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詳細解説: VMware Cloud on AWSでFSx for NetApp ONTAPを外部ストレージとして利用する手順

Last updated at Posted at 2022-12-10

2022/01/20 目次の追加及び手順の順番の入れ替えをしました
2022/01/26 FSx for ONTAP のシングル AZ 構成がサポートされるようになったのでコメントを追加しました

はじめに

本記事は vExperts Advent Calendar 2022 の 11日目の記事になります。

本記事では、VMware Cloud on AWS(VMC) で FSx for NetApp ONTAP を NFS データストアとして利用するまでの環境を0から作成し、最終的に FSx for ONTAP を NFS データストアとして認識するまでの全ステップを網羅してみます。
VMC 及び AWS を利用された事がない方でも手順を辿っていけば NFS データストアとして利用できるよう、スクリーンショットをほぼ全部載せてみます。

FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用する過去の記事については以下も参照下さい。

目次

  1. FSx for ONTAPをNFSデータストアとして利用するまでのざっくりとした流れ
  2. その0: AWSアカウントの準備とVMCへのサインアップ
    1. AWSアカウントの準備
    2. VMCへのサインアップ
  3. VMCコンソールでの操作①
    1. V-1: SDDC の作成
    2. V-2: SDDC グループ(VTGW)の作成
  4. AWSマネジメントコンソールでの操作①
    1. A-1: FSx for ONTAP を配置する VPC の作成
    2. A-2: FSx for ONTAP のファイルシステム・ボリュームの作成
  5. VMCコンソールでの操作②
    1. V-3: 外部 VPC を SDDC グループに接続
  6. AWSマネジメントコンソールでの操作②
    1. A-3: リソースの受け入れ
    2. A-4: Trasit Gateway アタッチメントの作成
  7. VMCコンソールでの操作③
    1. V-4: リソースの受け入れとルーティングの追加
  8. AWSマネジメントコンソールでの操作③
    1. A-5: VPC にルーティングの追加
    2. A-6: セキュリティグループへルールを追加
  9. VMCコンソールでの操作④
    1. V-5: データストアの接続
  10. vSphere Client からの見え方
  11. まとめ

FSx for ONTAPをNFSデータストアとして利用するまでのざっくりとした流れ

VMC で FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用する際のざっくりとした流れをまずは載せておきます。(前回までのおさらいです)

image.png

今回はそれぞれのステップの実際の手順を載せていきます。
※ 以降 V-1, A-3 といった形でナンバリングをしていきますが、例えば「V-1」 は 上記で VMC コンソールでの操作の 1番(SDDC の作成)、「A-4」 は AWS マネジメントコンソールでの操作の 4番(VPC にルーティングの追加)を指します。

その0: AWSアカウントの準備とVMCへのサインアップ

AWSアカウントの準備

AWS マネジメントコンソールで FSx for ONTAP のファイルシステムを作成するには、まず AWS アカウントを作成する必要があります。
AWS アカウントを持っていない方は「AWS Hands-on for Beginners - ハンズオンはじめの一歩: AWS アカウントの作り方 & IAM 基本のキ」で詳細がまとまっておりますので、まずはこちらを確認頂き、アカウントを作成して下さい。

VMCへのサインアップ

VMC コンソールで操作をするには、VMC のサインアップがまず必要となります。
サインアップの方法は、大きく分けて 2つありますが今回は AWS のウェブサイトからのサインアップの方法を記載します。

上記のウェブサイト(VMware Cloud on AWS の製品ページ)にアクセスすると以下のようなページが表示されます。
「VMware Cloud on AWSの使用を開始する」というボタンからサインアップができます。

image.png

ボタンをクリックすると AWS アカウントへのサインインを求められますので、サインインをします。
image.png

image.png

AWS アカウントへサインインをすると、VMC へのサインアップの画面が表示されます。
AWS のウェブサイトからサインアップをすると、サインインで使用した AWS アカウントに対して VMC の料金が他の AWS サービスと同様に請求される形になります。
image.png

こんな感じで他のサービスと同様に請求されます。
image.png

サインアップをして、しばらく経つと VMware から ウェルカム メールが届きます。ウェルカム メールが届いた後の操作の詳細は、VMware Docs を参照下さい。

