;
}
このように、引数・戻り値の型を明示することで、
「この関数は文字列を受け取り、文字列を返す」と一目で分かるようになる。
これはコードが“自己説明的”になるという大きな利点である。
anyとの違いを体感する
let value: any = "hello";
value = 123;
value = false;
anyは“なんでもあり”の型であり、TypeScriptの恩恵をすべて無効化してしまう。
一方で、stringやnumberを指定すると、「型が違うと怒られる」。
この怒られこそが、意図しないバグを防ぐ武器なのである。
型は“型安全”の起点である
基本型を使いこなすとは、単にエラーを減らすことではない。
- 引数の意味を明確にする
- チームの他の開発者に意図を伝える
- 関数の正しさをコード上で保証する
このように、型は設計思想そのものである。
その意味で、number や string は最小単位の「設計材料」とも言える。
まとめ:型の基礎を甘く見ない
TypeScriptを学ぶとき、派手な型構造やジェネリクスに目が行きがちだが、
最もよく使われるのは number と string である。
これらの型に正しく意味を持たせられるエンジニアこそが、
上級者にふさわしい“型の鬼”への第一歩を踏み出すことになる。
次回予告
『TSの鬼 第3回:配列・オブジェクト・ユニオン型を制す』
次回は型を組み合わせることで、より複雑なデータ構造を表現する技術へ進んでいく。