はじめに
2026 年 4 月 27 日、Amazon Elastic VMware Service (Amazon EVS) で待望の新インスタンスタイプがサポートされました。
Amazon EVS で i7i.metal-24xl Amazon EC2 インスタンスタイプのサポートを開始
これまで Amazon EVS で使えるベアメタルインスタンスは i4i.metal の一択でした。この i4i.metal は VMware Cloud on AWS でも採用されており、多くのミッションクリティカルなワークロードの基盤として実績を積んできたインスタンスです。
そこに今回、コア数を抑えつつ第 5 世代 Intel Xeon スケーラブルプロセッサを搭載した i7i.metal-24xl が加わり、より多様なワークロード要件に対応できるようになりました。AWS What's New によると、i4i と比較して コンピューティングパフォーマンスが最大 23%、コストパフォーマンスが 10% 以上向上 したとのことです。
しかも嬉しいことに、前回記事で紹介した Guidance for Automated Setup for Amazon EVS の CloudFormation テンプレートも、すぐさま i7i.metal-24xl に対応していました。というわけで、早速デプロイして vSphere Client から中を覗いてみたいと思います。
前回の記事はこちら:
i4i.metal と i7i.metal-24xl のスペック比較
まずは Amazon EVS で利用可能な 2 つのベアメタル EC2 インスタンスのスペックを比較してみます。どちらも Broadcom による完全な認定を受けている x86 ベアメタル EC2 インスタンスで、Broadcom の Hardware Compatibility Guide で確認できます。
| 項目 | i4i.metal | i7i.metal-24xl |
|---|---|---|
| プロセッサ | Intel Xeon Ice Lake(第 3 世代) | Intel Xeon Emerald Rapids(第 5 世代) |
| クロック | 2.9 GHz / 3.5 GHz Turbo | 3.2 GHz / 4.0 GHz Turbo |
| vCPU | 128 vCPUs | 96 vCPUs |
| 物理コア | 64 コア | 48 コア |
| メモリ | 1,024 GiB | 768 GiB |
| ストレージ | 30 TiB(8 × 3,750 AWS Nitro SSD) | 22.5 TiB(6 × 3,750 AWS Nitro SSD) |
| 位置付け | VMware Cloud on AWS でも採用実績のある定番 | コア数を抑えつつ新世代プロセッサを搭載した新選択肢 |
今回のアップデートで一番のポイントは、これまで i4i.metal 4 ホストだとリソースが過剰でコストメリットを出しにくかった環境でも、Amazon EVS を利用できる機会が広がったことです。
i4i.metal は 1 ホストあたり 128 vCPU / 1,024 GiB メモリ / 30 TiB ストレージで、Amazon EVS では VCF 5.2 の最小構成要件に従って 4 ホストからの構成となります。4 ホストでも合計 512 vCPU / 4 TiB メモリ / 120 TiB ストレージとなり、それなりに規模のあるワークロードには適した構成ですが、小〜中規模のワークロードを移したいお客様にとっては「リソースが余ってコストが見合わない」というケースがありました。
そこに今回、1 ホストあたり 96 vCPU / 768 GiB / 22.5 TiB の i7i.metal-24xl が加わったことで、Amazon EVS を現実的な選択肢として検討できるワークロードの幅が広がったと言えます。VMware 系ワークロードはコア数ベースのライセンスモデルが基本なので、コア数を抑えられるのはライセンスコスト観点でも嬉しいポイントです。
CloudFormation テンプレートの更新点
前回紹介した evs_create_world.yaml の最新版を見ると、以下のようにパラメータが追加されています。
MyHostType:
Type: String
Description: This is the EC2 instance type to deploy as the initial cluster in the EVS environment
Default: i4i.metal
AllowedValues:
- i4i.metal
- i7i.metal-24xl
MyHostType という新しいパラメータが追加され、デプロイ時に i4i.metal か i7i.metal-24xl を選択できるようになっています。
デプロイしてみる
それでは早速デプロイしてみます。前回同様、マネジメントコンソールから CloudFormation スタックを作成します。
手順
-
GitHub リポジトリから最新の
evs_create_world.yamlをダウンロード -
CloudFormation コンソール → スタック → スタックの作成 → テンプレートをアップロード
-
スタック名は任意の名前で OK です。
