2026年7月、Amazon EVS(Elastic VMware Service)が VMware Cloud Foundation (VCF) 9.0 および 9.1 をサポートしたと発表されました。
Amazon EVS は、AWS のベアメタル EC2 インスタンス上で VCF をそのまま動かせるサービスです。
今回の VCF 9対応は大きなアップデートのため、内容を1枚のスライドに整理してみました。
このスライドで挙げた5つのポイントを、それぞれ簡単に説明していきます。
① 最新の VCF 9.1 に対応
Amazon EVS で VCF の最新バージョンが使えるようになりました。VCF スタックへの root アクセスを含め、環境を完全に自分でコントロールできる点は今までの EVS と変わりません。オンプレで使っている VCF の最新機能を、そのままクラウド上に持ち込めるのは単純にありがたいです。
VCF 9.1 で追加された機能の詳細は VCF 9.1 のリリースノート にまとまっています。
② EoS 問題を解消
vSphere 8.0 / VCF 5.2 は2027年10月に End of Service(EoS)を迎えます。 オンプレ環境ではこのタイミングまでにアップグレードするしかありませんが、Amazon EVS が VCF 9 に対応したことで、EoS の対応策の一つとして EVS も検討できるようになりました。
vSphere / VCF の EoS スケジュールは Broadcom の Product Lifecycle ページ で確認できます。
③ VCF ライセンス不要で PoC 開始!
これは個人的にとても嬉しいニュースです! VCF 9からデプロイ時に評価モード(Evaluation Mode)が使えるようになり、VCF のライセンスキーを事前に用意しなくても環境を作り始められます。 「Amazon EVS を試してみたいけどライセンスが準備できない」という理由で試せていなかった方も、気軽に試せる土台が整いました。
④ 2ホスト & 3ホスト構成が可能
これまで4ホストが最小要件でしたが、Simple モデルを使うと2〜3ホストでも構成できるようになりました。あわせて vSAN も必須ではなくなっています。ただしこの Simple モデルは冗長性の面で考慮しておきたい点があるので、そのあたりは別記事で詳しく扱う予定です。
構成パターンの詳細は Single-Rack vSphere クラスターモデル のドキュメントを参照してください。
この最小ホスト数の緩和は、以前紹介した i7i.metal-24xl と組み合わせられる点も気になっています。従来の i4i.metal(128 vCPU)× 4ホストに対して、コア数を抑えた i7i.metal-24xl(96 vCPU)を2〜3ホストで組む形になるので、VMwareのコア数ベースのライセンスコストを抑えられる可能性があります。実際に組んだ場合の構成や冗長性のトレードオフは、こちらも別記事で検証してみたいと思っています。
⑤ デプロイ方式が変更、でも自動化ツールキットで手間は最小限に
VCF 5.2までは EVS が VLAN サブネットの作成から VCF スタックの構築まで自動でやってくれていましたが、VCF 9からは「セルフデプロイモード」だけになりました。EVS が用意するのは AWS インフラ(VLAN サブネットとベアメタルホスト)までで、VCF 自体のインストールと設定はユーザーの作業になります。
手動での VCF インストールは数十ステップかかりますが、AWS が公開した エンドツーエンドの自動化ツールキット を使えば、3つの CLI コマンドで AWS インフラのプロビジョニングから VCF のインストールまで一気に進められます。 セルフデプロイモードになったからこそ、このツールキットを使わない手はありません。
まとめ
Amazon EVS の VCF 9対応、5つのポイントを振り返るとこんな感じです。
- 最新の VCF 9.1 にそのまま対応
- vSphere 8 / VCF 5.2 の EoS(2027年10月) に向けた移行先にもなる
- 評価モードでライセンス不要 で PoC を始められる
- 2〜3ホストの小さな構成 からスタートできる
- デプロイは セルフデプロイモードのみ。ただし自動化ツールキットで手間は最小限
個人的に特に気になっているのは③と④です。ライセンス不要で試せる評価モードと、2〜3ホストからの小さな構成。この2つが揃ったことで、EVSを始めるハードルは下がったように見えます。④はSimpleモデルの冗長性の考え方や、i7i.metal-24xl との組み合わせも含めて、もう少し掘り下げて別記事で書く予定です。