前置きが長くなりましたが、これで VMC コンソールおよび AWS マネジメントコンソールで操作する準備が整いました。

VMCコンソールでの操作①

V-1: SDDC の作成

まずは、SDDC の作成を行います。
image.png

「SDDC を作成」ボタンをクリックします。
image.png

今回は東京リージョンで、i3.metal のシングルホスト構成で作成を行います。
image.png

FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用するには、こちらで解説したように、VTGW 経由での接続となります。NFS データストアとの連携には AWS アカウントとの接続は必須ではない為、今回は説明を簡略化する為に、この設定は「今はスキップ」を選択します。
image.png

今回は既存の vSphere 環境との接続などは予定しておらず、管理サブネットはデフォルトで構わない為、何も入力せずに「次へ」をクリックします。(複数の SDDC 間で接続をする場合などは、管理サブネットが重複しないよう設計が必要です)
image.png

チェックボックスにチェックを入れて、「SDDC の展開」ボタンをクリックします。

SDDC の展開が開始されます。

2時間程度かかりますので、その間に AWSマネジメントコンソール① も並行して作業開始しましょう。(SDDC の展開が完了したらここのステップに戻ってきて下さい)

2時間ほどで SDDC の作成が完了します。

V-2: SDDC グループ(VTGW)の作成

SDDC の作成が完了したら次は SDDC グループの作成です。
image.png

[アクション] - [SDDC グループの作成] をクリックします。
image.png

任意の SDDC グループの名前をつけ、「次へ」をクリックします。
image.png

先ほど作成した SDDC を選択し、「次へ」をクリックします。
image.png

チェックボックスにチェックを入れて、「グループの作成」ボタンをクリックします。
image.png

SDDC グループの作成が開始されます。
image.png

Status が [接続済み] となったら作成完了です。
image.png

AWSマネジメントコンソールでの操作①

A-1: FSx for ONTAP を配置する VPC の作成

AWS マネジメントコンソール側では、まず VPC の作成を行います。
image.png

AWS マネジメントコンソールでの操作は、SDDC と同じリージョン(今回の場合東京リージョン)で操作している事を確認して下さい。
image.png

VPC の管理画面に移動します。
image.png

「VPC を作成」をクリックします。
image.png

FSx for ONTAP 用の VPC を作成します。赤枠で囲った部分のみデフォルトから変更した箇所になります。

  • 任意の VPC 名をつけます。今回は FSx VPC としてみました。
  • パブリックサブネットは今回不要なので 0 に変えました。
    image.png

image.png

A-2: FSx for ONTAP のファイルシステム・ボリュームの作成

続いて FSx for ONTAP のファイルシステムを作成します。
image.png

FSx の管理画面に移動します。
image.png

「ファイルシステムの作成」をクリックします。
image.png

[Amazon Fsx for NetApp ONTAP]を選択し、「次へ」をクリックします。
image.png

[ファイルシステムを作成] ウィザードが表示されます。

  • ファイルシステム名: 任意の名前をつけます
  • デプロイタイプ: マルチ AZ を選択します。(こちらで記載した通り、現時点ではシングル AZ でのデプロイを NFS データストアとしての利用は VMware にてサポートされていない為、マルチ AZ でのデプロイが必要となります。) → 2023/01 のアップデートによりシングル AZ もさポートされるようになりました。この為、デプロイタイプは要件に応じてマルチ AZ、シングル AZ どちらでも利用できます。(今回の例では マルチ AZ を選択しています。)
  • SSD ストレージ容量: 今回は最小の 1024 GiBを指定しました
  • Virtual Private Cloud (VPC): 先ほど作成した VPC を指定します。
  • ストレージ効率: [有効] を指定します。
    image.png

今回は操作を簡略化させる為にクイック作成を利用します。
詳細な設定を行うにはスタンダード作成の利用が推奨されます。

設定内容を確認し、「ファイルシステムを作成」ボタンをクリックします。
image.png

ファイルシステムが作成されるのを待ちます。

ファイルシステムの作成も少し時間がかかりますので、VMCコンソールでの操作① で作業が完了してないステップがあれば、この時間に作業を完了させて下さい。
それでも時間が余っている場合は、VMCコンソールでの操作②、AWSマネジメントコンソールでの操作② も並行して作業開始しましょう。(ファイルシステムの作成が完了したらここのステップに戻ってきて下さい)

