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バイブコーディングでハンズオン作品をその場で披露する猛者まで現れたStreamlit Meetup Tokyo 2026

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Last updated at Posted at 2026-01-31

はじめに

概要

 約1年2ヶ月ぶりの開催となった今回のMeetupは、 「AIコーディング」 という最先端テーマを軸に,初心者から経験豊富な開発者まで総勢約50名が集う熱量の高いイベントであった.基調講演では株式会社QueueのCEO柴田直人氏が最近はやりの「バイブコーディング」について解説し,続くハンズオンでは参加者がGoogle Antigravityを用いてAIとの対話によるアプリ開発を体験した.後のネットワーキングでのアプリ展示ではこのハンズオンで作成した作品を披露していただける方までいて感動した.LTセッションでは,数理最適化の民主化,大規模DWHにおけるデータカタログ構築,マルチデータプラットフォーム対応のアドホック分析環境といった多様な実務事例が共有された.オープニングから和やかな雰囲気の中で始まり,ネットワーキングまで活発な交流が続いた.

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開催日時: 2026年1月29日(木) 19:00〜22:00
開催場所: DATUM STUDIO本社オフィス(目黒)+ オンライン配信
イベントページ: Streamlit Meetup Tokyo 2026


オープニング

 運営メンバーである高須賀が開会挨拶を担当し,このイベントが「見て,学んで,繋がれる」場となるよう,ワイワイしながら積極的に周りの人とコミュニケーションを取っていただくことをお願いした.Streamlitをこれから使いたい人から,他ユーザーの活用事例を知りたい人まで,すべての参加者が価値を得られるプログラム設計を心がけた.

 また,ハッシュタグ「#Streamlit」「#StreamlitMeetup」でのSNS投稿推奨や,会場提供元であるDATUM STUDIO社のルール共有など,コミュニティイベントならではの配慮も行った.

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基調講演:バイブコーディングで再定義するBI・データアプリ開発

登壇者: 柴田 直人 氏(株式会社Queue / Squadbase Labs, Inc.)

 最近はやりの「バイブコーディング」について解説する,非常に刺激的な講演であった.柴田氏は,アンドレ・カパシー氏が2025年2月に提唱したばかりのこの概念を,自然言語による対話を通じてアプリケーションを構築・改良していく開発手法として説明された.AIを活用した開発アプローチは以下3つに分類される.

  1. ChatGPTでのコード生成(コピペ型)
  2. 開発環境統合型(VS Code等,エンジニア向け)
  3. ブラウザ完結のプラットフォーム型(非エンジニアでも使える)

 柴田氏が開発する「Squadbase」のデモでは,Excelファイルをアップロードするだけで,AIエージェントがデータを解析・正規化し,データベースにインポートする.その後,「チャネル別の分析を追加して」といった自然言語指示に応じて,リアルタイムでダッシュボードが進化していく様子が披露された.

 従来のBIツールやノーコード/ローコード開発が抱える「学習コストの高さ」「機能の制約」といった課題を,AIとの対話で解決できる未来が見えた瞬間であった.AIが単なる「手段」から,共にアプリケーションを創造する「パートナー」へと進化する,そんなことを体感できる発表であった.


ハンズオン:AIコーディングでStreamlitアプリを作ろう

講師: 酒徳 哲 氏(某通信キャリア),岩田 和也 氏(DATUM STUDIO株式会社)

 基調講演で示された「バイブコーディング」のコンセプトを,実際に手を動かして体験する時間であった.使用した開発ツールは,「Google Antigravity」である.計画立案,Web閲覧,コード生成などを自律的に行うエージェント型プラットフォームだ.今回は,参加者にそんな体験をその場で経験してもらえるよう,酒徳氏と岩田氏がStreamlit Meetup用ハンズオンを昨年末から準備してくれた.