i7i.metal-24xlでデプロイするにあたって必要最低限のパラメーターは以下の通りです。パラメーター 設定値 説明 MySiteIdBroadcom Site ID Broadcom VCF ライセンスに紐づく Site ID MySolutionKeyVCF ライセンスキー VCF ソリューションキー MyVsanKeyvSAN ライセンスキー vSAN ライセンスキー MyHostTypei7i.metal-24xlEC2 インスタンスタイプ MyAZap-northeast-1d等デプロイ先 Availability Zone その他のパラメーター(
MyVcfVersion、MyFQDN、MyCIDR、ESXi / VM 名など)は、テンプレート側でデフォルト値が設定されているので、デフォルトのままでもデプロイ可能です。必要に応じて変更してください。

デプロイ時間
実際にデプロイの時間を計測してみたところ、今回はネットワークコンポーネントのデプロイに10〜15分程度、EVSの環境作成に3時間程度でした。これは EVS の性質上、VCF(vCenter / NSX / SDDC Manager / Cloud Builder)のブートストラップに時間を要するためで、インスタンスタイプを変えても大きくは変わりません。
CloudFormation の CREATE_COMPLETE を確認できたら、EVS 環境が立ち上がっています。
vSphere Client で中を覗いてみる
デプロイが完了したので、vCenter にアクセスしてみます。
1. vCenter へのアクセス経路の確認
EVS 環境にデプロイされた vCenter は、前回記事でも解説した通り vc.{MyFQDN}(例: vc.evs.example.com)という DNS 名で、{MyCIDR}60.10(例: 10.0.60.10)の IP アドレスで動作しています。
EVS 環境は単一 AZ 内のプライベートネットワーク上にあるため、以下のいずれかの経路で接続します。
- 同じ VPC 内に踏み台 EC2 を立てる
- Client VPN / Site-to-Site VPN 経由
- Transit Gateway 経由(
CreateTGWFlag=Createでデプロイしている場合) - Direct Connect 経由
今回は検証ということで、同じ VPC 内に Windows Server の踏み台インスタンスを起動し、そこから vSphere Client(ブラウザ)でアクセスしてみます。
2. vSphere Client にログイン
ブラウザで https://vc.my.fqdn.evs/ui/ にアクセスし、Secrets Managerで取得した認証情報でログインします。
i7i.metal-24xl でデプロイされているのが確認できます!
3. ホストの CPU とメモリ
良かった点
-
デプロイ手順がこれまでと全く同じ:
MyHostTypeを変えるだけで新世代インスタンスに切り替わる - Broadcom 完全認定済み: Hardware Compatibility Guide に登録されているので安心
- コア数が少ない = 小さく始められる: VCF のライセンスコスト観点でも有利
- クロック周波数が高い: 3.2 GHz / Turbo 4.0 GHz なので、シングルスレッド性能が必要なワークロードに効く
まとめ
Amazon EVS の新インスタンス i7i.metal-24xl を、前回紹介した CloudFormation テンプレート(Guidance for Automated Setup for Amazon EVS)を使ってデプロイしてみました。
-
MyHostTypeパラメータにi7i.metal-24xlを指定するだけで、他は何も変えずに新世代インスタンスでデプロイ可能 - 第 5 世代 Intel Xeon(Emerald Rapids)搭載で、コンピューティング性能最大 23% 向上、コストパフォーマンス 10% 以上向上
- コア数・メモリ・ストレージは i4i.metal より小さいため、用途に応じた選択が重要
- 両インスタンスとも Broadcom 完全認定済みで、VMware Cloud on AWS でも実績のある
i4i.metalと同様に安心して使える - vSphere Client から見ても、VCF 構成は従来通りでインスタンスのハードウェア情報だけが新世代になる
Amazon EVS の選択肢が増えたのは、ユーザーにとって純粋に嬉しいアップデートです。ライセンスコストやワークロード要件に応じて、最適なインスタンスタイプを選べるようになりました。
Guidance for Automated Setup for Amazon EVS のおかげで、インスタンスタイプを変えての検証もあっという間。Amazon EVS を試してみたい方、新インスタンスに興味がある方は、ぜひこの自動化ソリューションから始めてみてください。
参考リンク
- Amazon EVS で i7i.metal-24xl Amazon EC2 インスタンスタイプのサポートを開始(AWS What's New)
- Guidance for Automated Setup for Amazon Elastic VMware Service
- GitHub: aws-solutions-library-samples/guidance-for-automated-setup-for-elastic-vmware-service-on-aws
- 前回記事: CloudFormation で Amazon EVS を爆速デプロイ!
- Amazon EC2 I7i インスタンス
- Broadcom Hardware Compatibility Guide
- Amazon EVS ユーザーガイド