数十分待つとステータスが [利用可能] の状態となりますので、ファイルシステム ID をクリックします。
image.png

ネットワークとセキュリティタブの情報を確認します。
① エンドポイント IP アドレス範囲を書き留めておいて下さい。VMCコンソールでの操作③ で使用します。
※ちなみに今回は"10.0.255.255/26"と表示されていますが、VMC 側でルーティングを追加する際にそのまま入力すると"[10.0.255.255/26] は有効な CIDR ブロックではありません。"とエラーになる為、"10.0.255.192/26"を利用します。
② ルートテーブルをクリックし、どのルートテーブルに関連付けられているか確認します。
image.png

今回、メインルートテーブルではなく、片方の AZ のサブネットに関連付けられたテーブルが FSx for ONTAP のルートテーブルとして利用されてました。(このあたりクイック作成だと指定ができないので、スタンダード作成の方がいいですね・・・)
image.png

両方の AZ のサブネットに関連付けられたそれぞれのテーブルにエンドポイントのルーティングを追加する為に、FSx の詳細画面に戻り、「管理」をクリックします。
image.png

今回はもう一方の AZ 用のルートテーブルの関連付けを追加しました。
image.png

続いて [ONTAP] - [ストレージ仮想マシン] をクリックします。
image.png

SVM 名(fsx)をクリックします。
image.png

NFS IP アドレスを書き留めます。VMCコンソールでの操作③ で使用します。
image.png

VMCコンソールでの操作②

V-3: 外部 VPC を SDDC グループに接続

次に FSx for ONTAP が配置されている VPC を SDDCグループに接続します。
image.png

SDDC グループの [詳細表示] をクリックします。

[外部 VPC] タブをクリックします。
image.png

「AWS アカウントの追加」をクリックします。
image.png

FSx for ONTAP が稼働している AWS アカウント(その0 の AWS アカウントの準備で作成したアカウント)のアカウント ID (12桁の ID)を入力し、「追加」ボタンをクリックします。
AWS アカウント ID を見つける事ができない方は AWS のリファレンスガイドを参照下さい。

AWSマネジメントコンソールでの操作②

A-3: リソースの受け入れ

続いてリソースの受け入れを処理を行います。
image.png

Resource Access Manager にアクセスします。
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[自分と共有] - [リソースの共有]が "1招待"となっていますので、[自分と共有] - [リソースの共有]をクリックします。
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リソースの名前をクリックします。
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「リソースの共有を承認」をクリックします。
image.png

「OK」をクリックします。
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リソースの受け入れが完了しました。
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A-4: Trasit Gateway アタッチメントの作成

続いて Transit Gateway アタッチメントの作成をします。
image.png

VPC の管理画面にアクセスします。
image.png

[Transit Gateway] - [Transit Gateway アタッチメント] をクリックします。

「Transit Gateway アタッチメントを作成」をクリックします。
image.png

[Transit Gateway アタッチメントを作成] 画面が表示されます。

  • 名前タグ: 任意の名前を指定します
  • Transit Gateway ID: "TGW for region xx-xxxxxx-xx"という名前の Transit Gateway が表示されますのでそれを指定します。
  • VPC ID: AWSマネジメントコンソールでの操作① で作成した VPC を指定します。
  • サブネット ID: 各 AZ に複数サブネットがある場合は、FSx for ONTAP が接続しているサブネットを指定しましょう。今回は各 AZ に 1つずつしかサブネットを作成していないので、デフォルトで表示されたサブネットで大丈夫です。
  • 最後に「Transit Gateway アタッチメントを作成」ボタンをクリックします。
    image.png

"Pending Acceptance"の状態となる為、後で VMC コンソール側で受け入れ処理を行います。
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VMCコンソールでの操作③