ハンズオンの流れ

  1. 環境構築: DockerとDev Containerを利用した再現性の高い環境を準備
  2. AIへの指示: 「見栄えの良いダッシュボードを作って」と自然言語で指示
  3. デザインのフィードバック: AIがまずデザイン案を画像生成し,参加者が「明るいパーティ風で」といったフィードバックを返す
  4. 自動実装: 承認された実装計画に基づき,AIがファイル構造作成,データダウンロード,コード生成を自律実行
  5. 完成: 日本の人口流動データを地図上に可視化し,スライダーで年次推移を確認できるインタラクティブなダッシュボードが完成

 環境構築でパッケージダウンロードに時間がかかるという課題もあったが,運営メンバーの丁寧なサポートもあり,多くの参加者が実際にアプリを完成させることができた.中には独自にカスタマイズした作品をネットワーキングの時間で披露していただける方までおり,運営メンバー一同歓喜した.

 専門的なコーディング知識がなくても,AIとの対話だけで短時間にアイデアを形にする,この成功体験を参加者全体に伝えられたのは本当によかった.今回のテーマを会場にいる全員で感じられた感動のひとときであった.


LT1:Streamlitを活用した数理最適化の民主化

登壇者: 高須賀 将秀(NTT西日本株式会社 / 法政大学 デザイン工学部 兼任)

 私からは,数理最適化の民主化という取り組みを紹介させていただいた.

発表のポイント

  • 問題提起: 数理最適化は実社会で高い価値を持つが,専門性が高すぎて利用のハードルとなっている
  • AI/MLとの違い: データドリブンなAI/MLに対し,数理最適化は制約条件というルールに基づく「ルールドリブン」なアプローチである
  • 2つのアプローチ:
    1. 特化型アプリ: 巡回セールスマン問題など特定の問題に特化したUIを構築
    2. 汎用型アプリ: LLM(Snowflake Cortex Agents)と数理最適化ロジックを連携させ,自然言語で様々な問題を解く

 特に汎用型アプローチは,「最適化の専門知識がなくても,生成AIのUIに話しかけるように最適解を得られる」という,まさに民主化の体現である.参加者からは「数理最適化についての理解が深まった」といった反応をいただいた.

 「数理最適化」という高度な専門技術が,StreamlitとLLMの組合せで誰でも使えるツールにしていくことこそが、テクノロジーの正しい使い方だと考えている.専門家だけのものだった技術が,広く社会に価値を提供していうことの重要性を改めて実感した.


LT2:Streamlit in Snowflakeを活用したデータカタログと生成AIの活用について

登壇者: 上野 正暉 氏(株式会社NTTドコモ R&Dイノベーション本部)

 数十ペタバイト級の大規模DWH運用における実務的な課題を,Streamlit in SnowflakeとLLMで解決した先進事例が報告された.

発表のポイント

  • 背景課題: 膨大なデータが存在するが,ビジネスメタデータが不足し,利用者が目的のデータを見つけられない「データカタログの課題」
  • Streamlit製データカタログ: DWH内に直接構築し,メタデータの検索だけでなく,アプリ上から直接編集・更新できる機能を実装
  • LLMによるメタデータ自動生成: Snowflake Cortexを用いて既存ドキュメントからメタデータを自動生成し,整備の労力を削減
  • AIエージェント機能: 整備されたメタデータを活用し,「XXを分析したいが,どのデータを使えば?」という自然言語質問に対して最適なデータを推薦
  • 循環型の仕組み: メタデータの「整備(入力)」と「探索(出力)」の双方をアプリ内で完結させ,属人化しがちだった管理サイクルを組織全体に展開

 単なる「見る」ためのダッシュボードではなく,「入力して育てる」インタラクティブなプラットフォーム——この発想の転換が素晴らしい.データカタログという地味に見える領域で,これほど実用的で洗練されたソリューションが生まれていることに感銘を受けた.


LT3:Streamlitで構築するマルチデータプラットフォーム対応のアドホック分析環境

登壇者: 與田 龍人 氏(株式会社サイバーエージェント)

 2025年新卒ながら,BigQuery,Snowflake,Databricksなど複数DWHが混在する環境で,非エンジニアでも使えるAI分析ツール「FlashViz」を開発した事例が紹介された.

