はじめに
2022年9月から VMware Cloud on AWS で Amazon FSx for NetApp ONTAP (FSx for ONTAP) を NFS データストアとして利用できるようになりましたが、1/23 のリリースノートにて待望のシングル AZ 構成もサポートされるようになりました!
ここで改めて FSx for ONTAP を NFS データストアとしての利用、考慮点などについてまとめてみたいと思います。
目次
- Amazon FSx for NetApp ONTAPとは
- これまではどうだった?
- コストの比較
- FSx for ONTAPのシングルAZ構成をNFSデータストアとして利用するまでの手順
- 実際にNFSデータストアとして接続してみた
- シングルAZ構成で利用する際の考慮点
- その他の注意点
- まとめ
- 関連記事
Amazon FSx for NetApp ONTAPとは
Amazon FSx for NetApp ONTAP は AWS 上でフルマネージドの NetApp ONTAP ファイルシステムを提供するサービスです。2021 年 9 月より提供が開始されています。
以下 AWS の製品ページからの抜粋です:
Amazon FSx for NetApp ONTAP は、お客様が AWS クラウドでフルマネージド NetApp ONTAP ファイルシステムを起動して実行できるようにするストレージサービスです。オンプレミスの NetApp ファイルシステムの使い慣れた機能、パフォーマンス、性能、API に、フルマネージド AWS のサービスの俊敏性、スケーラビリティ、シンプルさをもたらします。
Amazon FSx for NetApp ONTAP は、Linux、Windows、および macOS コンピューティングインスタンスから業界標準の NFS、SMB、および iSCSI プロトコルを介して広くアクセスできる高性能ファイルストレージを提供します。それにより、お客様はスナップショット、クローン、レプリケーションなどの ONTAP の広く採用されているデータ管理機能を、ボタンをクリックするだけで使用できるようになります。さらに、フルエラスティックで実質的にサイズ無制限の低コストストレージ容量を提供し、圧縮と重複排除をサポートして、ストレージコストをさらに削減できるようにします。
これまではどうだった?
2023年1月23日 のアップデートまでは、FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用するにはマルチ AZ 構成のみがサポートされておりました。
VMware Cloud on AWS における NFS データストアの利用は、現時点で標準クラスタ(シングル AZ で SDDC を構成)のみサポートの為、コストの観点で FSx for ONTAP もシングル AZ で利用したいという声を頂くことがありました。
そういった要望に応える形でシングル AZ でも利用できるようになりました。
コストの比較
東京リージョンで FSx for ONTAP の以下の最小構成を用意したとします。
- 1,024 GiB のストレージキャパシティ
- SSD ストレージのデータの割合は 100%、圧縮と重複排除による削減は 60% で計算
- 128 MB/秒 のスループットキャパシティ
- 3,072 IOPS (3 IOPS/GiB)
2023年1月27日時点での概算料金は以下の通りでした。(※VTGW の費用などは含んでいません)
構成 | 概算料金 |
---|---|
マルチ AZ 構成 | 約 501 USD |
シングル AZ 構成 | 約 270 USD |
マルチ AZ 構成と比較すると 46% 程度安く利用する事ができます。
※最新の料金はこちらから確認下さい。
FSx for ONTAPのシングルAZ構成をNFSデータストアとして利用するまでの手順
既に FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用するまでをステップバイステップでまとめた記事を投稿済です。よろしければ参照下さい!
実際にNFSデータストアとして接続してみた
今回はこのシングル AZ 構成で作成したファイルシステムにある 4つのボリュームを SDDC に接続してみました!
VMC コンソールからの見え方及び vCenter からの見え方はマルチ AZ と全く同じです。SDDC 側からは FSx for ONTAP がマルチ AZ 構成なのかシングル AZ 構成なのか特に気にする事なく利用ができます。
VMC コンソールのストレージタブから見える情報:
シングルAZ構成で利用する際の考慮点
FSx for ONTAP のシングル AZ 構成を NFS データストアとして利用する際の考慮点を以下に列挙します。
- シングル AZ 構成の場合も、NFS データストアとして SDDC のクラスタと FSx for NetApp ONTAP 間を接続する場合、VMware Managed Transit Gateway (VTGW) が必要となります。
- Transit Gateway のデータ処理コスト(0.02 USD / 1 GB)を考慮する必要があります。
- シングル AZ 構成の場合、もちろん AZ 障害時にデータにアクセスできなくなります。
- ただ、FSx for ONTAP ではシングル AZ 構成の場合も AZ 内で 2つのコントローラーで HA の構成となっていますので、AZ 内での障害については、2つのコントローラー間でフェイルオーバー・フェイルバックしてくれます。
- FSx for ONTAP における SLA の定義は AWSのページ:Amazon FSx Service Level Agreementを参照下さい
- NVMe 読み取りキャッシュのサポートがシングル AZ 構成では、現時点で東京リージョンではまだ利用できません
その他の注意点
VMware Docs に 外部ストレージとしての Amazon FSx for NetApp ONTAP の構成という文書がありますが、2023年1月31日時点では日本語版の更新がされていない為、文書を参照する際は英語版を確認するようにしましょう。
まとめ
VMware Cloud on AWS にて Amazon FSx for NetApp ONTAP のシングル AZ 構成も NFS データストアして利用できるようになりました。これまでよりも更にコストを抑えた構成を組む事ができるようになり、VMware Cloud on AWS の利用の幅が広がりました。
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