V-4: リソースの受け入れとルーティングの追加

続いて VMC コンソール側でリソースの受け入れとルーティングの追加を行います。
image.png

SDDC グループの管理画面に戻ります。[外部 VPC]タブにて、AWS アカウント ID の横にある ">>" をクリックします。
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承認保留中のリソースが表示されたら、チェックボックスにチェックを入れて、「承諾」ボタンをクリックします。
※この表示が表示されるまで10分程度かかります。
image.png

ステータスが [利用可能] になると [ルートの追加] がクリックできるようになりますので、クリックをします。
image.png

ここで AWSマネジメントコンソールでの操作① で書き留めた FSx for ONTAP のエンドポイント IP アドレス範囲を入力し、「終了」ボタンをクリックします。

VMC 側のルーティングの追加が完了しました。
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AWSマネジメントコンソールでの操作③

A-5: VPC にルーティングの追加

次にルーティングの追加を行います。
image.png

[VPC でフィルタリング] で VPC を指定した上で、[仮想プライベートクラウド] - [ルートテーブル]をクリックします。

プライベートサブネットに関連付けられているルートテーブル(今回だとFSx VPC-rtb-private1-ap-northeast-1a と FSx VPC-rtb-private1-ap-northeast-1c)にルーティングの追加を行います。該当のルートテーブルを選択し、[ルート]タブから「ルートを編集」ボタンをクリックします。
image.png

「ルートを追加」をクリックし行を増やした後、送信先として SDDC の管理サブネット(デフォルトでは 10.2.0.0/16)を指定し、ターゲットとして先ほど作成した TGW アタッチメントを指定し、「変更を保存」をクリックします。
image.png

同じ操作をもう一個のルートテーブルでも実施します。

A-6: セキュリティグループへルールを追加

続いてセキュリティグループの変更を行います。
image.png

FSx の管理画面に移動し、[ファイルシステム] からファイルシステム ID をクリックします。
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優先サブネットのネットワークインターフェイスをクリックします。
image.png

セキュリティグループをクリックします。
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「インバウンドのルールを編集」をクリックします。
image.png

「ルールを追加」をクリックし行を増やした後、タイプとしてすべてのトラフィックを指定し、ソースとして SDDC の管理サブネット(デフォルトでは 10.2.0.0/16)を指定し、「ルールを保存」をクリックします。
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VMCコンソールでの操作④

V-5: データストアの接続

ここまで来れば最後は、いよいよ NFS データストアとしての接続です!
image.png

左側のペインから[インベントリ]をクリックします。
image.png

該当の SDDC の「詳細を表示」をクリックします。
image.png

[ストレージ]タブをクリックします。
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「データストアの接続」をクリックします。
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データストア: [新規データストアの接続]を選択します。
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AWSマネジメントコンソールでの操作① で書き留めた NFS IP アドレス(10.0.255.246)を入力し、「検証」をクリックします。

image.png

検証に成功すると以下のように [成功]と表示されます。
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ここで検証に失敗する場合、設定の漏れがあります。
失敗した場合、以前の記事を参照しトラブルシューティングを行なってみて下さい。

パスの選択をし、
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サーバ ベンダーの選択をし、
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任意のデータストア名をつけて「データストアの接続」ボタンをクリックします。
image.png

数分待つと以下の通り、データストアの接続が完了します!
image.png

以上で接続のステップは完了となります。お疲れ様でした!

vSphere Client からの見え方

一度マウントしてしまえば、vSphere Clientからは従来と同じ形式で表示され、これまでのNFSデータストア同様に利用できます!

仮想マシン作成時に仮想ディスクの保管場所に指定したり、Storage vMotionで移動したり、
HCXでの移行の際に直接移行先のストレージとして指定する事ができます。
image.png

まとめ

本記事では、VMC で FSx for ONTAP を NFS データストアとして利用する際の以下のステップの全手順を載せてみました。

image.png

VMware Cloud on AWS 及び AWS を利用された事がない方でも手順を辿っていけば NFS データストアとして利用できるよう、スクリーンショットをほぼ全部載せて記事を作成してみました。
本記事にご興味持っていただいた方は、はじめに でご紹介した過去の記事も是非ご参照下さい。

※ FSx for ONTAP との連携の記事が連続したので、次回は違うトピックにしようと思います!

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