発表のポイント

  • 課題認識: 複数のデータソースが乱立する環境では,データがサイロ化し,特にSQLを書けないビジネスユーザーがデータ分析に着手できない
  • FlashVizの機能: 複数のデータソースに対して自然言語でクエリを実行し,結果を自動で可視化できるStreamlit製AIアプリケーション
  • クリーンアーキテクチャの採用: UI(Streamlit),ビジネスロジック(Text-to-SQL),インフラ(DB接続部)の各層を分離することで依存関係を整理
  • 高い拡張性: 新しいデータソースに対応する際は,インフラ層にコネクタを追加するだけで済み,既存コードへの影響を最小限に抑える設計
  • SQL方言の吸収: データソース毎に異なるSQL方言の違いを,プロンプトエンジニアリングによって吸収する仕組みを実装
  • 自動グラフ判別: ユーザーの質問内容に含まれるキーワード(「割合」「推移」など)から,円グラフや折れ線グラフといった最適なグラフ種別を自動判別

 新卒エンジニアがこのレベルのアーキテクチャ設計と実装を実現していることに,まず驚かされた.また,マルチクラウダーである私自身,マルチクラウドの管理をテーマにした興味深い内容であった.今後,マルチクラウドでのデータ分析やAIエージェント運用が当たり前の世界もそう遠くないため,ぜひ参考にしたい.


ネットワーキング・作品展示

 全てのセッション終了後のネットワーキングでは,軽食や飲み物を片手に活発な交流が行われた.毎度この時間が一番楽しみである.特に盛り上がったのが,有志による作品展示の時間であった.

展示作品ハイライト

  • 汎用型数理最適化アプリ: LTで紹介したアプリの実演デモ.自然言語入力から最適解を導き出すプロセスに参加者が注目した

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  • 設計書からのDBオブジェクト自動生成ツール: PDF設計書をアップロードすると,Snowflake上にテーブルとセマンティックビューを自動生成する業務効率化ツール

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  • アイドル動員数ダッシュボード: ハンズオン内で作成したという作品.AIとの対話で背景画像指定やレイアウト変更をカスタマイズした実践例

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今回のサマリー

全体を通して感じたこと

 今回のMeetupで一貫して感じられたのは,**「StreamlitがAIと融合することで,アプリ開発の裾野が劇的に広がっている」**という点である.

 基調講演で示された「バイブコーディング」の概念は,ハンズオンで参加者自身が体験し,LTセッションでは数理最適化,データカタログ,マルチDWH対応といった高度で実務的な応用例として結実していた.単なる可視化ツールだったStreamlitが,今やAIと連携してエンタープライズ級の課題を解決するフレームワークへと進化していることを肌で感じることができた.

 特に印象的だったのは,登壇者の多様性である.立場は違えど,全員が「より多くの人がデータやAIの恩恵を受けられるように」という共通の思いを持っていることが伝わってきた.

 約1年2ヶ月ぶりの開催にもかかわらず,これだけの熱量と質の高いコンテンツが集まったことは,Streamlitコミュニティの底力を示している.運営メンバーの一人として,参加者の皆様の熱心な姿勢と活発な交流に大きな手応えを感じた.次回の開催が今から楽しみである.

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今後の予定

Streamlit Meetup Tokyo 2027

 本Meetupは年次イベントとして開催しており,次回は2027年1月頃の開催を予定している.詳細が決まり次第,Streamlit Communityや各SNSでアナウンスする予定である.

その他の関連イベント

 コミュニティメンバーが主催・参加する関連イベントも多数予定されている.

数理最適化と機械学習に関する勉強会

  • 日時: 2026年2月9日
  • 形式: オンライン勉強会(隔週開催予定)
  • 参加申込: https://opt-research.connpass.com/event/381160/
  • 初回は2025年11月24日に開催済み.数理最適化とAI/MLの融合について継続的に学べる場

Snowflake AI Data Meetup #1

  • 日時: 2026年2月17日
  • 会場: 東京ミッドタウン八重洲
  • 参加申込: https://techplay.jp/event/990613
  • データ活用におけるAIの実践的な活用事例を共有するMeetup

Open Source Conference 2026 Tokyo/Spring

DataScience & DataEngineering MeetUp #2


謝辞

 刺激的な登壇をしてくださった登壇者の皆様,イベントに参加いただいた皆様,会場を提供いただいたDATUM STUDIO株式会社様,そして最後に素晴らしいイベントを企画・運営を協同してくれた運営メンバーの皆様,に心より感謝申し上げる.

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