0. はじめに
前回はコンピューティング系のサービスをAWSと対比しながらまとめました。今回はその第2弾として、ストレージ・データ移行系のサービスを見ていきます。
S3に慣れているとCloud Storageのストレージクラス設計はすんなり頭に入ってくるかと思います。Archiveクラスの取り出し特性などS3 Glacierと異なる点もあるので、そのあたりも触れていきます。
1. ストレージ・移行
| カテゴリ | AWS | Google Cloud |
|---|---|---|
| オブジェクトストレージ | S3 | Cloud Storage |
| ブロックストレージ(永続・共有) | EBS | 永続ディスク (Persistent Disk) |
| ブロックストレージ(一時・高速) | Instance Store | ローカル SSD |
| オンラインデータ転送 | DataSync | Storage Transfer Service |
| CLI転送ツール | AWS CLI (s3 cp) | gcloud storage コマンド (旧 gsutil) |
| 物理データ移行 | Snowball | Transfer Appliance |
1-1. Cloud Storage
S3に相当する、非構造化データを保存するオブジェクトストレージです。
アクセス頻度別のストレージクラスは、おおよそ以下のように対応します。
| 用途 | AWS S3 | Google Cloud Storage | Google Cloudの最低保存期間 |
|---|---|---|---|
| 頻繁アクセス | S3 Standard | Standard | なし |
| 低頻度アクセス | S3 Standard-IA / One Zone-IA | Nearline | 30日 |
| 準アーカイブ | S3 Glacier Instant Retrieval | Coldline | 90日 |
| アーカイブ | S3 Glacier Flexible Retrieval / Deep Archive | Archive | 365日 |
- Archiveクラスを含むすべてのクラスでミリ秒単位のデータアクセス(TTFB)が可能です。AWSのGlacier Flexible RetrievalやDeep Archiveがデータ取得に数分〜数時間かかるのに対し、Google Cloudは最安のArchiveクラスでも取り出し時間そのものは他クラスと変わりません(その分、読み取り料金は高くなります)。
- すべてのクラスにおいて同じCloud Storage APIを使用でき、共通して年間99.999999999%(11個の9)の耐久性を実現するよう設計されています。
- Google Cloudでは、上表の最低保存期間より前にデータを削除・別クラスへ移動した場合、残り期間分の保存料金が日割りで請求されます。
- IAMや署名付きURLによるファイル単位の安全なアクセス制御・外部共有が可能です。
1-2. 永続ディスク (Persistent Disk)
EBSに相当する、Compute EngineなどのVMにネットワーク経由でアタッチして使用するブロックストレージです。
- OSやアプリケーションのファイルシステムとして適しています。
- 外部ユーザーとの直接的なファイル共有や、Cloud Storageほど安価な大容量データ保存には向きません。
1-3. ローカル SSD
Instance Storeに相当する、VMが稼働する物理サーバーに直接接続されたブロックストレージです。
- 非常に高い読み書きパフォーマンスを提供しますが、VMを停止・削除するとデータが失われる一時的なストレージのため、永続的な保存・共有の用途には不向きです。
1-4. Storage Transfer Service
AWS DataSyncに相当する、オンプレミスのファイルサーバーや他社クラウド(S3, Azure Blob等)からCloud Storageへの大規模データ転送を自動化するフルマネージドサービスです。
- ソフトウェアエージェント経由での転送スケジュール設定やエラー時の自動再試行が可能です。テラバイト規模のマルチクラウド統合に最適です。
1-5. gcloud storage コマンド(旧 gsutil)
AWS CLI(s3 cp)に相当する、Cloud Storageとデータをやり取りするCLIツールです。
- 小〜中規模転送には有効ですが、自動化にはユーザー自身でのスクリプト作成・管理が必要です(マネージドな自動化サービスではありません)。
- gsutilは旧世代ツールで、現在はgcloud storageへの置き換えが進んでいます。古い記事や書籍だとgsutilのコマンド例が出てくることも多いので、これから学習する方はgcloud storage前提で覚えたほうが良さそうです。
1-6. Transfer Appliance
Snowballに相当する、物理的なストレージデバイスをレンタルし、オンプレミスでデータをコピーした後Googleへ郵送して移行するサービスです。
- ペタバイト規模の移行やネットワーク帯域が極端に狭い環境に適しています。
- AWS Snowballは2025年11月7日付で新規顧客の受け付けを終了しており、2026年12月31日には全商用リージョンでサポートが終了する予定です。新規の物理データ移行にはAWS DataSyncなどの利用が案内されています。
2. まとめ
今回はストレージ・データ移行系のサービスをまとめました。オブジェクト/ブロック/物理移行という分類自体はAWSとほぼ同じ考え方なので、名前さえ覚えてしまえば理解は早いカテゴリだったかと思います。
次回はデータベース系のサービスをまとめる予定です。
参考