はじめに
VMware Explore 2022 にて、 VMware Cloud on AWS (VMC) で Amazon FSx for NetApp ONTAP (FSx for ONTAP) を NFS データストアとして利用できるようになるとアナウンスがされ、9/21 のリリースノートにて正式に展開が開始されました!
早速 FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用してみたいと思います。
目次
- これまでの課題
- Amazon FSx for NetApp ONTAPのサポート
- Amazon FSx for NetApp ONTAPとは
- 接続概要
- FSx for ONTAPをNFSデータストアとして利用するまでの大まかな流れ
- NFSデータストアの追加
- サイジングとTCOの比較
- ハンズオンラボ
- 考慮事項
- まとめ
- 参考文献
- 関連記事
これまでの課題
これまで VMC では、ストレージ領域として、標準提供される vSAN のみが利用可能でした。
ベアメタルインスタンスにインストールされている NVMe を利用して vSAN を構成している為、ストレージの容量確保の為には、以下の 2 つのアプローチが必要でした:
- ベアメタルインスタンスのホストを追加
- 各仮想マシン(VM)から AWS のストレージサービス(例: FSx for Windows File Server)のファイルシステムをネットワークマウント
1 については、ストレージを大量に必要とする場合、ストレージの容量確保の為だけにホストを追加する形になり、CPU、メモリに空きが出て、コスト効率よく利用できない、2 については VM 側でネットワークマウントする為、設計変更が必要でした。
Amazon FSx for NetApp ONTAPのサポート
その課題に対して、Amazon FSx for NetApp ONTAP を VMC のクラスタから NFS データストアとしてサポートが開始されました。
これにより、ベアメタルインスタンスを追加しなくてもストレージだけ追加・拡張させることができるようになり、効率的にストレージが調達できます。
(図は VMware Japan Blog: VMware Cloud on AWS の最新アップデート(VMware Explore 2022 の発表内容)からの抜粋)
Amazon FSx for NetApp ONTAPとは
Amazon FSx for NetApp ONTAP は AWS 上でフルマネージドの NetApp ONTAP ファイルシステムを提供するサービスです。2021 年 9 月より提供が開始されています。
以下 AWS の製品ページからの抜粋です:
Amazon FSx for NetApp ONTAP は、お客様が AWS クラウドでフルマネージド NetApp ONTAP ファイルシステムを起動して実行できるようにするストレージサービスです。オンプレミスの NetApp ファイルシステムの使い慣れた機能、パフォーマンス、性能、API に、フルマネージド AWS のサービスの俊敏性、スケーラビリティ、シンプルさをもたらします。
Amazon FSx for NetApp ONTAP は、Linux、Windows、および macOS コンピューティングインスタンスから業界標準の NFS、SMB、および iSCSI プロトコルを介して広くアクセスできる高性能ファイルストレージを提供します。それにより、お客様はスナップショット、クローン、レプリケーションなどの ONTAP の広く採用されているデータ管理機能を、ボタンをクリックするだけで使用できるようになります。さらに、フルエラスティックで実質的にサイズ無制限の低コストストレージ容量を提供し、圧縮と重複排除をサポートして、ストレージコストをさらに削減できるようにします。
接続概要
VMC から FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用する際の接続概要は以下の通りとなります。
- NFS データストアとして SDDC のクラスタと FSx for NetApp ONTAP 間を接続する場合、VMware Managed Transit Gateway (VTGW) が必要となります。 -> SDDC グループの作成が必要
- 上記の為、接続された VPC(Connected VPC) に 配置された FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用はできないので、それ以外の VPC 上に FSx for ONTAP のファイルシステムを作成し、その VPC を VTGW に接続します。
(図は AWS Partner Network Blog: Amazon FSx for NetApp ONTAP Integration with VMware Cloud on AWS からの抜粋)
FSx for ONTAPをNFSデータストアとして利用するまでの大まかな流れ
FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用するには、FSx for ONTAP のボリュームを SDDC から見える状態にしておく必要があります。
VMC コンソール、AWS マネジメントコンソール双方で作業を行う必要がある為、ざっくりとして流れをまとめると以下のようになります。
NFSデータストアの追加
FSx for ONTAPのボリュームを SDDC から見える状態にしたら、いよいよ外部ストレージとして接続します。
VMC コンソールで、新しく[ストレージ]というタブが追加されています。
ストレージタブをクリックし、[データストアの接続]をクリックします。
[データストアの接続]画面で FSx for ONTAP の [Storage Virtual Machine] タブの [Endpoints] セクションに表示される NFS の IP アドレスを入力します。
データストアの追加が成功すると、以下のようにVMCコンソールでデータストアが認識されます。
そしてvSphere Clientからは従来と同じ形式で表示されます。
データストアとして認識した後は、これまでの NFS データストア同様に利用できます。
仮想マシン作成時に NFS データストアを仮想ディスクの保管場所に指定したり、Storage vMotion で移動したり、HCX での移行の際に直接移行先のストレージとして指定する事ができます。
サイジングとTCOの比較
サイジングに関しては NetApp から、FSx for NetApp ONTAP と VMC の TCO Calculator が出ております。
ここでVMの数、vCPU、メモリ、ディスクサイズといった情報を元に、VMC のみ利用した際と FSx for NetApp ONTAP を利用した場合の TCO の比較が行う事ができるようになっております。
NetApp が提供しているサイトですが、FSx for NetApp ONTAPを利用してもコストメリットが出ないケースは、FSx for ONTAP を使ってもTCOの削減にならない、ときちんとその旨をレポートしてくれます。
ハンズオンラボ
VMware および NetApp からそれぞれハンズオンが提供されております。実際の操作の流れを Simulator の形で確認できます。
両方ともID登録などなく利用できます!
全体の流れを把握するという意味では NetApp 版の方が使いやすいかもしれません。
考慮事項
2022/09/25 時点で FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用する際の考慮事項は以下の2点があります
-
シングル AZ の FSx for ONTAP の NFS データストアとしての利用は、現時点では VMware にて未サポートです。マルチ AZ のFSx for ONTAP のみサポートされています。-> 2023/01にシングル AZ もサポートされるようになりました! - VTGW 経由の通信となる為、Transit Gateway のデータ処理コスト(0.02 USD / 1 GB)を考慮する必要があります。
- サイジングと TCO の比較で紹介した TCO Calculator にてこのコスト含めて試算が可能です。
まとめ
VMC の SDDCから FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用可能になりました。
これにより、仮想マシンのストレージ容量が多い環境の移行においても、仮想マシン側の設定変更が不要で、かつコストの大幅削減が可能となりました。
この観点からこれまでオンプレミスで ONTAP を利用してなかった環境においても FSx for NetApp ONTAP を利用する機会が増えていくのではないでしょうか?
参考文献
- VMware Japan Blog: VMware Cloud on AWS の最新アップデート(VMware Explore 2022 の発表内容)
- AWS Partner Network Blog: Amazon FSx for NetApp ONTAP Integration with VMware Cloud on AWS
- VMwre Docs: 外部ストレージとしての Amazon FSx for NetApp ONTAP の構成
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